答えのない答えあわせ



しばらく難しそうだからと
「よかったら、暇つぶしに」 
少しぶっきらぼうな
贈りものみたいに届いた動画

キミは広い芝生の公園で
オレンジ色のハンドブックを
大きな手のひらの中でめくっていた

またひとつ

偶然と呼ぶには
できすぎた重なり


無駄に広い白い部屋で
過ごしたあの日々

わたしのベッドの傍らにも
同じ色をした
手のひらサイズの詩集が
枕の脇に置かれていた

15年以上前に
めぐり逢えた
お守りのような一冊

寝付けぬ夜
夜をやり過ごすたび
頁をめくってきた

心が折れそうになったら、と
数ある本の中から
たった一冊だけ
鞄に忍ばせていた


大きな窓から

西日がゆっくりと
沈みはじめる頃

ふと、思い出して
動画を再生する

オレンジ色の本をめくる
その手もとへ
視線が吸い寄せられ
動画を止めた

そこに描かれていたのは

あのキャラクター

スヌーピー


胸の奥で 何かがひとつ 

つながった気がして


静まり返った部屋で

思わず笑いがひとつ
こぼれた



わたしの足元の靴下にも 
スヌーピーが
ちょこんと笑っていたのだ



靴ひものないスニーカーで

過ごすしか術がなかったあの時


「厚地の靴下ならなんとかなるかも」


あわてて

母が見つけてきてくれたのは 

スヌーピーの

アップリケがついた靴下


外のワゴンに

最後まで選ばれずにいた一足 


まるで

わたしを待っていたみたいに

残っていた


ヘアゴムの輪っかを

靴にくぐらせて

その靴下だけが
歩くための
小さな味方だった


「遠くから応援されてるようだったわ」 

いつか会えたら
この答え合わせをしてみたかった

あの本を選んだのは
どうしてだったの?

わたしの問いかけに

故郷の本棚で
なぜかその一冊に

手が伸びたのだと言った



「特別なものではなかったのね」

少し拍子抜けすると


「だとしても すごいですよね!」


わたしの言葉をさらりと受けとめて

この不思議な重なりを

ふたりでしばらく面白がった



帰り際、

次の予定を立てようと

いつものように

部屋のコーナーの引き出しから

手帳を取り出した


——ああ、そうだった


この手帳も手のひらサイズの
オレンジ色


何度もくり返してきたこの仕草が

ひょっとしたら 

キミの中の無意識が

あの一冊へと

導いたのだろうか


そんなふうに結びつけるのは

少し都合のいい物語みたいで

胸の奥にだけしまっておいた


それでもどこか

「たまたま」

だけでは
片づけられないままで




【1年前にスヌーピーを綴っていた関連詩】

特別な思い入れがありません。


※私two-miracleの綴る詩は

内にある記憶や感情と、創作の中で重なり合う

様々な愛のかたちを、丁寧に描いています。

この詩に触れた方が、 それぞれの心と記憶に、 

静かに響きますように。


TWO Miracleの詩に

音(音楽)がつきました!

花かったらご視聴ください花


▼『火花』

YouTube



Instagramリール

https://www.instagram.com/p/DZkPnEbKk3X/



処女作『愛しすぎたわたしへ』

YouTube


 

Instagramリール

https://www.instagram.com/p/DWTKsZZire6/



月に1回、配信しています。

気軽にお友だちになっていただけますと嬉しいです🕊️

 
友だち追加