ちょこ象です。
昔、この制度にお世話になりました。なので、ちょっと書いてみます。
ほんとはあんまり思い出したくないのですけどね。
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労働法の保護を受けられない人の方が多い --- 荘司 雅彦 (Yahoo配信)
労働法の保護を受けられない人の方が多い。 (ご本人ブログ記事)
かつて、私は地方労働委員会(現在は「都道府県労働委員会」と名称が変わっています)の公益委員をやっておりました。
当時の地方労働委員会では、労働組合と使用者側の紛争を斡旋したり救済命令を出したりする機関でした。
労働者委員と使用者委員、そして中立な公益委員の3人で担当し、公益委員が進行の指揮を執ります。
前に、音楽の記事で、
でちょっと書きましたが、
死ぬほど働いていた時期がありました。
事務系の仕事のはずなのに、
椎間板ヘルニアで手術入院が必要になるほど
毎日朝、7:00に出勤し、23:45に会社を出て
走って終電に乗りかえってました。
365日営業の会社で(笑
そこで、手術後しばらくして、
その会社を懲戒解雇で追い出された時に
この制度を使いました。
たしか、まだ出来たばかりの制度で、名称もちょっと違っていたかも。
『労働組合と使用者側の紛争を斡旋したり救済命令を出したりする機関でした』
という部分は、そのまんまなので、一緒のものでしょう。
ここには詳しく書いていないのでわかりませんが、
労働基準監督署の管轄ではなく、
労働局が管轄する制度だというところが、ミソだったと思います。
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どう戦ったかとか、どっちが勝った負けたの話はそれこそ、
ネットでたくさん見つけられるでしょうが
私がお伝えしておきたのは、二点です。
【1点目】
嫌がらせの懲戒解雇はよくあることで、
一番直接的な嫌がらせとして有効な部分は、
『失業手当をすぐに受け取れないぞ』
『次の就職先からの問い合わせに懲戒解雇を匂わせるぞ』
という恫喝&恫喝にとどまらない実行です。
これが、公的な第三者の”紛争斡旋”があれば、
(労働局で受付済の事案ですと伝えるだけで)
『申請書』の『懲戒解雇』と書かれたところを二本線で消して、
会社都合にして受付してもらえます。
『苦労せず正当な失業手当が受け取れる』
ということです。
同じ労働局の管轄なのでね。
これはとても大きいです。
管轄の違う役所でたらいまわしされるのは
とてもストレスになります。
ましてや、不当解雇で振り回されている最中なので。
古い話なので、今はもっと制度が整っているかもしれません。
私は、この点がとても心に残っているので、書いておこうと思いました。
このとき思ったのは、
労働局がこれだけ手馴れているということは、
不当なというか、圧倒的に理不尽な『懲戒解雇』なんか、
そこらじゅうに転がっている案件なんだろうな
荘司雅彦氏にもありましたが、
かつて、経理を担当している社長の奥さんの機嫌を損ねて「いびり出された」元従業員の相談を受けたことがあります。
「クビだ!」と宣告されたのに対して労働法規を盾にとって抵抗したところ、毎日のように集金金額が合わないと奥さんに指摘され、挙げ句の果てには不在中に机の中に覚えのない1万円札を入れられて泥棒扱い。自主退職しなければ警察に告訴すると言われて泣く泣く退職したというケースでした。
いくらでも、嘘の証拠なんか作れますからね。
労働法とは関係ないですが、先日こんなこともありましたよね
暴行はでっちあげで無罪 LINE検証 この場合の責任はどうなる?
スナックのママを殴ったとして暴行罪に問われた元従業員でしたが、法廷ででっち上げであることが判明し、無罪判決となるという出来事がありました。
かくいう私も、会社の顧客名簿のデータベースの内容を盗んだそうです(笑
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【2点目】
このとき、労働委員の先生に言われたいくつかの言葉が大きく心に残っています。
すごく柔らかい表情の、上品なおばちゃんでした。
「あなたは、何がしたいの、
【自分の権利を回復】したいの
それとも、敵を、悪を罰して【相手を懲らしめたい】の
気持ちはわからなくはないけど、どっちも無理だから
世の中そういうふうには出来ていないのよ
ここで出来ること、ここでは解決できなくて裁判したとしても
その結果得られる【形のある解決】というのは、100%【お金】なの
お金以外の解決なんて得られないから
まずは、そこを理解するところ、納得するところからはじめましょう」
一言一句正しくは無いですが、
要約すると、だいたいこんなことを
やさしく、丁寧に教えてくれました。
ぐずった子供をやさしくあやすように。
たぶん、その時の私は、途方にくれたぐずった子供だったんでしょうね。
そしてまた、理不尽に対する怒りがはちきれそうに膨らんで
張り裂けそうな、あやうい子供だったんでしょうね。
今でも、とても感謝しています。
ほんの一時の間柄でしたし、名前も記憶していませんが
心の恩師です。
「取れる金額も、基準があって、そこから大きく離れることは出来ないから」
「あなたの今後に必要な額や被害の質や心の傷、程度の酷さも、
はっきり言って考慮されないから、考慮はされるけど、額の基準は変わらない
100%相手が悪くても3ヶ月から6ヶ月、そして、何十年働いた人が6ヶ月だから、
あなたが6ヶ月取れる可能性もほぼないから
ここまで、理解できた上で、どういう風に交渉してきてほしい?」
そういわれて、どう答えたらいいか迷っていたら、彼女はこういった。
「まだまだ社会勉強が足りてないわね
こういうときは、こんな風に言うのよ
『全部おまかせします、信用してます、お願いします』ってね
あ~だこうだと文句をいう顧客と、全部任せますって顧客がいたら、
あなたどっちのために頑張る?」
もちろん即答した。
「お任せします、よろしくお願いします」
あんなに嬉しく、身にしみた他人の諫言はなかった。
なんか、思い出話になりましたが、
要するに、
- 戦っても、自分の壊された人生は修復できない
- 相手(敵)も倒せない
- 手にする金も、満足できる金額には絶対にならない
たとえ、最高裁まで戦ったとしても……。
だから、あきらめて、さっさとけり付けて次に行きなさいと。
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かように、確かに労働法は労働者を保護してなどくれませんが、
あのときの、労働委員会と労働委員の先生たちには
いまでも、とても感謝しています。
実質的なところでは救われませんでしたが
あれがなかったら、
『後ろ手に縛られた状態で一方的に殴られっぱなし』
みたいな状態だったと思うので
心の救いにはなったと思います。
そういうことを、この記事読んで思い出したので、
ちょこっと書いてみました。
以上です。