今心ここに《咲羅と李央》 | ディズニーとアニメと創作と

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オリキャラをこよなく愛しているので、同性カップルも異性カップルも分け隔てなく書きます。(まぁ腐女子でもあるので男性同士が多め?かもしれない。)なので色々注意。

絶賛桜が見頃らしいですね。皆さん花見しましたか?私はトゥーンタウンで済ませました(⁠^⁠∇⁠^⁠)⁠ノ⁠♪←


そんな桜の花と同じ名を持つ彼のお話です。なんか、色々と考えたけどさっさと理央くんとくっついちゃえよ、と私が思ったのでくっつけました。くっついていない間のもやもやな話は今度書くかもね〜。


誕生日、おめでとう。咲羅。



「……あ。」


またやってしまった。最近無意識に鋭いものを握りしめる癖が止まらなくなっている。無駄に握力はある弊害だ。机から消毒液を出すと手に塗りつけて処理をしていく。もう手慣れてしまったが、なんだかまずいな。


「塔雅のこと、とやかく言えないよな。」

「古見先生、なにしてるんですか。」

「九条先生。いらしてたんですか。」

「……見してください。」

「あ、いや自分でやるのでだいじょ……」


俺が言い終わるより早く左手を奪われる。なんでだろう、最近仲良くなったばかりなのに、如月や東雲に見られるよりも嫌だ。この傷だけで見逃してほしい。この人にだけは俺の『深いところ』を見せたくない。そんな願いも虚しく、何かに気がついた九条先生は俺の腕を見るために袖を捲くってしまった。あぁ。どうしよう。何か言われるかもと覚悟を決めたときだった。


「とりあえず、表面だけですね。縫う必要はなさそうです。」

「……え?」

「とりあえずこの辺の危険なものは全部没収ですね。」

「……なんで。」

「?」

「なんで怒らないんですか。」

「……怒ってますよ。」

「……」

「でも、今この現状だけで怒れるほど俺は、まだ、古見先生のこと何も知らないから。だから、今は怒りより…悔しい……。」

「九条先生……」


俺の手の処理が終わってから九条先生はきれいな顔を少し歪めて涙を流した。俺はそれを見てそっと彼を抱き寄せた。なんでだろう、そうしたくなったんだ。


「なにして……」

「ありがとうございます。心配してくれて。」

「……本当ですよ。心配かけないでください。俺は貴方に救われたんですから、古見先生も頼りないかもしれないけど、俺を頼ってくれませんか。」

「………俺は、いつのまにか恵まれていましたね。」


『咲羅の生きる理由に自分は含まれていないのか。』と怒ってくれる相棒がいる。『これからも俺ら二人をよろしくね。』と信じてくれる友がいる。そして『頼って欲しい。』と言ってくれる君がいた。俺の世界は狭いようで十分に広がっていたんだ。一人でもがいていたあの頃とは違うんだ。

九条先生を解放すると向き合ってソファーに腰掛ける。


「古見先生。いつから?」

「学生の頃から。きっかけは些細なことだったけど。」

「…そう。」

「俺は、俺を愛することができないから。咲羅でいる意味も分からなくて、女優の息子であることしか俺には価値なんてなくて。なんの特別でもない、普通の人間なのに。だから……」

「血を見ると安心する?自分もただの人間だと思うから?」

「………」

「俺だって『普通の人』になりたかった。心と体が一致していればどんなに良かったかって何度考えても何度悔やんでも、でも、変わらないんだよ。」

「……」

「もう俺は俺。誰のもとに生まれようと、どこで育とうと、何をしようとなにも、何も変わらない。俺は俺だし。古見は古見だよ。」


なんでだろうふとその言葉が心に入ってきた。なんと言えばいいのか分からず呆然と九条先生を眺めていると、俺のところに近づいてきた先生は俺を抱き寄せる。自分だってさっきそれをしたくせに相手にされると途端に心臓が鼓動する。あれ?俺の心臓ってこんなに動いていたっけ?


「九条先生……あの……」

「いーから。古見は古見で、こうしてここにいる。もし自分で自分を愛せないなら俺が愛してあげる。生きてるって教えてあげる。俺と一緒に生きてよ。お願いだから。」

「………はい。」

「……意味わかって返事してる?」

「わかってる。わかってるよ。だから……」

「?」

「二人のときは咲羅って呼んで。」


『咲羅』、君にそう呼ばれれば、俺はほんの少しだけ、自分のことが好きになれるかもしれない。


「で?」

「で?」

「結局、付き合ってるんですか。九条先生と。」

「……多分?」

「多分てなに!?多分て!!」

「いや、だって何も変わらんし……」

「もーそんなことないでしょ。」

「あ、来た。おーい、李央先生こっち。」

「李央先生?」

「李央先生?」

「なにその反応……二人して……」

「そこは呼び捨てで呼ぶべきでしょ。ここは病院の外ですよ。」

「呼んじゃえ呼んじゃえ」

「えっ……いや、その。」

「照れてる面白い。」

「塔雅、たのしそうだね。ま、古見のそういう反応新鮮だからわかるけど。」

「わかるけどじゃないよ………。」

「おまたせしました。おべんとうもってきましたよ。」

「うわぁ、九条さん料理上手!」

「実は実家が弁当屋でして……。」

「へぇ!じゃぁこれご実家の?」

「はい。俺自身はからっきしで……」

「でも美味しそうだから問題なし!いただきまーす!」


東雲と如月とそして李央先生とお花見をするために集まった。桜が綺麗だねと言われるとなんだか自分が褒められた気がして少しだけくすぐったい。


「本当に、見事な桜ですね。」

「……俺もそう思います。『サクラ』好きです。」

「……えっと……。それはどっちの……」

「決まってるじゃん。サクラだよ。」

「あーもう、李央まで俺を弄ぶ!!」

「……え?」

「あ。」

「今、呼び捨て……した?」

「まって、まって…えっと、はい。」

「やば、あっついどうしよう。」

「ヒューヒュー」

「幸せにしてろー!」

「お前らは一回黙れ!いつもみたいに二人でいちゃついてろ!」

「いやですね。」

「同感」

「なんでだよ!」

「イチャイチャはいつでもできるけど、咲羅いじれるのはいまだけですもん。」

「そう、それねー!」

「なんだよ!それ!!!」

「あはは、本当に3人は仲がいいんですね。」

「李央、笑うところじゃないから。こいつらといるといつもこうだよ……あーもう。」

「……咲羅のそういう姿、好きだよ、俺は。」


そう笑った君に俺はどんな表情だったのだろうか。心の音が聞こえる。あぁ、生きている。多分俺はこの人たちがいれば生きていると自信を持っていける気がする。



塔雅と柘榴は(ガヤとして)優秀。こういうふうに茶化すと『男子だぁ』って思ったりする。


李央くんが仲間入りです。なんとなく自然と混ざってくれそうな感じが安心できます。男とか女とかそういうの考えなくても過ごせる仲間って素敵ですよね。理央くんだけ年上なので時々お兄さんみたいな立ち位置でいてほしい。