511粒目 「表現の自由、の後ろに見え隠れするもの」 | 砂のブログ

砂のブログ

「線は無数の点から成り、…」で始まるボルヘスの
“砂の本”の様に、始まりも無ければ終りも無い
日々の営みの中で感じたことや思いついたことなどを
つらつらと綴っていこうかなと、ね。

ホラーや
サスペンス
アクションものの
映画やドラマ
漫画は
好きだけど

ストーリーが
陰鬱過ぎたりすると


小説は、
想像力を“萎ませ”て
脳内調整できるし
字面として流せるけど
画は、
嫌がおうにも
入ってきちゃうので

ハッピーエンドじゃあ
なくていいけどさ
因果応報と
ささやかな救いは
欲しいかな
と、

そういう意味でも

「Dogville」

2003(デンマーク)
監督・脚本/ラース・フォン・トリアー
主演/ニコール・キッドマン

は、
サイコー。




扠、

ストーリーに
メリハリを付ける為に

登場人物を不幸な目に
遭わせる
人物設定として暗い過去を
背負わせる

ことに因って
湧き起こる

悲嘆、悲痛、慟哭、号哭、
悲憤、憤怒、憤激、激昂、
絶望、虚無、

などの
激しい感情が
ストーリーを劇的に展開させる

という手法があり


捜査ものや
サスペンスでは
レイプや不倫などが
よく使われ

テーマの主旨や展開上
どうしても必要だというなら
ともかく

別にそれじゃあなくても
ということが多く

インパクトやキャッチーさ
作品全体のカラー付けに
特化した使用感が否めないな

と。


主要な
登場人物を

当人へのレイプ
妻や恋人や娘へのレイプ
夫や妻の不倫
恋人の浮気

などに因り
苦しめるのは確かに

人種性別年齢を問わず
誰しも等しく辛く苦しく
想像による共感も簡単だし

生きながら
全てを奪われ壊された
まさに“生き地獄”が続くので

多用されがちだけど


そうでもしないと
人を惹き付ける作品が作れない
メッセージが伝えられない
というのであれば

残念だし、
悲しいよね。


何より、
自分が嫌なのは

レイプや不倫などは
殺さずして
人としての尊厳を
辱しめ貶めるという
浅ましく卑しい行為だからで

例え作品、
お話だとしても
まるでスパイスのごとく
手軽気軽に
扱わないで欲しいな

と。




“死刑制度”や
“冤罪”の問題をテーマとした
サスペンス作品

「The Life of David Gale」

2003(米)
監督/アラン・パーカー
製作/ニコラス・ケイジ
主演/ケヴィン・スペイシー
ケイト・ウィンスレット

作品としては素晴らしい
けれど

冤罪のレイプ殺人による死刑
という設定ではなくても
テーマの追究は
できたでしょうし

レイプ殺人と
その冤罪という
主題として扱うべき問題に
言及するつもりもなく

作品としての厚みや
冤罪による死刑というテーマを
飾り立てる為に

物語のラスト、
“大落ち”の為に

必要なスパイスだった
というだけで

この作品を見終わった際の
何とも言えない
やりきれない後味の悪さ
よりも

そのことへの不快さ
の、方が
どうにも強くてさ


そういった、
エンターテインメントとして
商品を売る為の

“お飾り”や
“引き”に

一生を
台無しにする
という意味では殺人と
大差無く

その後の人生によっては
殺されるよりも酷な

レイプや不倫などを
軽く扱う作品は
ゲスいだけで

自分は
好きじゃあない

と。




もうちょっと
書きたい事があるんだけど
長くなるので
また、