皇国海防軍 砲艦 「千咲」

Armada Imperial Cañonero "Chisaki"

 

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◆建造

(↑建造中の様子)

 

 皇国暦1351(共通暦2017)年、主力艦であった猫目型海防艦が老朽化するのに伴い、新型の汎用艦の必要性が説かれ、建造が提案された。同年に兵部省は艦隊整備計画を策定し、その中に新型の汎用艦(砲艦と類別)を盛り込んだ。これが本艦で、1351年と翌52年の継続費として予算が計上された。
 当時は未だ大陸方面の情勢が安定しておらず、この新型砲艦には権益の保護と敵対勢力の排除という役割が求められた。それゆえ、火力を持つこと、本国との連絡の為に通信設備を充実させること…など、さまざまに要求がもたらされた。特に火力は重視され、本艦には対立地域を海から砲撃し十分に破壊する目的も課された。まさに「砲艦外交」の手段として産まれた軍艦なのである。
 国内の造船所で建造された本艦は1352年6月に進水し、「千咲」と命名された。

◀大陸情勢
この時期、大陸では王朝を打倒する機運が高まっており、政治的に不安定であった。皇国は同地に租借地を有しており、その確保が必要であった。

 

の下を通過する本艦

 

↑満艦飾(船オフ4にて)

 

 

◆各部概説
・艦橋

艦橋は二層構造になっている。下部は装甲で覆われた操舵室兼司令室である。上部は露天式であり、各種の望遠鏡・測距儀が備えられている。

・主砲

主砲は五〇式短砲身12センチ砲であり、連装砲塔二基で合計四門である。砲塔の旋回と主砲の仰俯は電気式であるが、装填は人力で行う。短砲身であるため射程は極めて短い。徹甲弾と榴弾を主に用いる。

・高角機銃

 

五一式20ミリ高角機銃(単装)を艦の中央部に二基、備えている。建造中、高角機銃/高角砲の口径や数について様々な議論があった。仮案では20ミリ機銃を一基としたが、射界に問題があったため、張り出しを設けて二基とした。なお、機銃には電波探知機(レーダー)が無いので銃手は目視で敵機を射撃する。


・機関


主缶(ボイラー)が一基、主機は二基で二軸。燃料は石炭・重油の両方を用いる。

 

・その他

 南洋探索作戦の初期に、第二砲塔(艦尾)を撤去して水上飛行機を搭載した。水上飛行機を搭載した特設巡洋艦が配備されてこの設備は撤去され、第二砲塔は復活している。

 

軍港をゆく

 

軍艦旗

 

うしろから

 


◆艦歴
1.大陸警備

就役したのち、大陸派遣艦隊に配備され皇国の領土や租界の警備に従事した。

陸軍の戦闘機との共同作戦

 


2.本土
大陸派遣艦隊が解隊され、本土の警備艦隊に転属となった。


3.南洋へ
南洋探索作戦が発令されたあと、警備艦隊が南洋探索艦隊へ改編された(旗艦は特設巡洋艦 由比ノ丸)。
 3.1.南洋危機
  皇国と大公国との間で軍事的緊張が高まった際に派遣が検討され、早い段階で制海権を確保し、同国との領土交渉を有利に進める援けとなった。

↑大公国軍との対峙

 


4.ヌプケ戦争
 二重帝国への宣戦布告に伴い連合艦隊が編成されたあと、アカナウルム沖海戦で同国の装甲艦と戦火を交えた。(以下詳述、長いので飛ばしてください)

アカナウルム沖海戦   『ヌプケ戦争記 第I巻─プニプニの野望』 より引用

 

 アカナルム沖海戦はヌプケ戦争初期、マンデア地方・アカナルム沖で発生した二重帝国と皇国の海戦。包囲された民主連邦軍のカムラー要塞への援軍輸送を企図する皇国海軍と、包囲網を維持したい二重帝国海軍が衝突した。「ヌプケ戦争最初の艦隊決戦」として知られる。双方の主力艦が対峙したが、互いに友好な打撃を与えることができなかった。

[海戦まで]
 密約により皇国を自陣に引き込むことに成功した民主連邦は、皇国に対して、カムラー要塞への援軍派遣を要請した。当時、カムラー要塞は二重帝国陸軍包囲され、苦戦を強いられており、突破されると傀儡国や民主連邦本土が危険に晒される可能性があったのである。
 要請に応じた皇国は、巡洋艦「由比ノ丸」と砲艦「千咲」を主軸とした輸送艦隊を派遣してカムラーに近い地点に上陸し、二重帝国陸軍を逆包囲する作戦を立てた(「ぬ号作戦」)。
 作戦を察知した二重帝国海軍は、主力艦「ボエマック(A.Y.K. "Voemak")」を以てして皇国艦隊を撃滅する体勢を整えた。
※A.Y.K.は二重帝国海軍を意味するAgodeka Yuruchara Kitokitopuの略字

[経過]
 2月14日午前6時、まだ夜が明けきってない段階でボエマックが砲撃を開始し戦闘の口火を切った。もともと、皇国艦隊は迎撃の情報を得ていたが、そのシルエットが余りにも小さかったため、攻撃を受けるまで発見できなかったのである。
 砲戦が始まって30分ほど同航戦が続いたが、両艦隊ともに相手に打撃を与えることが出来なかった。ボエマックは事実上の半潜水艦であるため投影面積が極めて小さく、皇国艦隊は砲弾を命中させることが出来なかった。一方、同艦は旋回砲塔を持たないため、比較的速度のある皇国の巡洋艦・砲艦を正確に狙うことができなかった。
 戦闘が長引く中で、皇国艦隊は砲弾が尽き始めていた。民主連邦軍への支援物資の搭載を優先したあまり、予備弾を減らしていたのである。そして、9時30分、皇国艦隊は回頭し、舞亀軍港へと引き返した。一方のボエマックも戦闘で疲弊していたうえ、同艦は直線方向へ発砲することが不可能であったため追撃は断念された。(ボエマックの前方砲は斜め45度を向いており、真正面に発砲することが出来なかったとされる。)

[影響]
 戦術的にみれば勝敗のつかなかったアカナウルム沖海戦であるが、戦略的にみれば二重帝国の勝利であったとされる。海上からの支援を封じた二重帝国はカムラー要塞における優勢を確固たるものとし、包囲された民主連邦軍は今まで以上の苦戦を強いられることとなった。
 また、ボエマックの活躍によってマンデア海域の制海権は二重帝国海軍の手中に収まり、皇国と民主連邦の海上兵站線(シーレーン)は南方に限定されることとなった。加えて、皇国海防軍はボエマックを恐れ、主力艦の温存を優先するあまり、根拠地から殆ど動くことが出来なくなった。
 その意味で、海軍軍縮条約以来2国に対して劣勢となっていた二重帝国海軍が立場を逆転させ、ヌプケ戦争における海上パワーバランスが大きく転換したのがこのアカナウルム沖会戦であった。

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《主要諸元要目》
艦 名:千咲
種 別:砲艦
建造期間:1352年5月-6月
就役期間:1352年6月~
前 級:猫目型海防艦

排水量 :1680立方ポッチ
全 長:60ポッチ
全 幅:12ポッチ
主 機:蒸気タービン
最大速力:***kt
航続距離:中距離
乗 員:約12名(ミニフィグ)
兵 装:
 12cm連装砲x2基
 20mm高角機銃x2基
装 甲:わりとある 

 

 

◆あとがき◆

 

 2018年の5~6月に製作した砲艦です。それまでは、白色や黄色のパーツで軍艦を作っていたのですが、一度は灰色でしっかり作りたい!ということで取り組みました。

↑製作の工程表(完成後に振り返りつつ作ったもの) 一作品にここまで長い時間をかけるのは僕の中だと珍しいです。

 

 トレードマーク?は短い大砲を備えた連装砲です。デフォルメの聞いたこの主砲は見た目が可愛いので気に入っています。

 

 また、フルハル化できるよう喫水下の赤い部分も作れたのは画期的だったかなと。マストや張り線などは丁寧に作ってプラモデルのような精緻さを目指しました。ほら、海事関係の博物館に行くと細かい艦船模型があるじゃないですか。

↑先頭部はこんな感じ

 


 欲張って大きくすると製作中に挫折すると思ったので、全体は60ポッチ程度にとどめつつ、連装重砲や手の込んだ艦橋を盛り込んで(「艇」ではない)「艦」として仕上げました。連装砲ー艦橋ー煙突ー連装砲という構成で、ミニマムながら軍艦らしさを出せたと思います。そういえば砲艦であれば、駆逐艦や巡洋艦/水雷砲艦だと必要な魚雷発射管が要らないので、そのぶん小さくできたというのはあるかもです。高角機銃の張り出しや、斜めの煙突、も上手くできたかなと。

 

↑京都にて

 

↑JBFにて

 

 分解して中サイズの箱に収納できるので、輸送が容易です。これまで製作したジオラマ三部作(①京都,②海老名,③川崎)や艦船オフ4,5、JBF2019に持っていきました。なので既に御覧になった方も多いかなと思う作品です。巡洋艦のほうは運搬が難しいですから、今後も展示の際は脇役として持参することが多いと思います。

 

 


おわり