今の仕事を始めて3年になりますが、最近のバイクはいじれないのと、若い人で乗る人が少ないせいか、旧車の電装パーツ修理が多い昨今です。
今回も、パーツ単体ですが初めて見たバイクの物です。
バイクは、
中国製の「長江」と言う会社のバイクで、750ccの「CJ-750 M1」と言うのだそうです。
このバイク、BMWのソ連コピー版を、さらに中国がコピーしたもので、軍用サイドカーです。
(コピーのコピーは画素が荒れるσ(^_^;))
お客様は、海外のお仕事をされていて、ソ連の同系バイクに乗り購入を希望だったそうですが、輸入の目途が立たず、そのコピー版の中国のバイクを購入したそうです。
サイドカー付きなので、国産バイクの様にピークパワー型ではなく、トルク型のエンジンと思われますが、サイドバルブ(SV)の水平対向エンジンから、20馬力程度の出力らしく、”ソ連製は良かったが中国製はちょっと”との事でした。
トルク型とは言え、このご時世にSVで750で20馬力程度って、どうなのよって感じですが・・・
電装系は6Vで+接地って所もどうなのよ!!(゚Ω゚;)
今回お預かりしたのは、このバイクのレギュレーターで、中国語の電装系取扱説明書をお持ちいただきました。
取説の内容は、機械式のレギュレーター(他にもダイナモなども含む)の動作説明で、メグロなどの国産と多少の違いはあれ、”考え方は同じだな”などと思っていました。
こちらが外観。
オーナーさんは、まだ開けた事は無く、内部がどうなっているか分からないので、”とりあえず使えるのか診断して欲しい”との事でした。
/(^O^)了解
リレーが動くか、動作値はどうだろうと想像し開けてみると、Σ(゚д゚;)
内部は静止化(ソリッド化)されていて、機械式のリレーは付いていません。
静止化の回路はいじれないので、今までですとお断りしていたのですが、預かった以上、若干の調査と測定はしたいと思います。
まず、基板のパターンを読み、回路構成を記録して、素子を調べれば設計思想は分かるはずですが、残念ながらトランジスターのデバイスが読み取れず、回路構成や特性が正確に把握できません。
分かる範囲でバイアス電圧やツェナー電圧、順方向電圧などを測定し、画像左側のカットアウトリレーに該当する大型のダイオードや、基準電圧を作り出しているツェナーダイオードに問題が無いことを確認。
このユニット(と言うかこのバイク)は、+接地(シャシー側が+)なので、いちいち頭の中がこんがらがります。((゚m゚;)
ケースにDC発生装置の(+)を接続し、ダイナモ出力が接続されるWA端子に(-)を接続して、電圧を可変しダイナモ界磁コイルを接続するW端子の電圧を測定します。
この時ダイナモの抵抗値が分かっていれば、ダミー抵抗を接続して出力電圧を測りたいのですが、無いので端子間電圧を単純に測ると、やはり界磁コイル用の端子間では良否が分かりません。
W端子とケース間の電圧は、印加電圧が8V程度までは0V(界磁コイルに電圧が掛かる)、8Vを超えると印加電圧と同じ電圧値が出ます(界磁コイルの電圧は打消しで0V)。
どうやら機能は正常の様です。
取説には8.5Vで界磁コイル電圧はゼロになる設計の様ですが、8.5Vは高いような気がするし、どのみち素子を取り替えないと調整は効きません。
お客様には、使用に問題無しとして報告する予定です。
無事働いてくれる事を祈って・・・
おしまい