「息ができない、苦しい・・・ あれ?」 | Route 9  西へ東へ

Route 9  西へ東へ

難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患し気管切開した ポンコツおやじのブログです。
自分では 視線入力で意思伝達装置のmiyasukuを操作することしかできません。
ベッドの上で天井を見つめながら あれこれと思いを巡らせる毎日です。

「吉岡さん手術が終わりましたよ、わかりますか」と声をかけられて ぼーっと目を覚ますと、見えたのは天井の灯りと私を覗き込む数人の顔。


「あー、終わったんだ」と安堵して 深呼吸しようと息を吸い込んだら… 「あれ、息ができない?」 焦る私に「無事に終わりましたよ」と執刀医。
「いやいや、先生 苦しいです」 必死になって目だけで訴える私。もちろん伝わらない。

頭をよぎるのは 3ヶ月前にマスク型呼吸器のバッテリーが切れて息ができなくなり、意識を失った経験。


「ヤバい、そろそろ気が遠くなるぞ。そうなったら何とかしてくれるだろう…」諦めかけた私に「酸素は入ってます、数値も安定してますよ。落ち着いて」と先生が冷静に話しかけます。

 

すると「あれ、呼吸してないのに意識はまだあるぞ …どういうこと⁉」鼻と口を塞がれてるのに生きてるような 不思議な感覚に戸惑いました。 やがて「そうか これが気管切開なんだ」と気づいてからは「手術は成功したんだ、心配しなくていいんだ」と呪文のように繰り返し唱えて 冷静さを取り戻しました。


今になって思えば何のことはない、私の呼吸のペースが呼吸器のタイミングと合わなくて、焦ってパニくっただけのことでした 笑

 

 

これが私の気切直後の体験です。

気管切開と誤嚥防止術(声門下喉頭閉鎖術)を同時にしたので、全身麻酔で約4時間半の手術でした。

 

妻には LINEで説明しましたが「へー、大変だったね」ってなもんです。でもいいんです、当然のことです。これは気切したからわかった私の貴重な体験なのです。

 

今では喉からの新しい呼吸法?にも慣れました。気管孔からの痰吸引は「おえっ」となりますが、これも慣れるしかないでしょう。

またすこし ALS患者らしくなった気がします。