血には争えないもので《醍と邦義》 | ディズニーとアニメと創作と

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オリキャラをこよなく愛しているので、同性カップルも異性カップルも分け隔てなく書きます。(まぁ腐女子でもあるので男性同士が多め?かもしれない。)なので色々注意。

いろいろ整理してたらふと、思いついた話。


すっごい閑話。



「兄さん!」

「醍ちゃん、どうしたの?」


実家の部屋の整理をしていたら、突如として弟の醍が部屋に入ってきた。あまりにご機嫌で、楽しそうなものだから思わず目をパチクリさせて要件を伺うと、自分の浮かれ具合に気がついたのか、一つ咳払いをした醍ちゃんは深呼吸をしてから言葉を発する。


「真利加さんがオーディションに受かったんだよ。」

「あぁ、彼女さん……結局なんだかんだアメリカ行ってて顔見れてないな。」

「あ、そっか。あのね。この舞台なんだけど……」

「……え。」

「?」

「それ、俺が本書いたやつなんだけど。アメリカ行く前に。延期に延期重ねててまだ企画あることを今知ったわ。」

「本当?」

「……チケット取れると思うよ。いる?」

「いる!」


少し放置していたメールを開くと早速その舞台のスタッフからのメールが目に入る。俺が放置していただけだった。まぁ、特に問題があるわけではない。舞台稽古を見に来てほしいというものだ。醍ちゃんの彼女さんを見がてらいくかと、返事をしながらチケットの手配も進める。


「醍ちゃんの彼女さんにも会ってくるね。」

「え?どういうこと?」

「本を書いた特権?」

「良いな〜。」

「本番は一緒に行こうね。」


そんな約束をしたのはほんの2ヶ月前。花よしが密かに活動を開始してしばらく経ったころだ。まだ世間は俺の復活に気がついてないが、この舞台でおそらくバレるだろう。


「花よしさん、お久しぶりです。」

「久しぶりです。」

「新作はいつなんですかね。」

「内緒です。」

「今日は通しですので、しっかりみていってくださいね。」

「たのしみだなぁ。いくら本を作ってもやっぱり現場で変えたくなるしねぇ。」

「それが醍醐味ですよね。」


役者たちには俺が花よしであることは伝えてない。スタッフにまじって稽古を眺める。その中でひときわ目立つ、まるで小型犬のような少女が目に留まる。あぁ、あれが。


「あの子は?」

「あの子は頼城真利加さん。この舞台がデビュー作。いきなり大役なもんで少し炎上中。」

「なるほどねぇ。」

「まずいです?」

「いいや、配役は問題ないと思うよ。」


俺が気になったのは『彼女自身』だ。これは個人的な話なのでスタッフには話さない。通し稽古の中で俺は台本に大量の書き込みをしていく。ダメ出しではない。変更だ。その俳優『らしさ』が出るように足したり引いたりするのだ。


「……!」

「花よしさん?」

「あ、いや、なんでもない。」


真利加さんの出番で思わず反応してしまう。あぁ、聞いてわかった。醍ちゃんて思ったよりも俺に似てるんだなぁ。一通り終わり、姿を見せずに監督に台本を渡す。採用するもしないもこの人次第だ。


「兄さん!」

「醍ちゃん。どうしたの。」

「今日、稽古、行ったんでしょ?」

「あぁ、そういうね。」

「気になるんだもん…」

「真利加さん、炎上中なんだってね。」

「そうなんだ……。」

「まぁ、それは逆手に取れると思うよ。」

「本当?」

「うん。兄ちゃんが保証してあげる。」

「よかった!」


安心した醍ちゃんが部屋の椅子に腰掛ける。茶菓子を水野が出したのを確認したあと、醍ちゃんに話しかける。


「ところでさぁ。」

「うん。」

「醍ちゃん、恋人の好み、俺と同じなんだなぁって思った。」

「は!?」

「ふふ。今日思った。」

「立石さんと、真利加さんぜんぜん違うじゃん!」

「そうかなぁ。じゃ、今から言う質問に素直に答えてね。」


醍ちゃんに向き合ったあとそう告げると醍ちゃんは少し緊張した様子で俺と目を合わせる。


「相手のこと、『犬みたいだなぁ』って思ったことがある」

「あ、る。」

「ぼーっとしてる相手の名前を呼んだら嬉しそうに『なに?』って言ってくれる。」

「うん。」

「ストレートに『好きだ』と言ってくれる」

「うん。」

「好きなことを楽しそうにする」

「うん。」

「目が合うのが恥ずかしいほど真っ直ぐこっちをみてくる」

「みて、くる。」

「あと、これは推測なんだけど。」

「うん。」

「『あぁ、この人に堕ちてる』って自覚したのは歌を聞いた時?」

「…な、んで、それ……」

「あぁ、やっぱりね。あのタイプの声、好きだよね。俺達。」

「……」

「俺も貴志の歌初めて聞いた時、こう、あぁ、どうしてあんなに…」

「『かっこいいんだろう』」

「そう、そう思ったよね。」


醍ちゃんが言葉をかぶせてきた時、推測が確信に変わった。


「あーあ、やっぱり兄さんは兄さんなんだなぁ。」

「そりゃそうでしょ。」

「顔は似てないのになぁ。どうして似ちゃったかな。」

「別に似てもいいでしょ、兄弟なんだから。」

「あ、そうだ、兄さんあれかって。」

「なに?」

「俺の生まれ年のワイン。」

「あー、来年か。」

「兄さんたちとみんなで飲む!」

「貴志は飲ませないよ。真利加さん誘えば?」

「真利加さん、弱いらしいから無理。」

「そこも同じなのか…。」


弟とする恋バナは少し新鮮で、すごく楽しいものだった。



真利加と貴ちゃん、似てる説。