春風亭一之輔 独演会にて | Route 9  西へ東へ

Route 9  西へ東へ

難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患し気管切開した ポンコツおやじのブログです。
自分では 視線入力で意思伝達装置のmiyasukuを操作することしかできません。
ベッドの上で天井を見つめながら あれこれと思いを巡らせる毎日です。

6月5日の夜は島根県大田市の市民会館で 落語家の春風亭一之輔 独演会があり、妻と娘に付き添われ出かけてきました。

初めての高座は面白かったのですが、「中入り」後に私の人工呼吸器の外部バッテリーが切れて 内部バッテリーに切り替わってしまったのです。
バッテリーの切り替わり事態は問題ないのですが、内部バッテリー使用中は電源コードを繋いでないと、30秒ごとに「ピピッ、ピピッ」と警告アラームが鳴ってしまいます。

迂闊でした、内部バッテリーから使うとか、こまめに充電しておけばよかったのですが…
指定席の近くにはコンセントもなく、延長コードも持ち歩いていませんでした。

落語が聞こえないわけではありませんが、明らかに周りの方には耳障りです。私も楽しんで話を聞くどころではなくなってきました。

残念ですが他の方にご迷惑をかけるわけにはいきません、ホールを出ることにしました。
ロビーには会場を映し出すモニターがあり、そちらで最後まで見させてもらいましたが、私のような者はこのようなところには もう来られないんだと悟りました。


公演が終わり 皆さんが会場を後にされますが、私は何をするにも もたつくので 最後に会場を出ようとした時です。
今日の様子を見ていた主催者の方に事情を聞かれたのでしょう、高座を終えてお疲れのところを 師匠がわざわざ声をかけてくださったのです。

師匠に握手をしてもらいましたが、私には握り返す力はありません。声も出ないので お礼を申し上げることもできませんでした。

入院中でしたが、外出、外泊許可を取り 見に行った甲斐がありました。おまけに当日の演目までいただきました。
最後まで会場内で皆さんと一緒に楽しむことはできませんでしたが、とんだサプライズを頂いて帰りました。

もうしばらく入院は続きますが、これで退院まで頑張れそうです。主催者の皆様、春風亭一之輔師匠に感謝です。