ふと、新キャラが降ってきたので。
フェリックスとキャロとパギューサたち。そこにエクスと新キャラがやってきます。
「あぁ嘆かわしい!」
「また面倒なのが来たのぉ。」
「すみません、バレてしまいまして。」
「バレてしまいまして!?エクスちゃん、上司に言わずに黒翼の天使を生み出すってすごく肝が座ってません??」
「上司って、ムーナさんは今は同僚ですよ。」
「いやいや、俺はね、エクスちゃんからみたら、まだ立場がほんの少し上なんだよ?」
「面倒な人。」
エメラルドの家に突如として大聖司が二人もやってきた。というのも、今教会で休んでいるフェリックスさんに用事があるそうなのだが、いくら五大貴族とはいえ、大聖司二人を相手にするとなるとさすがに緊張してしまう。俺はゆっくりと二人の前にお茶を置くと二人はゆっくりとソーサーの縁を撫でる。大聖司特有の毒見だ。
「ムーナ様にエクス様、お二人来られるとなるとさすがに緊張しますな。」
「いやいや、こちらこそ突然五大貴族の屋敷にお邪魔するなんて無礼なことをしてしまいました。お詫びに加護を。」
「ありがとうございます。」
旦那様がムーナ様から与えられた光を受け取る。大聖司様の使う魔法の一種で、簡単に言うとお祈りのようなものだ。以前エクス様にパギューサ様ともらったことがあるが、色がムーナ様のほうが洗練されていて美しい。ムーナ様は無目の人形族。頭はガラス玉のようになっていてフォクシー先生曰く夜になると中に光の玉が現れるのだそうだ。先生の知り合いということで『加護持ち』なのかと思ったらそうではないようだ。不思議そうにした旦那様がフォクシー先生に話しかける。
「フォクシー先生とムーナ様はお知り合いなんですね。」
「ムーナは特殊でな。カゴ持ちではないが、うちの学校に入学していたんじゃ。」
「そうなんですか?」
「あぁ。同じく加護のないチェルシーがうちの学校に入学していたのと同じでな。」
「!」
パギューサ様がなにかに気がついたようで俺を呼ぶ。そっと近づくとこっそりとチェルシーさんについて教えてくれた。なるほど、それでか。
「まぁ、そんな昔の話はおいておいて。件の人は?」
「ちょっとまっとれ。今、番と過ごしてる。邪魔するのは野暮というものじゃよ。というかそんな勇気はわしにもない。下手すると殺されかねんからな。主にキャロに。」
「まぁ、空の国は番第一主義ですからね。」
「おまたせー!」
「おお、やっときたか。」
部屋にキャロ様とフェリックス様が入ってくる。フェリックス様はエクス様を一目見ると状況を飲み込んだ様子でキャロ様に何かを伝える。
「あぁ、なるほど。うちの子に用事があるんだね?」
「初めてお目にかかります。空の国のキャロ王、この度お目にかかれたことを心よりお喜び申し上げます。」
「あー、いーよ、そういうの。俺今追われてるから。」
「じゃぁ、単刀直入に。」
「ルーナさん、本当に単純。恥ずかしすぎる。」
「エクスちゃん?」
「ルーナが失礼いたしました。常識のないガラス玉ですが、残念ながら大聖司1の力の持ち主です。弱ったフェリックスをすぐに治せるかと。」
「本当に?」
「ええ、幸い明日は新月ですから、すぐに終わるでしょう。」
「ねぇ、エクスちゃん?俺のセリフ全部持ってくつもり?」
「まぁ、新しい大天使の誕生の報告を怠ったのは私の落ち度です。チェルシーがフェリックスが怪我をしたことを報告してくれたのですぐに駆けつけました。本来は報告していれば教会ですぐ治った……とは思うんですが。」
「なかなか治りきらないからおかしいなとは思ってたんだよね!お願いできる?いつまでもここにいると、エメラルドの家も大変だからね。俺が蛇の国に逃げたのがバレるのも時間の問題だろうし。」
「なら、成立ですね。」
エクスさんがフェリックスさんの手首を触るとなにやら黒い文字が浮かんでくる。
「というか、私も知らなかったんですよ。大天使の登録には二人の大聖司の力がいるなんて。」
「エクスちゃんが無知なんだよ。大聖司の常識だよ。」
「教えてもらわないとわかりません。私は元庶民ですから。」
「はぁ、というか、エクスちゃんが一人で大天使うめるほどとは想像だにしてなかったから、まぁ、俺も悪いかな。」
エクスさんがなぞった文字をムーナさんがなぞると白く輝きフェリックスさんの身体に溶けていった。
「……なんか、今まで使えなかったものが使えそう。」
「それで、本来の力すべて使えるはずだよ。でも、体を治すのはごめん、新月まで待ってくれ。ちょっと見てみたけど、酷い呪いだ。大天使にこんなことするなんて……空の国は宗教ないのかい?」
そう問いかけるムーナ様にキャロ様は苦しそうな顔をして言葉を続けた。
「ありますよ。ありますけど、フェリックスにその呪いをかけたのは天使を信じないものです。」
「…呪詛師どもか。」
「……ええ。俺が守れなかった。」
「キャロ様は大丈夫ですか?呪詛師の呪いは……」
「大丈夫。俺は『何も信じていないから』。」
「なるほど。」
フォクシー先生が俺たちに耳打ちする。呪詛師とは天使や神を否定する人たちで、まさに天敵なんだと。なにかを信じているものは呪詛師の呪いにかけられやすく、その対象である、天使や大聖司がその呪いを喰らえば普通の人よりも酷いものになりやすいのだそうだ。キャロ様が何も信じていないというのは本当なんだろう、だから呪われなかった。そういうことらしい。
「…俺のような人形族は呪詛師という言葉を聞くだけでおぞましい。」
「ムーナ、大丈夫か?」
「大丈夫。俺が動いているということはどっかの呪詛師が生きている証拠なのがムカつくけれどもな。」
先ほどパギューサ様が教えてくれた。人形族は『ある人が願い呪うことで動くようになり命が生まれる種族』だと。そして呪をかけた本人が死ぬまで動き続けるのだそう。それができるものこそ、『呪詛師』なのだそうだ。そして、その呪詛師は呪いの対価として人形に己の何かを与える。ムーナ様はおそらくその呪詛師の『蛇の加護』をもらって生まれてきた。ムーナ様自身に加護はないがそれと同等の力を持っている。だから、俺たちの学校に入学していたのだろう。チェルシー様はもともとの人形族としての契約者が亡くなり呪いの人形となりかけたところを悪魔として再契約したのがエクス様なんだそう。人形族との契約には対価が必要、そこでエクス様も2つあった蛇の加護をチェルシー様に与えたんだそうだ。
「エクス様も私と同じで2つ加護があったってことね。なんだか嬉しい。」
「……まぁ、私があの子にあげたのは大したものではないけどね。」
「さぁ、明日は俺の美しい儀式を見せてあげようじゃないか。明日の夜中、新月が真上に来るときがショータイム!皆様ふるってご参加ください!」
「俺も行って平気?」
「もちろんです。新月の姿の俺は最強ですから!」
ひときわ声高らかにそういったムーナ様の感情はどこか悲しそうに見えたんだ。
アメニー視点の書きやすさよ………。
ムーナ、キャラデザが先に降ってきているので載せます。目はないけど口はあります。なんか、完全に私のフェチがつめつめになったキャラなんですけど、こういうテンションでめちゃくちゃ強い、みたいなキャラすきなんですよねぇ。
契約者が男なので、男です。