皇国海防軍 特設巡洋艦「由比ノ丸」
Armada Imperial Crucero auxiliar ”Yuino maru”
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○前史
写真上:かつての主力艦・猫目型海防艦
写真下:大陸での沿海警備を任務とする砲艦「千咲」
いずれも長距離航海には向かい中小型艦であった。
三年戦争◀から戦後にかけて、皇国の外交的関心は主に西方大陸◀に向いていた。そういった状況における海防軍の任務は沿海警備と権益保護であり、砲艦・植民地通報艦といった小型軍艦で十分であった。
しかし、南洋探索作戦◀が発令されると、遠洋での作戦行動が増え、そういった近海型の艦艇では対応不可能な任務が増えた。小型艦艇では外洋での航行に難があるほか、長期的な作戦行動が出来なかったのである。このような問題を背景に、次第に海防軍部内で遠洋航海に適した軍艦、つまり「巡洋艦」を求める声が高まって行った。
◀三年戦争
皇国暦1350(共通歴2016)年から1352(2018)年にかけて、大陸地方や諸島地方を舞台に繰り広げられた3つの戦争の総称。2勝1敗だった皇国は領土を拡大することに成功したものの、軍事費は財政を圧迫し、戦後は大規模な軍縮が実施された。
◀西方大陸
皇国の西に位置する大陸。皇国は同地に領土・租界を有する。王朝が滅亡した現在では、可汗国が勢力を拡大している。
◀南洋探索
未踏であった南海への進出を目指す皇国の領土拡大政策。1352年の発令に伴い探索艦隊が編成され、翌年までに二つの群島を発見、編入した。
早期の実戦配備を望んだ海軍は、新造するのではなく、その辺の大型商船を巡洋艦に改装する方針を採った。白羽の矢が立ったのは、双月汽船という船会社が発注していた建造中の航洋型貨客船「由比ノ丸」である。海防軍命令で徴発されたこの船は、1354年3月に縦須賀の造船所で軍艦として運用できるよう改装され、特設巡洋艦として就役した。一般に、民間船の改造による艦艇には「特設」の語が冠される。
○構造
いわゆる三島型の船である。航続距離・速力はそこそこあるが、元は貨客船であるため防御力は低い。全長は95ポッチ、全幅は14ポッチ(最大幅は18ポッチ)。
○装備
①主砲
艦首と艦尾に五一式7.6cm単装高角砲を各1基装備する。対艦・対空に用いる多用途砲である。もとは征空基幹艦(空母)に搭載する予定の砲であった。
②機砲
陸軍の五二式自動高射砲の艦載型である五二式高角機砲を、中央部両舷に各1門、計2門装備している。対空射撃のほか、舟艇に対する水上射撃にも使用される。
③魚雷発射管
二凸魚雷(直径が2ポッチ)発射管を一基、艦橋の前部に装備している。普段は物資などが左右に置かれており即座に運用できる状態に無いのが問題点である。
④飛行機
〇二(庚)式水上攻撃機を1機搭載する。単座の攻撃機で、7.7ミリ機銃1丁のほか小型爆弾を搭載する。攻撃機とはいえ、実際には偵察・観測を主な任務とする。艦に射出機は無く、発進および回収はクレーンで行われる。
・クレーンとデリック
前部にデリック2基(積荷用)、艦橋後部にクレーン1基(飛行機用)を装備する。
○艦歴
縦須賀海軍造船所で改造を受けたのち進水。内地の警備艦隊(旗艦:千咲)に配備された。その後、南洋探索艦隊の編成に伴い旗艦として配備され、活躍の場を南の大海に移す。
・第二次探索作戦
搭載機による新大陸(実際は島だった)の調査を実施したほか、同島の南西に新しい群島を発見した。
↑砲艦との航行
・火山群島領有問題
南洋は火山群島の領有権を巡って、皇国と専制公国の間に外交問題が発生した際、本国から緊急出航した本艦は、陸軍部隊を強行上陸させ、占有の既成事実をでっちあげるのに貢献した(死傷者なし)。本艦の高速性を示す一件であった。ちなみに、陸軍の豆戦車と空挺戦車は本艦のクレーン・デリックでも吊り上げ可能である。
・海軍軍縮条約
ヌプケ戦争前夜、主要3国間に結ばれた海軍軍縮条約では、皇国・民主連邦・二重帝国の水上艦保有率が100:100:1に設定された[要出典]。もとが商船である本艦は軍縮の対象とされなかった。
《主要諸元要目》
艦 名:由比ノ丸
種 別:特設巡洋艦
建造期間:1353年-1354年(皇国暦)
就役期間:1354年~
前 級:丹羽型巡洋艦
排水量 :2380立方ポッチ
全 長:95ポッチ
全 幅:18ポッチ
主 機:蒸気タービン
最大速力:***kt
航続距離:海の向こうまで
乗 員:約15名(ミニフィグ,飛行機要員含む)
兵 装:
76mm高角砲x2基
37mm高角機関砲x2基
2凸魚雷発射管x1基
水上飛行機x1機
装 甲:うすめ
◆あとがき◆
かねてから民間船を改造した特設艦船(IJNでいう特設艦船や特TL船)をつくりたいと思っており、色々と試行して2020年3月に完成したのが本艦です。前作(砲艦)と同様に濃灰+タンの配色としています。
大型にみえる本艦ですが、船体幅は14ポッチなので意外と小さいです。艦首・艦尾は直角組で、シンプルさを優先しています。また、張り線なども精密感を出せたかなと。
個人的に、商船改造艦によくみられる後付感ある砲台座やデリックを作りたかったので、それが実現できてよかったなと思っています。
飛行機や大砲・雷装、救命艇……と、様々な機能を付与しつつ、良い感じにデフォルメできたかなと思います。搭載機については小型化するのが難しかったです。ちなみに今は押入れの中で眠っています。やはり大型なので、展開性でいうと砲艦には勝てず、展示等にはあまりもっていっていません。
最後にレトロ艦船オフでの写真を
おわり