〇三(庚)式中戦車は皇国陸戦軍の主力中戦車である。
「1幅履帯で6幅車体」の規格の戦車としては五代目。

◆開発
 この時代、皇国陸戦軍は、列国の戦車に対抗するためには、中戦車に7.5cm砲を搭載する必要があると考えていた。
 ただ、皇国の技術ではこれらの砲を旋回砲塔に搭載することは叶わず、車体に主砲を載せた戦車が運用されていた。①車体に7.5cm砲を、砲塔に3.7cm砲を載せたのが五二式中戦車で、②車体に堂々の9cm砲を載せたのが〇一(乙)式中戦車である。両車とも主力戦車として長らく運用されていた。

[① 五二式中戦車]


 車体に7.5cm砲をのせつつ、補助用に砲塔に3.7cmを載せた戦車。「回転砲塔を有し、7.5cm砲を装備する」という開発要求から生まれた戦車。

[② 〇一(乙)式中戦車]


強力な9cm砲を車体に固定し、さらに機関銃を4丁装備した特異な戦車。

 しかし、これらの戦車には問題があった。車体に主砲が据えられている為、指向する際に車の向きごと変える必要があり、迅速な射撃の妨げとなっていたのである。

 そこで、なんとか7.5cm砲を旋回砲塔に載せられないか研究が重ねられた。最終的に、同砲を旋回砲塔に搭載する新戦車が「〇三(庚)式中戦車」として完成し、陸軍に採用された。
 7.5cm砲が搭載できた要因として、砲塔基部の強度が増したことや、発動機が強化され、車体重量の増加に対応できたことなどがあげられる。


◆構造
①車体
 車体は前述の五二式・〇一(乙)式のものを基礎としている。車体は1ポッチ延長され、大型砲塔の搭載を可能にしている。逆に言えば、従来と輸送性を大きく変えずに大口径砲を載せることができている。
 転輪は従来車両と同じ床下シーソー式である。転輪は数が減り5個であるが、代わりに直径が大きくなった。
 車体はほぼ全周に傾斜装甲が設けられている。それまで当たり前のように垂直装甲を取り入れた皇国陸軍としては進化した点である。

 

↑市街戦で歩兵を支援する本車両


②武装
 砲塔内部は2人乗り。左に車長兼装填手、右に砲手が乗る。主砲口径は前述の通り7.5cmで、徹甲弾や榴弾を使用する。
 砲塔上部には7.7mm機関銃を備える。なお、それまでの戦車に装備されていた前面機関銃は、操縦手の出入口の都合で、廃されている。

 なお、移動時は砲塔を後ろ向きとし、主砲はトラベリングクランプで支持する。

 

↑移動姿勢


◆評価
 幅広の砲塔に大口径砲を積んでいるので、諸外国の主力戦闘車(MBT)に近い見た目となった。ただし、車体の大きさは従来の中戦車と同じ「1-6-1規格」なので、準中型主力戦車といった位置づけである。
 しかし、その小型さゆえに皇国鉄道による鉄道輸送が可能となっており、道路事情が悪い皇国にはぴったりの戦車とも言える。



↑軽量でコンパクトな車体は鉄道輸送に適している。旅客電車を機関車がわりにした貴重な1枚である。


◆運用
 初期量産型が下記の部隊に配備されている。陸軍では、今後すべて戦車を本車両に統一する予定である。
  配備部隊
  ・第一戦団

 

↑訓練で四号揚陸船から陸揚げされる本車両

 

 

◆型式

 ・初期型 最初に生産された型式
 ・II型 前面ハッチに改良
 ・II型改 追加改良型。主砲を長くしたほか、砲塔周辺構造の強化、発動機周りの刷新などの性能向上が図られた。
 

 

◆実戦
 中央山地に現れた翼竜が都市に襲来した際に、迎撃部隊の主軸として出動したのが初陣である。長砲身から繰り出される砲弾は翼竜に対して、他の戦車・火砲より大きな衝撃を与えた。ただし、撃退には至らなかった。

 

 



◆今後
 主力戦車として、今後は全国の部隊に配備される計画が立っている。
 また、将来的に9cm砲への換装や、赤外線を用いた夜戦能力の付与について研究が行われている。

 

 

 

◆◆あとがき


気動車やパトカーが戦後風なら、戦車も戦後っぽいのがあってもいいのでは?という所をスタートに作り始めた戦車です。
61式戦車(やSTA-1)を筆頭に、M24、M26、M41など40年代後半〜60年代初頭の戦車について、重中軽を問わずまんべんなく参考にして作りました。
61式のような戦後第1世代戦車は、過去に何回か挫折していたのですが、今回こうして完成に至ってよかったです。

ただ、口径75mmだったり、車体サイズが過去の中戦車とほぼ同じだったりするので、設定上の立ち位置は三式中戦車(チヌ)っぽくもあります。そういえば、61式戦車も開発時は中特車に類別されてましたね。

今回の制作で最も苦労したのは、車体と砲塔のバランスです。最初は小さい転輪を7つならべ、四式中戦車(チト)のような足回りにしていたのですが、もろもろの外見を勘案し、中くらいのを5つ並べるものとしました。

内装もあり、エンジンもあります。各部が開きます。



足回りは過去作を踏襲した床下シーソー式です。ゴムタイヤの転輪を使えば手転がしとも相性が良く、作りやすいので7年以上もの間(自分の中で)定番になっています。今回は転輪が奇数個なので、中間の1輪はゴムパーツ懸架としました。

↑裏面


今作では、トレイン制作の中で得た「強度を持たせる」という思想を、反映出来たと思います。末端部を除き、極力1ポッチ接続が発生しないようにしています。砲身も中にペグ、その中にバーをいれ、取れないようにしています。
 

あと、トラベリングクランプも気に入っています。移動姿勢がかっこよく出来るのもお気に入りポイントですね。

 

また戦車は定期的に作っていきたいです。

 

おわり