仕事で、ホンダAX-1のお相手をしました。
こちらのバイクですが、街乗り重視みたいで、足付きも良く、楽そうな
バイクですね。
ご依頼の内容は、「ヘッドライトが正常に点灯しない」ので、修理をして
欲しいと言うものです。
症状を見せていただくと、右のロービームは点灯するけど、
左は点灯せず。(LED球らしく白く点灯)
ディマーをハイに切り替えても、変化なし。
パッシングボタンでは、ハイビームは左右ともに点灯する。
ここで、症状を見る際、最初の左ロービーム不点灯は、
ライトを正面から見ていたけど、
そのほかの症状は、壁に映る点灯状態を、確認していました。
(これが間違いのもと)
ここまでお客様の説明を聞いて、お預かりしました。
今回はマニュアルをお預かりしているので、当然配線図もありますし、カウル類の着脱方法も分かるので、楽に対処できるだろうと踏んで
いました。
ではライトユニットを外しますか。
外したライトユニットです。
このライトユニットは、このユニットに取り付けてあるヘッドライト球と
ポジション球が、
車体側の110型4極コネクター(画像上側の白いコネクター)を介して
接続されていて、ライトユニット側にはサブハーネスがあり、
4極コネクターの内訳は、青(ハイビーム),白(ロービーム),
茶(ポジション),緑(アース)の4極です。
って事は、サブハーネスの中で、左右に分かれているんだから、
片方しか点灯しないのは、サブハーネスがおかしいって事ですよね?
電球を外してみると、片方の電球の電極が、ハンダが剥離した状態
です。
でも、ヘッドライトの電球はLED球ではなく、フィラメント球?!
青コーティングもしていないのに、なぜ白色に見えた??
続いてソケット。
左右のソケットで、それぞれ同じ側の電極が、熱による
台座変形によると思われる脱落が見られます。
これが、ローは不点灯で、パッシングが点灯する理由か?
でも、理屈が合いません。
ローの片側は点灯して、ディマースイッチでハイに切り替えるても、
ハイは左右不点灯だったんだから・・・
(。´・ω・)ん?
フィラメント球単品では、左右球ともに導通があり、問題なし。
ん?、ディマースイッチのハイ側接点の不良?
さっきの車体側の4極コネクターの電圧を当たります。
ハイ,ローの青,白とも、ディマーを切り替えても電圧なし。
ふんじゃぁ、右ハンドルスイッチのライトスイッチの不良か?
タンク下の右スイッチコネクターを切り離し、右ライトスイッチの
導通を当たろうかと言う時に、”イヤ、イヤ、電源を先に確認した方が
良くねぇか?”って考えが頭をよぎり、
ライト電源の白-緑をテスターで当たると、電源の電圧は無し。
で、やっとヒューズに辿り着きます。
ヒューズボックスのライト用ヒューズ、
10Aが切れてました。 (;^_^A
じゃあ、片方が点灯していたのは何?ってことですが、
点灯していたのは妙に明るいLEDのポジション球で、
左のLEDポジション球は単純に球切れ。
結果、ヘッドライトが左右で点灯状態が違っていた訳では無く、
ヘッドライトはヒューズ切れで点灯しなかっただけ。
パッシングは、別ヒューズを通った電源なので、点灯していたって
訳です。
パッシング別ヒューズ回路の考え方は、私は反対です。
だって、ライト回路に異常が有って、ヒューズが切れた時に、
症状を確認するために色々操作をするでしょ?
その時に、パッシング操作すると、ほかのヒューズも切れます。
2箇所もヒューズ切れしたら、人間訳わからなくなるでしょ。
通常のライトONはライトスイッチやディマースイッチ経由で電球に
到達しますが、
パッシングはライトスイッチやディマーのハイ,ローに関係なく
点灯しなければならないので、回路は別系統になります。
でも、ヒューズはハイ,ロー同時点灯でもヒューズ切れしない
ヒューズ容量を設定すれば良いだけで、同じヒューズ回路で
良いはずです。
なので、私はパッシング別ヒューズ回路に反対です。
さて、ヒューズを新しい物に換えて、各コネクターで電圧が正常に
出る事を確認し、ヘッドライト電源回路はOK。
続いて、ヘッドライトソケットです。
ソケット電極が脱落していたので、ソケットを交換します。
このままではソケットの配線接続ができないので、110型コネクターを
切り離して、
保護チューブを取り外し、新しいヘッドライトソケット配線(T-19)と、
ソケットが大丈夫なポジションソケットを組み合わせ、
繋ぎ直して絶縁処理したら、元通りに保護チューブを付けて、
110型コネクターを新しくして、
ライトユニットに取り付けます。
これで、ライトが問題無く点灯するかをテスト。
ヘッドライトが点灯していなかったにも関わらず、ロービームが
片側だけ点灯していたと勘違いした事の発端と言うか原因は
妙に明るいLEDポジション球が、片側だけ点灯していて、
ヘッドライト球がヒューズ切れのために点灯していない事に
一切気付いていなかったことが原因。
最初から、ヘッドライト球が不点灯と認識していれば、
こんな回り道をしなくても良かった筈。
ここで、もう一つ考えなければならない事が。
そもそも、”何でヒューズが切れたのか?” って事です。
多分、の推測ですが、ヘッドライトソケットのロービーム側電極が、
熱によって電極ベースが溶け、
電極がベースから脱落し、ソケットのアース側周囲金属部分に
接触してショートしたのが原因だと考えられます。
ヘッドライト球は、35Wとそれほど明るい球ではありませんが、
35Wと言えども、発熱量は結構なものだと言う事が分かります。
電装系で10W以下でも、発熱すると、手では触れないぐらい
熱くなり、結構火傷します。
気を付けましょう。
ヘッドライトユニットを取り付けて、
ライトカウルを取り付ければ、組み立ては終了。
各保安装置の機能を確認して、作業は終了です。
またライトがまともに点灯せず、ソケットが原因だったら、
ソケット交換後に同タイプのLED球にするか、
H4ソケットに換えて、H4のLED球に換える事を、お客様に提案して
お引渡ししました。
まあ、しばらくは大丈夫でしょう。
おしまい