2018/11/16 【法律】名誉毀損と侮辱罪の要件の違いと慰謝料の相場 | パムのてきとーブログ

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侮辱罪と名誉毀損罪の違い

侮辱罪と名誉毀損罪については、
どこがどのように違うのかがよくわからない人も多いでしょうから、まずはこの2つの違いからご説明します。

侮辱罪(刑法231条)は、
 「事実を摘示しないで」「公然と」、「人を侮辱した」
場合に成立します。

これに対し、名誉毀損罪(刑法230条)は、
 「事実の摘示によって」「公然と」「人の社会的評価を低下させるおそれのある行為をした」
ことによって成立します。

「事実を摘示(てきじ)」(摘示とは示すことです)したかどうかによって名誉毀損罪か侮辱罪かが区別され、
摘示がなければ侮辱罪、あれば名誉毀損罪ということになります。

侮辱罪でも名誉毀損罪でも、どちらも「公然と」の要件が必要になります。

また、人や法人などに対する社会的評価(外部的名誉)を毀損することも要件となります。

「公然」とは不特定または多数の者が直接に認識できる状態をいい、
その要件に該当するか否かは、その内容が他者へと広がっていく可能性があるかどうかで判断されます。
実際に社会に広く知れ渡ったことまでは要しません。

たとえ少人数が集まる場所での発言であっても、
そこにいた人の口から伝わって話が広がる可能性があれば、「公然と」の要件を満たします。

「名誉毀損罪」と「侮辱罪」の違いって、「事実を摘示」の有る無しなんですね。
そして、「公然と」と言うのが必要条件だとも理解しました。




では事実ではない「根も葉もない噂」や「嘘」は名誉毀損ではない?

名誉毀損が成立するためには「事実の摘示」が必要だと説明しました。

このように聞くと「事実」を「真実」であると誤解する人がいるかもしれません。

そうなると、
 根も葉もない嘘や噂の場合には、名誉毀損が成立しなくなるのか?
と疑問を持たれることもあるでしょう。

嘘や虚偽の噂の方が悪質なのに、どうしてなのかと思うかもしれません。

結論的には、根も葉もない嘘や噂の場合でも、名誉毀損は成立します。

名誉毀損は、人の社会的評価を低下させる事実を広めた人を罰するための規定なので、
内容が虚偽の場合、当然に罰されるべきです。

むしろ、内容が真実のケースよりも根も葉もないケースの方が、
より悪質であることが多いので罰する必要性は高いと考えられます。

繰り返しになりますが、
名誉毀損が成立するために必要な「事実」は、「真実」である必要はなく、嘘や虚偽の「事実」でも良いのです。

たとえば、不倫をしていないのに
 「あの人は上司と不倫している」
と言われたら、それは名誉毀損を構成する「事実」になります。

これに対し、「馬鹿野郎!」などという場合には、「事実」を言っていません。

名誉毀損における「事実」は、侮辱罪との区別をするための概念なのであり、内容が真実かどうかは問題になりません。

むしろ、真実であれば、刑法230条の2によって違法性が阻却されることもあります。(詳しくは後述します。)

以上のように、名誉毀損における「事実」については原則として内容の真実性は影響しないので、
内容が真実であっても根拠のない嘘や噂であっても、名誉毀損が成立する可能性があります。

名誉毀損の「事実」の解釈において、混乱を生じないように正しく理解しておきましょう。

「名誉毀損」は「虚偽の事実」でも成立すると言う事は重要ですね。
そして、「真実」の場合は「名誉毀損」が成立しない事もある???




名誉毀損が成立しない可能性がある2つのケース


違法性が阻却される場合(刑法230条の2)

上記の名誉毀損の要件を満たす場合にも、
例外的に違法性が阻却(そきゃく-しりぞけること)されて名誉毀損罪が成立しないことがあります。

具体的には、摘示された事実が
 「公共の利害に関する事実」であり、
 目的が「公益目的」であり、
 かつ「真実性が立証された」
場合には、これを罰しない、とされています(刑法230条の2第1項)。

たとえば、有名な政治家の過去の業務に関するスキャンダルなどを暴いた場合には、
上記の要件をすべて満たし、名誉毀損が成立しない可能性が高いです。

逆に、ただの一般人の名誉を毀損する内容であれば、
たとえその内容が真実であっても
 「公共の利害に関する事実」
 「専ら公益目的」
の要件を満たさないので、名誉毀損が成立するでしょう。

また、たとえ公共の利害に関する事柄であっても、
私利私欲のために名誉毀損的な行為を行った場合には、「専ら公益目的」の要件を満たさないので、やはり名誉毀損が成立します。

「○○と言う職業をする者としての資質への疑義」は「公共の利益」に関するのでしょうか?


真実性の証明ができなかった場合

名誉毀損の違法性阻却における「真実性の証明」については、さらに問題があります。

真実性の証明ができなかったとしても、名誉毀損が成立しない可能性があるのかということです。

たとえば、
 実際には真実であるという証明まではできなかったけれども、真実であると信じていたし、十分な根拠もあった、
という場合もあります。

このようなケースでは、
 「たとえ真実性の証明ができなかったとしても、当時の状況から真実であると信じるに足りる根拠があった場合」
には、故意でないなどとして名誉毀損が成立しない、と考えられています。

たとえば有名な政治家の過去のスキャンダルを暴いた場合、たとえその内容が真実であると証明できなくても、
記事を書いた時点でそれが真実であると信じるだけの充分な根拠があったのであれば、名誉毀損罪が成立しない可能性が高いです。

「パム」の「告発」のウラには「状況証拠の累積」があります。
すると、「名誉毀損罪」は成立しない・・・となりますね。




1対1でののしられた場合に成立するか


名誉毀損罪について

1対1で言い合いをしているときに、
相手から社会的評価を低下させるような事実の摘示を含む発言があった場合、名誉毀損罪が成立することはあるのでしょうか?

このとき、問題になるのは「公然と」の要件です。

名誉毀損罪が成立するためには、
公然と名誉毀損的な行為が行われる可能性があり、具体的には周囲に伝播(広がる)する可能性があることが必要です。

ただ、
 まったくの1対1で言い合いをしていて周囲に誰もいない、
という状況では、発言内容が周囲に広がっていく可能性がありません。
そこで、この場合には「公然と」の要件を満たさず、名誉毀損罪は成立しないと考えるべきです。

ただ、1対1で言い合いをしている場合であっても、
周囲に誰か他の人がいて、それを聞いていた人がさらに他の人に話すことによって発言内容が広がっていく可能性がある場合には、
名誉毀損罪が成立する可能性があります。


侮辱罪について

それでは、侮辱罪についてはどうなるのでしょうか?

これについても、名誉毀損罪と同じ考え方となります。

侮辱罪が成立するためにも、やはり「公然と」の要件が必要です。

そこで、完全に相手と自分しかいない状況で侮辱されたとしても、その内容が他に広がっていく可能性はないので侮辱罪は成立しません。

反対に、
周囲に誰が他の人がいて、それを聞いていた人が発言内容を他に広める可能性がある場合には、
「公然と」の要件を満たし、侮辱罪が成立する余地があります。

「パム」に対して「パワハラ的行為」「モラハラ的行為」をする場合、多くがこの「1対1」に持ち込まれるんですよね。
それを「公然と」にする為に、大声で怒鳴り返した事も何度もありましたwww




「バカ」と言われた場合に成立するか


名誉毀損罪について

まずは、名誉毀損罪について見てみましょう。
名誉毀損罪が成立するには
 「事実の摘示により」人の社会的評価を低下させるおそれを発生させる
必要があります。

ところが「馬鹿」というだけでは、人の資質などに対する評価をしたにとどまり、事実の摘示ををしてはいません。

そこでこの場合には、名誉毀損は成立しないことになります。

名誉毀損が成立するためには
 「あの人は上司と不倫している」とか
 「あの人は前科者だ」
など、具体的な事実を摘示して人の名誉を低下させるおそれを生じさせる必要があります。


侮辱罪について

次に侮辱罪の成否を見てみましょう。

侮辱罪は、
 相手に対して「事実の摘示なしに」侮辱する
行為です。
そして「馬鹿」というだけでは事実の摘示になっていません。

そこで、この場合、「公然と」などの他の要件を満たしている限り、侮辱罪が成立する可能性があります。

たとえば
 大人数が集まっている前で「馬鹿野郎!」などとののしった
場合、侮辱罪が成立する可能性が充分にあります。

特に、人がたくさんいるところでは、あまり相手を汚い言葉でなじったりしないように注意すべきです。
(人がいないところでも、相手を汚い言葉でなじったりすると、不法行為が成立するおそれがあります。)

公然とした場で「バカ」と言ったら前科がつく事もあるんですねぇ・・・・・。
これだけで逮捕されたら、それはそれで凄いです。





ネット上やメールなどでの中傷行為によっても成立するか


名誉毀損罪について

まずは名誉毀損罪について、見てみます。

名誉毀損罪が成立するためには「公然と」の要件が必要ですが、
ネット上やメールでの誹謗中傷行為についても「公然と」と言えるのかが問題です。

この点、ネット上に文書などを公開した場合には、「公然と」の要件を満たします。

ネット上の記事は、基本的にインターネットにつながっている環境さえあれば、世界中の誰からでも閲覧できるためです。

そこで、ネット上に公開してしまったら、広く世間に広がっていく可能性があるので、公然との要件は問題なく満たされることになります。

SNSなどへの投稿であっても、それが不特定多数に見られる可能性のある設定になっていれば、
やはり伝播可能性があるので名誉毀損罪が成立します。

少人数の友人だけしか見られない設定であったとしても、
それを見た友人の口や友人の書き込みを通じて周囲に広がっていく可能性がある以上、
やはり伝播可能性があるとして「公然と」の要件が満たされます。

つまり、ネット上に投稿した場合には、
ほとんどどのようなケースでも「公然と」の要件が満たされて名誉毀損罪が成立する可能性があるということなので、
ネット上の投稿行為には、充分注意が必要です。

これに対して、メールでの誹謗中傷行為の場合には、少し事情が異なります。

メールは、基本的に送った相手しか読まないものです。
そこで、相手ひとりだけにメールを送信した場合には、名誉毀損罪が成立しない可能性が高いです。

ただし、複数の宛先に同じ文章を送った場合やBCC、CCなどによって他の人にも同じ内容のメールを送信した場合などには、
それを受けた他の人から不特定多数に伝播していく可能性があるので、「公然と」の要件を満たし、名誉毀損罪が成立する可能性があります。


侮辱罪について

次に、侮辱罪について、見てみましょう。

侮辱罪の場合でも、基本的な考え方は名誉毀損罪のケースと同じです。

侮辱罪が成立するためにも「公然と」の要件が必要になるので、
ネット上の投稿行為やメール送信行為に「公然と」の要件が満たされるかどうかが問題になります。

この場合の判断基準も名誉毀損罪のケースと同じになるので、ネット上の投稿行為の場合には基本的に侮辱罪が成立することになります。

反対に、メール送信行為の場合には、相手ひとりだけに送ったケースでは侮辱罪にはならない可能性が高いです。

そうではなく、複数の送信先にメールを送った場合には、侮辱罪が成立すると考えると良いでしょう。


ネット誹謗中傷は、匿名でもしてはいけない

ネット上における記事投稿やメール送信は、相手の顔が見えないこともあって比較的容易に行き過ぎた発言をしやすいです。

しかし、ここで節度を持った対応をしておかないと、
後から「侮辱罪」「名誉毀損」などと言われて刑事上や民事上の責任追及をされてしまうおそれがあるので、充分注意が必要です。

特に、近年ネット上の誹謗中傷行為が増えており、「ネット誹謗中傷」などという言葉までできているほどです。

ネット誹謗中傷をすると、たとえ匿名で記事投稿をしていても、
プロバイダ責任制限法という法律にもとづいて発信者情報を特定されて、
最終的に投稿者を特定されて責任追及されてしまうおそれがあります。

 「ネット投稿は匿名だからバレない」
と安易な気持ちで相手を傷つける発言をすると、
ある日突然内容証明郵便が届いたり裁判所を通じて訴状が届いたりすることもあるので、くれぐれも注意しましょう。

実は、「インターネット上での問題言動」は「魚拓」をとれるから、「裁判」がしやすいですねwww




刑事上の問題と民事上の問題


刑事上の名誉毀損罪、侮辱罪

他人の名誉を毀損したり侮辱したりした場合には、刑法上の名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)が成立します。

これらは、犯罪を犯した者を国家が処罰するという、刑事上の問題です。

名誉毀損罪や侮辱罪が刑事上で問題になる場合、
行為者は、逮捕されたり起訴されて刑事裁判になり、有罪判決を下されたりする可能性があります。

そして、有罪になった場合には、ケースに応じて刑罰が科されます。

名誉毀損罪が成立する場合には、
 3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金刑
が下される可能性がありますし、
侮辱罪の場合には、
 拘留(こうりゅう-1日以上30日未満刑事施設に拘置する刑罰)または科料(かりょう-1,000円以上1万円未満の金額を支払う刑罰)
を受ける可能性があります。

なお、侮辱罪の法定刑は、刑法典の中でももっとも軽い部類なっています。

また、名誉毀損罪も侮辱罪も、「親告罪」です。

親告罪とは、被害者が刑事告訴をしない限り、行為者を罰することができない犯罪です。

つまり、相手が名誉毀損的な行為や侮辱的な行為に及んだとしても、
被害者が警察や検察官に刑事告訴をしない限り、
警察などの捜査機関は相手を逮捕してくれませんし、起訴することもない、ということです。

名誉毀損行為を受けて、その相手に刑罰を与えてほしいなら、必ず刑事告訴をする必要があります。

また、相手を刑事告訴して刑罰を適用してもらえたとしても、
刑事上の手続において、相手から慰謝料などのお金を払ってもらうことはできません。

原則として、お金を払ってもらうためには慰謝料請求をする必要があり、これは、次に説明する民事的な問題です。
(刑事告訴をした場合に、相手方から慰謝料の支払いによる示談と引き換えに告訴の取り下げを持ちかけられることはあり得ます。)

「犯罪」ですから「慰謝料」は頂けませんねwww




民事上の名誉毀損、侮辱行為

他人によって名誉毀損的な行為や侮辱的な行為をされた場合には、民事上の損害賠償ができるかどうかも問題になります。

相手が名誉毀損的な行為や侮辱行為をしたとき、
それが度を超えたものであれば違法性を有することになるので、違法行為となります。(民法710条)

民法上、相手の違法行為によって損害を被った場合には損害賠償請求ができることになっているので、
この場合、相手に対して不法行為にもとづく損害賠償請求ができます(民法709条)。

名誉毀損的な行為や侮辱行為によって受けるのは精神的な苦痛であることが通常なので、
相手に対してできる損害賠償請求は「慰謝料請求」となります。

民事上の名誉毀損(民法710条)が成立する場合にはもちろんのこと、
侮辱的な行為をされた場合であってもそれが度を超えたものなら、慰謝料請求ができる可能性があります。

ただ、名誉毀損行為の方が侮辱行為よりも一般的に違法性が強いと考えられるので、慰謝料請求が認められやすいですし、
認められた場合の慰謝料の金額も、侮辱行為より名誉毀損的な行為の方が高くなることが多いです。

「名誉毀損」>「侮辱」って事ですね。




慰謝料の相場


名誉毀損の慰謝料の相場

名誉毀損の場合、その対象が芸能人か一般人かや、
誹謗中傷内容、社会に与える影響の大きさや実際に発生した結果などによって慰謝料の金額が変わってきます。

一般人が被害者となる通常の名誉毀損事案の場合の慰謝料の相場は、10万円~100万円までの間であることが多いです。

ただし、相手が芸能人や政治家で社会に与えるインパクトが大きなケースや、
誹謗中傷内容が重大で被害者が自殺してしまったケースなどでは、数百万円の多額の慰謝料が認められることもあり得ます。


侮辱行為の慰謝料の相場

次に、侮辱行為が行われた場合の慰謝料の相場を見てみましょう。

侮辱行為では、通常、名誉毀損行為よりも慰謝料が認められる可能性が低くなります。

これは、侮辱罪の違法性は名誉毀損罪よりも小さいと考えられていることによります。
実際、侮辱罪の刑事上の法定刑は名誉毀損罪のそれよりも相当軽くなっていることからも、このことがわかるでしょう。

実際、侮辱行為が行われただけで不法行為となり慰謝料が認められること自体が、さほど多くはありません。

認められるとしても、10万円以下になることが多いでしょう。

この金額を見ると、「費用対効果」も検討する必要がありますね!