お仕事でホンダVFR750Kのお相手 | 退職してバイク電装屋

退職してバイク電装屋

自分のDUCATI SS900ieやKATANAⅢ型カタナのメンテ,お仕事のバイク電装作業中心のブログ。
バイクのほか車,家族,趣味のネタを掲載してます。

仕事でホンダVFR750Kのお相手をしました。

 

VFR750K

Kが付いているので、教習車ですね。

 

教習車には関係ありませんが、我々の年代には懐かしい、

垂れ付きスクリーンです。(^_^)v

 

確か教習車は発進しやすくするため、低速トルク増加型の

カムシャフトが入っていたと思います。

 

その代わりに高回転が伸びないらしいですが、

都心中心乗りなら、逆に良いのかもしれません。

 

ご依頼の内容は「セルリレーは動作するけど、セルが回らず

エンジン始動ができないので見て欲しい」と言うものです。

 

ご来店のため押し掛け始動を試みたそうですが、

始動に失敗して、レッカーでご来店。

 

あと、「左右どちらかのウィンカーがハイフラになる」との

事で、それも調べる事になりました。

 

片方って事は、1箇所のウィンカーランプが、不点灯なだけ

だと思います。

 

では簡単なウィンカーから。

 

ハイフラ再現をすると、何度か試すと右前が不点灯です。

 

ポジションランプ

ライトユニットを外す時に、ポジションランプのギボシ部分に

ビニールチューブが無く、プラス側なのでショートする危険性

有りです。(゚Д゚;)

 

組付けるまでに修理します。

 

ウィンカーはと言えば、

ライトケース内ギボシ

画像中心よりチョイ右上に写っている、W接続のギボシ部分で

接触不良が起こっていました。

 

W接続のギボシメス端子を、ちょいとカシメて接続し直し。

 

症状は解消しました。

 

純正ではW接続ギボシは使わないと思うので、誰かが加工

したんだと思いますが、

 

ホンダ系は細い(3.5mm)ギボシ端子を多く使っていて、

標準のギボシ端子(3.9mm)を使うと、接触不良を起こします。

 

Wギボシ端子に3.5mmは売っていないと思うので、

使う時は気を付けましょう。

 

Wギボシ端子の保護チューブもズレた状態で付けられていて、

オス端子の露出部分を隠すためにビニテを巻いていましたが、

 

保護チューブをしっかり差し込んで、ビニテは外します。

 

ギボシ端子養生

続いて、分解時に発見したポジションのギボシ端子。

熱収縮チューブで養生しました。

 

ギボシ端子打ち替えた方が簡単だったかな?

 

では、本題のセルモーター。

 

バッテリーを繋いだ状態で、症状を確認します。

 

スターターボタンを押すと、セルリレーは元気にカチッ,カチッ

と音がします。

 

が、モーター音は”クッ”とも音を発しません。

 

続いて電圧測定。 セルリレーのバッテリー側端子、

ボタンを押さない時は12V以上電圧が有ります。

 

今度はセルリレーのモーター側端子、ボタンを押すと6V

以下に電圧が落ちます。

 

続いてセルモーターの端子、ボタンを押してもテスターの

電圧表示は読み取れないほどの値。

 

モーターの端子は温度が上がっていて、電流が大きく流れて

いるように思え、モーター動作音が全然ない。

 

って事は、モーター短絡してる?

 

スターター分解前

セルモーターを外しました。

 

おかしな合いマークのテープが貼ってありますが、無視をして

まず端子部分のナットを外します。

 

絶縁カラーはしっかりハマっているので、端子部分は問題無し。

 

バラします。

 

ブラシ部分を外すと、

ブラシ保持板修正前

画像中央のブラシ保持板(ブラシセットアッシー)のノッチ(爪)が

潰れて板が変形しています。

 

って事は、ノッチが磁石筒の溝にハマっていなかった可能性が

高いです。

 

ここの位置がズレると、モーターは正規のトルクを発揮

できません。

 

ブラシ保持板修正後

板を修正して、ノッチがしっかり出っ張った形になりました。

 

ブラシ保持板を正規の位置に組み込み、磁石筒との位置

関係に注意して組み立て。

 

試験電源装置で6V時の動作を確認し、エンジンに組み込み

ます。

 

ではエンジン始動を試しましょう。

 

”キュルキュル”ではなく”キュッ”の一発で、エンジンが始動。

めっちゃ始動性良いです。

 

以前、どこぞのショップで、セルモーターのメンテナンスをした

そうですが、その時に壊したんでしょうね。

 

修理後のセルリレーのモーター側端子、ボタンを押すと

10~12V弱で、電圧は大きく下がったりしません。

 

エンジンのクランク位置と、セルモーターのブラシ位置に

よっては、始動できていたのかもしれませんが、

 

位置が悪いと、正規のトルクが発揮できず、エンジンが始動

できないうえに、大きな電流が流れる状態だったと

考えられます。

 

そのせいで、始動できるときも有れば、全然始動できない事が

あったんだと思います。

 

始動はできましたが、エンジンノイズが大きい。

 

教習車は発進停止と極低速が多いので、セルの負担と

マフラーの破損,詰まりが多く、

 

ご近所ショップに聞いたところ、ピストンやリングの摩耗が激しく、

 

教習中古は走行距離が短くて安くても、「絶対買っちゃダメ」

って言ってました。

 

教習所のメンテもどんなレベルでやっているか、分からない

もんね。

 

ホンダ車特有の充電系焼損も、別ショップで修理した実績も

あるらしく、気にされていたので、

レギュレータコネクタ

焼ける可能性の高いレギュレーターコネクター

スターターリレー

セルリレーのコネクター

ジェネレーターコネクタ

ジェネレーターの出力コネクターを見ておきました。

 

ジェネ出力は配線に焼けがあり、ショップさんで切り詰めて

端子を交換した様に見受けられます。

 

現状、特に異常はありませんでしたが、純正同等品に交換した

だけ(別型端子へ交換等ではない)なので、当然また焼ける

可能性が有ります。

 

お客様に、「たまには見て、焼けていないか注意して下さい」と

伝えて、お引渡ししました。

 

 

 

 

 

 

 

おしまい