おはこんばんちは~
今日のインド映画^^
「Vaathi」(2023年 テルグ語/タミル語)
ヒンディー語版は「Sir」というタイトルになっています。意味は「先生」
題のままで教師の話なのですが、ちょっと「スーパー30」のアーナンド先生みたいな感じ。
日本のネトフリでは配信されていないようです。
インドでは教育にかかる費用がどんどん上がる一方。
補習校で学ぶ学生のアビラムとその友人は教師が何を教えているのか分からず、またそれが宿題というので頭を抱えていました。
父親は、アビラムの2日間の休みの間にアビラムの祖父のやっていたビデオショップを片付けてこいと言います。
祖父は亡くなっており、古いビデオショップも放置されたまま。父はそこを売って、アビラムの教育費に当てようとしています。
友人2人と行ってみると、店は埃だらけ、ビデオカセットとCDが散乱しています。
アダルトCDの後ろに箱に入ったビデオカセットを見つけます。
アダルトCDの後ろに隠されているのだから、もっと凄いものじゃないかと、3人はドキドキしながらデッキをつなげ、
ビデオを再生してみます。
写っていたのは黒板の前に立つひとりの男。
黒板に次々と数式を書き始めます。
そのうち場面が変わるんだよ、などと言いつつ見ていましたが、
只々数式を解き続けるだけ。
そのうちにアビラムが、あれ、これって!と宿題のノートを開きます。
同じ問題で、それが非常に分かりやすく説明されています。
箱を調べると、貸出しカードが入っていて、日付は2000年、A.Mクマールと言う名と、住所ががかかれていました。
この人に教えてもらえば、自分たちの成績も上がるに違いない。
3人は訪ねて行きます。そこにある学校で教師をしているのではないかと。
しかし、誰も知りません。
昔その学校で用務員をしていた男が居るから聞いてみろ、と言われて行ってみると、
A.Mクマールはそこの学生だったが、今ではカダパ地区の行政長官をしている、と言われます。
3人は、とにかく彼が誰なのか知りたくて、はるばると訪ねて行きます。
行政長官に会うためには、3時間待たされました。
3人が部屋に通され、長官の顔を見ると、ビデオの男とは違います。
3人が、無駄足だったんじゃないか、ともじもじしていると、
長官は、いったい何のために来たのかと問います。
そこで、ビデオカセットと一緒にあった貸出しカードをたどってここに来たことを告げます。
長官はビデオカセットを懐かし気に眺め、
祖父を知っており、葬儀にも行った、と言います。
アビラムがビデオカセットで講義をしている人は誰なのか、と聞くと、
長官は「バーラ先生。私の先生だ」と言います。
そして1998年からの物語を話し始めます。
1990年代、インドは経済成長に伴って、高学歴者の需要が高まって来ていました。
試験対策のための(中流以下には出せないような学費を要求する)補習校が乱立。
補習校が公立学校から経験のある教師を高給で引き抜くため、公立校には教師が居なくなり、
1998年政府は公立学校を閉鎖してしまいます。
反政府団体が猛烈に抗議を始め、困った政府は問題を私立学校協会に丸投げ。
ほぼ全員の教師を手にしている私立学校協会が、公立学校の面倒も見る、という形になります。
しかし、公立校から優秀な学生が出ては、私立校の収入が減る。
そこで私立学校協会会長をしているトリパティは(この人が金と権威欲との亡者)、公立校には、新米の補教師を送り込んで、私立校との格差を見せつけようと考えます。
そのような目的で新規にトリパティ・スクールの教師として採用された者たちの中にバーラがいました。
バーラは純粋に公立学校の再開で、貧しい学生も学べるようになる、と熱意を持っていました。
バーラが送られたのは辺鄙な村。
貧しさの故に、子供は学校にはやらずに働かせ、
娘は嫁に出すから教育は必要ないという親ばかりでした。
公立校の生物学教師ミナクシは、バーラにそのような村の状況や、
今まで来た教師が皆教育意欲などなく、不平を行ってはすぐ村を離れて行ったため、
子供達が信用せず、学校に来ないのだ、と教えてくれました。
バーラは村人を集めると、教育の大切さを解き、
賛同をえます。
子供たちが学校に来るようになりました。
バーラは道で寝ている足の悪い少年が賢いことに気が付きます。
周りに聞いてみると、少年マトゥは以前はこの学校の学生でしたが、
試験の直前に両親が生活苦から自殺。
生きるために村の雑用を引き受けては生活しているとのことでした。
バーラは彼を自分の部屋に連れてきて、彼を雇うと言い、
その代わりにバーラのいうことはなんでも聞くようにといいます。
バーラが言いつけたのは、教室で他の学生と一緒に学ぶことでした。
学年試験には全員が合格。
お祝いをしている所にトリパティがやって来て、
バーラが彼の方針に逆らっていることを告げます。
そして、優秀だったのに気が付かなかった、
一緒に街へ行って、トリパティ・スクールの教師になるようにと言います。
バーラがそれを断ると、
教育委員や村長までを抱き込んだ、トリパティの妨害が始まります。
とうとう警察を動かしてバーラを逮捕し、暴行を加え、村の外に追放します。
関わらないようにと言われたので、大人たちは知らぬふりをしますが、
子供たちは、村の外れまでバーラを送ります。
父親の所に戻り、職探しをするバーラでしたが、
手が回っていて、どこも採用してくれません。
庭先で小さな塾をしている所にミナクシが訪ねてきます。
後から来た公立校教師がひどい事を告げ、
子供たちを見捨てないで欲しいと頼みます。
しかし、どんなに頼まれても、バーラは村で教えることはできません。
そこで、ビデオ撮影もする、ビデオ店店主のブパティ(アビラムの祖父)に、授業を撮影してくれと頼みます。
そしてそれを、青少年限定無料映画ということで、内密に廃屋となっていた劇場で流し、子供たちがそれを見て勉強することにしたのです。
バーラがビデオの中で言います。「目指すのはただの学年テストではない。君たちはTNPCEEテストを受けろ!」と言います。
(TNPCEEテスト:タミルナドゥ州の医学、工学系大学の入学許可が出るテスト)
バーラの指導の下、45人の生徒がそれに挑戦します。
しかし、それがトリパティの知る所となり、テストに向かう生徒たちが乗ったバスが襲撃されます。
生徒たちは無事でしたが、バスは動かなくなりました。
しかし通りかかった、水牛の荷車に乗せてもらって、かろうじてテストに間に合います。
テスト結果、45人全員が合格。しかし、トップ合格をした46番目が居たのでした。
…それは…
ここはあまりにも感動的なので、万が一観る機会があるといけないのでふせておきます。
どうしても知りたい方はコメントください(笑)(笑)
大量合格者、しかもトップ合格者が出たことを知ったトリパティは、次の戦略に出ます。
個々の家庭を巡って、払えないであろう大学の授業料を肩代わりする代わりに、合格者はトリパティスクールの指導を受けたということにする、そして一切バーラの名前は出さないことという書類にサインするように、と言います。
躊躇っている学生たち。
バーラはビデオから語りかけます。
「サインしろ。トリパティのエゴを利用しろ。それで自分の地位を築け。これからもっと教育はビジネス化していくだろう。地位を築いた後、君たちのように教育機会を受けられなかった者たちを助けろ!」
そしてバーラはどこへともなく姿を消したのでした。
最後の18分ぐらいがかなりウルウルの感動ものです。
バーラがどこに行ったか。
それは冒頭のバーラと彼の恩師との会話につながってきます。
色々分かった上で、最初を観なおすと、またまた感動します。
メインのストーリーの中に、小さい村なので根強く残るカースト制の偏見や、
ミナクシとの恋愛と絆なんかが折り込まれています。
ダンスは入ってます(笑) 3か所ぐらい。ダンスを見せるのではなく、物語の流れの中での歌に伴ったダンスで短めです。
実話ではなく、フィクション。
バーラが(少し不自然なくらい)腕っぷしが強いとか、娯楽性は取り入れてありますが、
とにかく観た後はフィール・グッドですね。
どうでも良い話ですが、
バーフバリで、マヘンドラの時もアマレンドラの時もいつも群衆の前に出てきていた、ご夫婦役の方達が、
奥さんだった方はミナクシの母親役で、旦那さんだった方は、カーストが一番低い村人で、1人の学生の父親役で出ていました^^
画像は全てお借りしました。