
いくつあっても
心臓が足りない
あなたから
また怪我の知らせ
駅の階段8段目から
スローモーションで
落ちてゆく体
咄嗟に頭を守ったら
足首強打
剥離骨折
全治一ヶ月
翌日
朝一番で
痛みで
右足がまったく動かないと
知らせがくる
心臓がえぐられ
神経をすり減らすわたし
朝はただでさえ
気分が悪いから
もう ヤメテよ
こんなときだって
なにもしてやれない
だけど
わたしの出番は
要らなかった
タクシー使って
病院へ向かうあなたの
背中を見送り
いつの間に
大人になったのだと

どうして こうも
あなたは
よく転ぶのか
あの頃の記憶が
呼び戻される
おもいだすのは
小学生時代
「長く保健の先生してきたけど
キミほど怪我の多い生徒ははじめてよ」
保健室では太鼓判のお墨付き
そそっかしいのは
夫譲りね
あのひとも
あなたと同じ
人生8回の大怪我
遺伝はもう
どうにもならないのかしら
気になったのは
怪我の2日前
私とあなたが
珍しく口喧嘩
はじめてあなたの前で
弱音を吐いて涙を見せたこと
こどもの前で弱さを出すこと
ずっと禁止していた私が
あなたの前で泣きじゃくった
繊細なあなただから
影響したんじゃないかって
怪我の知らせの直後
はっとして
自分を責めていたの
でもあなたは
そんなことを
微塵にも感じてない
「俺はまたこの怪我を通して
より人に優しくなれそうだ」
想像と
まったく違う言葉を放つ
どんなマイナスも
光に変えていくあなたは
やっぱりわたしの
誇り高き息子
だけど
もうこれ以上心配させないでね
心臓がいくつあっても
足りないから
※私two-miracleの綴る詩は
わたしの心の内や創作の中に
同時に存在する、いくつもの
愛のカタチを描いています。
誰かを裏切ったり
否定する意図はなく
ただ、一人の人間の記憶として
心を込めて紡いだものです。
この詩に触れた方が
それぞれの心にある愛の記憶と
静かに響き合えますように。