15粒目「神ノミ知ル世界 ~知流と咲耶」 | 砂のブログ

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「線は無数の点から成り、…」で始まるボルヘスの
“砂の本”の様に、始まりも無ければ終りも無い
日々の営みの中で感じたことや思いついたことなどを
つらつらと綴っていこうかなと、ね。

“縁結び”や
“恋愛成就”の

神社や
パワースポットへ
いそいそと参り詣でる
女子を見る度に思うのは

その神社や
そこに祀られている祭神の
詳細や由来は
知っているのかしら?

と、いうこと。




例えば、

京都の
貴船(きふね)神社は
中宮に祀られる
“磐長姫/イワナガヒメ”を
縁結びの神とし
恋愛成就の人気パワースポットに
なっているそうだけど

あー、(ヤな方のあー)
ってな感じっす。


日本神話に登場する
磐長姫は
大山祇神(オオヤマツミ)の娘
つまり女神でさ

大山祇は
磐長と
その妹の
木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)の
二人を

天孫、
つまり天皇の祖となる
瓊々杵(ニニギ)が
地上を統治し国を作る為に
降り立つ際に
瓊々杵の元へと
嫁がせるんだけど

木花が名前の通り
美しい姫であるのに対し
磐長は残念ながら醜女、
つまりブスだった為に
送り返されてしまう


神々は各々
何かを司る能力を持っていて
磐長は“永続”を
木花は“繁栄”を
司る女神で

大山祇としては
国の繁栄が続くようにと
願ってのこと
だったんだけど

磐長を返したことで
天孫や人の寿命が
短くなってしまった

と、いう話でさ

そもそも、
磐長姫の別名は

“木花知流姫/コノハナチルヒメ”


磐長と知流の
どちらが別称かは不明ね

木や花が
咲き誇った後
枯れ散り
種子を残し再びというように
栄枯盛衰は循環するもの

つまり、
知流と咲耶は
対で一体の女神とも
云えるわけです。


で、磐長のどこにも
縁結びの性質も説話も無いばかりか
日本書紀には
身籠った妹の咲耶を
呪ったという一文もあり
たいへん怖い女神でもあると

そこから、
貴船神社は
呪詛や縁切り
“宇治の橋姫”にまつわる
丑の刻参りで有名になったのかも
知れない、と。


まあ、

神社、
神道は長いこと
神仏習合によって
力を削がれ
やっと離別した時には
まるで仏教が国教の有り様

で、

真の国教である
神道としては
人を集め勢いを盛り返す為に
様々な神の力を膨らませ
大衆受けする新たな力を考え出し
付け加えたわけでさ

縁切りや呪詛
丑の刻参りじゃあ
人が集まらんということで
後々に創作されたんでしょう。


ま、
人を創った
神話や神様を創ったのは
人なんだし
話を盛るくらい
とも思うけど

それで良いの?
とも、ね。




扠、

以前も書いたけど
良縁を司る神様は居ても
恋愛成就の神様は居ませんので


勿論、異性との
良き縁も含まれては
いるんだけど

神様って
人が自分らへの
戒めの為に創ったものだから
人以上に
人間臭く

ブスだから
実家へ帰すってな
くらいだから

そんなのが天皇の始祖って
この話を考えた奴も
どうかと思うけど

良縁の後の事は
神の預かり知らぬとこ
自分で努力せえということと
良く知りもせず願っても
ということですよ。