CB1100R(D) :最善の選択とは・・・? | M.B.A.E.S

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現在製作中の車両・現在販売中車両・過去の販売車両を「どのように何をしたか」といった作業内容・詳細を記した記録です。



エンジンを分解してから3カ月の月日が流れた・・・。。
私は知り合いの輸入屋さんに「CB1100Rのエンジンだけってありませんか?もしくは1100Fでも構わないんですけど・・・」と、声を掛けたり、オークションで探す日々を送っていた。
ヤフーオークションで1機エンジンは出品はされていたが、“使いモノになるか?”の信憑性が低く思え、落札することは出来なかった。
こういった全権を任された修理での中古部品選択責任は私に圧し掛かる。
つまり私の選択ミスで使用不能な物を仕入れてしまうと、御客様から代金を頂くことは出来ず、ウチの負担になり、金をドブに捨てることになるのだ。
軽く焼いていても気づかず乗っている人がいる(動くエンジンがある)のに、『クランキング確認済み』程度の説明でノークレームなエンジンなんかに、40万円の博打(バクチ)が打てるはずはなかった・・・。



そんなある日、オーナーのTさんが店に来て、
「〇〇〇〇のコンプリートエンジンってどうなの
と言われた。
そんなモノが存在する事を知らなかったので、その場で〇〇〇〇社に電話をした。
“代わる代わられる電話口の人数”“最後の担当者の口振り”から、“ほとんど依頼の無い、社員一同そのサービスの存在すら忘れている”ように感じた。
「たしか1100Fですがベースエンジンがあったと思います。実際にあるか確認して折り返し連絡します」
と電話を切った。
一筋の光が見えた事でTさんと喜んだ。

数日後、〇〇〇〇社の担当者から連絡が来た。
「1100Fであればベースエンジンがありますので製作可能です
との事だった。
朗報だが、『大きかった1つの問題がクリアすると欲が出てくるのが人間の性』だ。
私は調子に乗って、
「1100Rの、それもRDのエンジンはありませんか
と尋ねた。
というのも、1100RDエンジンと1100Fエンジンでは基本設計は同じだが、ヘッド周りが別物で、『1100RDのシリンダーヘッドはスペシャル品』だったのだ。
そんな都合良く有るはずもなく、1100Fエンジンをベースにコンプリートエンジンの話を煮詰めていった。
「製作するにあたり、色々制約があります」と、あちら側の条件を提示された。
 ・ベースエンジンのみでは販売しない
 ・ピストンやカムシャフト、その他の部品全て当社選択のSPレース部品を使用する
 ・塗装や磨くといった類の作業は無し
 ・販売価格はおおよそ220万円、(250万円が上限)
 ・エンジン発送はせず、〇〇〇〇社まで車で引き取り
 ・保証無し
といった内容だった。
「あの短命ピストンを使って保証無しかぁ・・・・」
今だ残る、“レース部品使ったら保証なんか無いし、クレームも受け付けない”悪しき習慣・・・。
『私の車両に使用するエンジンなら答えはNO』だが、これはTさんの車両に使うエンジン。
Tさんに結論を委ねることにした。
「任せます
との事だった。
この答えは“当店や私を信頼している”という事と、“オイル漏れ~エンジンブローまでのエンジントラブルを当店が責任を持って無料でリカバーしなければならない”ことを意味していた。
・私の車両に使用するエンジンなら、このコンプリートエンジンは使わない
・耐久性重視の当店が決して選ばない『一瞬のキラメキパーツ多数選択』
・誰(力量)が組んだかわからないエンジン
上記3つの理由でコンプリートエンジンプランは取り止めにすることにした。


結果、振り出しに戻り、エンジンを探す日々に戻ったのだが、〇〇〇〇社に問い合わせし、担当者&Tさんとプランや部品選択や納品&支払いの打ち合わせ。〇〇〇〇社との間で決定した事項はその都度Tさんに報告・相談。
「Tさんが一番幸せになれるのは・・・を一生懸命考えた日々を記しておく。