虎の小坊主退治
『旅に出たら・・・が言葉になるん❓️』
『も🦌したらなる🦆』
杉井は🦌と🦆の形態模写をしながら蔵人に応えた。
『なるほど』
杉井の🦌と🦆は蔵人を納得させるに十分すぎる🦌と🦆そのものだった。
『その前に🐄との対話が待っとるがな』
負けじと🐄の形態模写をしながら蔵人はモーニングセットのすき焼きを再開した。
杉井とサっちゃんには何の形態模写かはわからなかった。負けず劣らず言葉に出来ないと二人は思った。
『ごちそうさま🙏美味しかったー❗️』
『・・・』
『ところで二人は夫婦なの❓️』
『そう見えるならそうだろう』
杉井が応えた。
『そう見えなかったら違うの❓️』
『ちょっとガッカリだわ』
今度はサっちゃんが応えた。
『出発は延期した方がよさそうね』
『なんでガッカリ❓️なんで延期❓️』
(まだ旅に出るとは言ってないゾー)
『・・・を言葉にしたいっていうのは誰にでもわかるように解説したいってことじゃないでしょ』
サっちゃんにそう言われた刹那、蔵人の脳裏に一頭の虎が現れた。
『屏風から虎を出してあの生意気な小坊主をビビらせてやりてぇー❗️』
蔵人はいつからか封印した言いたかったことを思い出し初めて人前で口にした。
『それそれそういうことでしょ』
『旅に出ていろんな人の中にある虎を出してあげなさいよ』
サっちゃんは目を輝かせながら言った。
『出来るかな❓️』
蔵人は柄にもなく自信なさそうに訊いた。
『出来るに決まってる』
『そうしてくれたじゃない私たちに
たった今』
『❓️』
『ちなみに私たち夫婦じゃないわよ』
『手続きっていうか法律上はね。それに一緒に住んでるわけでもないし指輪もホラ』
サっちゃんは何もつけていない左手を蔵人の鼻先に突きつけた。
『そんなものなくても』
『クロちゃんが夫婦だと思ってくれてるんだからそれでいいじゃないの』
『私はとっても嬉しかったの』
『あんたもそうでしょ』
サっちゃんは杉井にバトンを渡した。
『まぁね』
杉井は照れくさそうにバトンを受け取る。
『クロちゃんは昔から時々夢の在り処を教えてくれていたんだ』
『自覚はないだろうけど』
『稽古の合間とか居酒屋でバカ話をしてる時とか』
『極めつけはあのクロちゃんの映画出演が決まった時に三人だけでお祝いしたあの夜』
『あの時は映画の「え」の字も出なくて、僕たち二人に「おめでとう」「おめでとう」って何回も何回も言ってくれて何のお祝いかわからなくなった』
『だけどなんだか本当は自分が途轍も無い大物だった気がして、急になんで役者なんかやってるんだ、もっとやりたいことがあったはずだって気になって』
『お陰で僕は役者をやめて、ちょっと時間はかかったけど今の仕事をするようになったんだよ』
『さっきクロちゃんが言ってた本当の自分に引っ張られるままに夢中になってアレコレやってたらいつのまにか音信不通の行方不明になってしまったゴメンね』
『すべてはクロちゃんから始まったんだよ』
杉井は蔵人に手を合わせた。
『ナマステ🙏』
つづく



