静内駐屯地には主な部隊として第7師団隷下の第7高射特科連隊のうち81式短距離地対空誘導弾(81短SAM)を装備する第5・6中隊が駐屯しています。(第1~4中隊は87式自走高射機関砲(87AW)を装備して東千歳駐屯地に駐屯) 他に第1高射特科団隷下の第101無人偵察機隊等も駐屯していますが、隊員数としては小規模な駐屯地と言えます。
静内に来たかったのは日本で唯一対空ミサイル(81短SAM)の射撃を見ることが出来る対空射場があるからですが、いかんせん交通が不便な地にあるので今まで敬遠してきた駐屯地でした。
ただ、81短SAMは赤外線/可視光複合誘導のミサイルを使うようで、視程が良くないと追尾不能で射撃はキャンセルされます。むろん陸自の81短SAMにはレーダー誘導方式もありますが、記念行事の時は安全上視程の良い時でないと射撃はありません。
もう一つの見物は87式自走高射機関砲の実弾射撃ですが、こちらは余程の悪天候でない限り実施されます。これがあるから雨天でも出掛けようという気になりました。
静内駐屯地自体は国道(と鉄道)より内陸側になりますが、対空射場は国道を挟んだ海側にあります。記念行事で開放されるのはもちろん対空射場です。09:00にオープンされましたが、この時の来客数は100人程度かな? 近くに大きな街もないし、関東に居る友人・知合いは富士駐屯地の記念行事に行ってたし…静内駅前にもホテル等はあるのに苫小牧に宿をとって片道2時間以上もかけて来たのは、急いで来る必要が無かったから(^-^;;;;
既に対空射撃する81短SAMと87AWは配置についています。晴れてきたおかげで温かくなってきましたが風が冷たい…気温20度は無かったと思います。でも空気は澄んでるし海岸線なので紫外線は強い。しかし目の前に広がる太平洋はいつも以上に雄大に感じます。ちなみに、日高では太平洋に沈む太陽を見ることができます。
装備品展示の車両は全部で5両だけ…第7師団としては南恵庭駐屯地の第73戦車連隊から90式戦車を持ってきていました。
96式多目的誘導弾と中距離多目的誘導弾は第7師団に配備されていないハズ…なんでだろう?と思って聞いてみたら、今年の秋から静内射場での射撃訓練ができるようになったとのこと…なるほど、それ故の地元への御披露目なんですね。そういえば93式近距離地対空誘導弾の射撃訓練も一部は静内で行っていたような…
10:00から式典が始まるハズですが、観閲を受ける隊員が出てきません。すると案内放送で各地で起こっている大雨災害を考慮して祝賀式典は全てキャンセルすること。しかし、対空射撃を11時過ぎと13時過ぎに実施することと、その合間に訓練展示は実施するとアナウンスがありました。対空射撃は判るけど訓練展示って?…この時は意味が判らなかった…
1回目の対空射撃を行うため標的となる高速標的機チャカⅢを発射。対空射場水域は扇型に半径40kmと20kmが設定されます。(この時はたぶん20km)
案内放送はありませんでしたがM2重機関銃により射撃訓練が行われていました。銃身先端に空包発射補助具を付けているので空砲射撃ですね。
チャカⅢとはどんなものかを装備品展示している隊員さんに聞いてみました。飛翔する本体の翼端(右側)に付いているのが赤外線を発する標的で、これを空中で本体から切り離してワイヤーで曳航するのだそうです。左翼端に付いているのはカウンターウェイトで、標的部を曳航するときには切り離し落下させて本体のバランスを取るのだそうです。
チャカⅢを2回ほど周回させてから標的飛行コースに入ります…そして、81短SAMを発射!
ミサイルは一直線に標的に向かって飛んでいき命中。なんですが薄雲の向こう側で肉眼では判りませんでした。ってか、発射後の煙の凄いこと…今の短SAMはもっと煙は少ないようですが?
役目を終えたチャカⅢは沖合2kmまで誘導された後にエンジン停止してパラシュートを使って着水。再利用のため陸自がチャーターした漁船で回収します。
続きます。