〇四(未)式連装10.5cm自走速射砲は皇国陸戦軍が運用する自走速射砲。


 

◆開発

怪獣を待ち伏せし、大口径砲を「打ち逃げ」することを目的に開発された自走砲である。

もともと、対戦車自走砲として構想されていたものであるが、首都近郊に怪獣が襲来したことで「対怪獣切り札」として予算が大量に投入され、早期に実用化と実践投入が行われたという経緯を持つ。


 

◆武装

主砲は10.5cm砲。この当時の陸戦軍主力戦車( 〇三(庚)式中戦車 )の主砲は7.5cm砲であるから、それよりもはるかに強力である。しかもこれが連装である。

迅速な射撃と次弾装填を実現するため、回転式弾倉が採用されている。発砲ガスを利用して左右の弾倉が回転し、次弾が装填される。1弾倉は6発である。この機能によって1分間に合計12発という、従来運用されていた車両をはるかに上回る速度で砲弾を発射することが可能となった。5秒に1発づつという交互射撃も、10秒に同時2発という一斉射撃も可能となっている。



 

◆弾薬

もっとも、射撃速度が速いとはいえ、一度に車体に搭載できる弾数は12発である。これだけでは不足する場合、車体後部に被牽引車(トレーラー)を連結し、携行弾数を増やすことができる。この場合、4弾倉(24発)を追加できる。

ただし、弾倉の交換は要員が下車して行わなければならず、安全な場所で行う必要がある。


↑弾倉交換の様子


 ◆車体

これまで開発されてきた自走砲は、主に戦車の車体を流用していたが、この車両の車体は新規設計となっている。

2組のシーソー式サスペンションを有する。車体長に対して接地面は小さい。

 


◆運用上の弱点

満を持して投入された本車両であるが、必ずしも成功作とは言えない代物であった。


まず一つ目の弱点として、反動が大きすぎた。軽戦車程度の小さな車体で大口径砲を(しかも連装で)発砲することは、その反動が大きいことを意味する。

そのため、命中精度は余り芳しいものではなかった。

また、大きい反動が足回りに与える影響も小さくはなかった。


二つ目の弱点として、防御力の低さが挙げられる。

本車両は、攻撃力に特化した設計であるため、側面・背面・上面の防護はほぼ無い。それでいて、むき出しの砲弾12発を搭載しているので、もしここに射撃をくらった場合、誘爆してたいへんなことになるのである。


 ↑市街地に展開



◆実戦

中央山地に現れた怪獣への迎撃戦(第2次)に投入された。五三式空挺自走砲などを含めた独立部隊で首都防衛に当たり、怪獣の首都侵入を防いだ。この作戦では、建物や壕と組み合わせたり、迷彩を施したりして、本来想定されている「待ち伏せ」用途に正しく使われたため、迎撃に成功したと考えられている。

しかし、同作戦中、駐屯地に駐車していた無人の本車両が突如爆発するという事態も発生しており、前述の装甲の無さは、問題として残り続けた。このため、一部の車両は武装を外して後述の工兵車両に改造された。


 ↑森林での待ち伏せ



◆派生型

・〇五(甲)式装甲工兵車

騎動第4旅団 に配備されている工兵用車両。

排土板を使用した陣地構築や、起重機による故障車回収などで活躍している。

本車両の右主砲の部分は埋められており、左主砲があった場所に起重機が置かれている。

自衛用に小銃が備えられている。

 ↑写真奥


 

■あとがき■

連装砲ってかっこいい、というところで作った自走砲です。連装でしかも長砲身と、攻撃力高め、しかし車体は小さく……と、デフォルメの効いた、ある種、マンガ的な外見となっているのではないでしょうか。

待ち伏せ・連装・小型…という点から、60式自走無反動砲(自衛隊)はコンセプト的に近いです。見た目は別物ですけど、


武装については、連装→速射重視という流れから、背面の回転式弾倉とし、全体として設定の一貫性が外見に出せているのが良いかなと。

また、弾薬車→弾倉→発射機(砲尾)→砲身…と、砲弾の「流れ」みたいなのも見て取りやすいんじゃないかと思います。


車体は新規設計です。車体を小さめにすることで、砲身の長さみたいなのが際立っているんじゃないかとも思います。

個人的に、「起動輪・転輪・誘導輪の構成する(逆)台形」の美しさは毎回気を付けて構成しています。今回は、短めの接地面と大きめの誘導輪でデフォルメ感を出しつつ、後ろの起動輪はやや下げた位置でコンパクトにまとめ……とうまく整えられたのではないでしょうか。支持輪は2個、均等に見える位置に配置しています。アイスクリームコーンを使用した支持輪は、迷彩色に合わせつつ、回したときの抵抗も小さめなのがよいです。履帯のたわみもちょうどよく、手転がしもスムーズです。


トレーラーは、まえに重装甲車 でも使った装備ですが、上手く使うととても絵になるので好きです。


ちなみにこの車両が2022年に作った唯一のAFV(装甲戦闘車両)です。まぁ年に2~3両は作りたいですね……AFVやっぱ楽しいので


おわり