手紙に前文がある?![メモ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/131.gif)
この手紙は一部に過ぎない、という見方もあるようです。
通常、手紙は『キャンディへ』であり、一行あけて「変わりはないか」の本文に入ります。
しかしテリィの手紙は「キャンディ」「変わりはないか ?」の二文が連続し、まるで全体の一部を抜粋したかのような入り方になっています。
向って左がテリィからの手紙・右がアルバートさんからの手紙
ファイナルに登場する手紙は「一行空ける形式」を守っているので、このテリィの手紙は例外です。
・・・という事は、ここにも原作者の意図があるのでしょう。
あ~もうっ、一行あけてくれよテリィ~ と嘆きたくもなります。
ですが、ブログ主はこれが全てだと思っています。
テリィは言っています。「どうしてもそれだけは伝えておきたかった」と。
伝えたかったのは「ぼくは何も変わっていない」という事だけ。
ですから、他の言葉は要らないと感じます。
そして行間をあけないことにより、テリィが直接キャンディに語り掛けているような流れが生まれています。
しかもよく見てください
「――ぼくは何も変わっていない」 の時の『ため』と『その後の沈黙』(一行の空間)を!ㇰ~
これはテリィの心の声であり、手紙ではないように錯覚しそうになりますが、「思い切って投函する」と入っているので手紙であることは間違いありません。
一行空けたり、空けなかったりしているこの手紙だけは、他の手紙と違って特別のようです
個人的には、名木田先生が「キャンディへ」という部分をカットして紹介している、と思っています。
「ターザンそばかすへ」という言葉が前にあるのかな~?と
・・というのも、キャンディの「出さなかったテリィへの手紙」の文面にこんな言葉があるからです。
(テリィからの手紙の)宛て名はいつも、ターザン・そばかす――。下巻275
テリィはこの手紙で自ら告白しているように「何も変わっていない」わけですから、10年振りの手紙にも、おそらく「ターザンそばかすへ」と書いたのでは?
・・・ちょっとムードが無いですがムードが無いからカットしたとか?
ステアからの手紙下巻177、アニーからの手紙下巻230も宛名が無く、いきなり本文から始まっているので、
おそらくそういう事だと思います。
りりかさん、情報提供ありがとうございます
文面を解析する![手紙](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/172.gif)
変わりはないか?
この書き出しはどうなのか、と一瞬思いました。だって10年以上ご無沙汰が大前提ですから。
この軽さが「この手紙は別れた直ぐ後に出されたのではないか」と思う方の、根拠になっているのかもしれません。
しかし私達に置き換えれば「お変わりありませんか?」という言葉でしょうから、久方振りに手紙を出す相手には、やっぱりこれしかないようです🙄
「お変わりありませんか?」という表現について調べてみました。
久しぶりの人に使う言葉として、相手の近況や安否を確認するのに、これほど都合よく使える言葉はないそうです。
このような日本的な文頭の挨拶表現をテリィが用いることに、若干の違和感はあるのですが、キャンディの手紙は実はかなり日本人的です。
ご健勝をお祈りしております。
エレノアへの手紙 下巻273
大おばさまにおかれましては、お変わりなくお元気のことと喜んでおります。
エルロイ大おばさまのへの手紙 下巻260
お元気のことと喜んでおります
勝手に想像して、勝手に喜ぶ、この流れ~~日本語あるある~
キャンディがいくらアメリカ人と言っても、日本人が書いている限りそうなりますよ
かしこまればかしこまるほど、手紙の文面は日本的な言い方になっています。
テリィの手紙が「変わりはないか?(お変わりありませんか?)」で始まるのは、致し方無いのです。
実際に、名木田先生は小説版キャンディ(講談社版)において、この言葉を多用しています。
名木田先生にとって一番スタンダードな手紙の書き出し、と言っていいでしょう。
他にどんな表現があるのか?
「ご無沙汰しています」「お久しぶりですね」「お元気ですか?」
これらをテリィ風にアレンジすると、「・・元気か?」ぐらいしかマッチしませんね。
とにかく、10年振りだろうと「変わりはないか?」と、なれなれしく言ってしまうところにテリィらしさを感じます。
「変わりはないか?」の言葉を「君は変わらずまだ俺を好きなんだろ?」とえらく横柄なテリィの言葉と解釈することもできますが、個人的にそんなテリィは嫌いなので考えません。いきなり手抜き
あれから一年たった
既に検証しましたが、『あれから』とは、スザナが亡くなってからです。
一年たったら君に連絡しようと決めていた
個人的には、一番引っかかりを感じたフレーズです。
喪が明けるのを待って、という事は分かりますが、スザナが亡くなった時点でもう決めちゃってた?ちょっと薄情じゃない?と。ある意味正直なのですが。
文面は妙にしっとりとしているので、それほど今まできつい縛りがあり、解放感でいっぱい?って感じでもなさそう。迷いながら書いているようなので、猪突猛進のごとくキャンディにアプローチしたいって感じでもしない。
テリィにそう決心させる何かがあったと仮定すると、グッと真摯な文面になります。
スザナの最期の言葉が『キャンディとやり直して』だったらどうでしょう?
テリィはその言葉を胸に刻み、果たそうとしている。そう考えると、一気に深い言葉になりますね。
迷いながら、さらに半年がすぎてしまった
ん?ちょっと待て、テリィ。
それって結局一年半後だよネ?それなら『あれから一年半たった』って書かないか、普通?🤨
これはフォロワーのキャス鈴さんから頂いた質問です。
きっとこの疑問は誰もが一度は持ったでしょう。そして深く考えずに闇に葬ったことでしょう
この文面から読み取れることは、一年後に手紙を書き始めたが、そのまま半年放置し、書き直しもせずに、そのまま続きを書いた、というイメージでしょうか。
それほどテリィは半年間迷いに迷ってやっと文面を書き上げた、ということでしょう。
便箋を破らず新たに書き直さなかったのは、一年という節目の強調とテリィの性格なのでしょうか。
「キャンディ」という文字を10年振りに書いたテリィは、それを破きたくなかったのかも
(個人的には、一年半経った頃に筆を執った気がしています)
こちらあるフォロワーさんのご意見です🐣←バレバレ?
わたしは、手紙の一年経った・・・さらに迷っての半年には、テリィの葛藤を感じます。
あの場面で、一年半にしなかった名木田先生の文章に感動しました。
わたしはね・・・
決めていたけど、テリィは迷って一度立ち止まってしまった・・・それを強く表現したかったのではないかと思ったんですよねー🐣
そう!!まさにっ、そのと―――り!!
ぼくは何も変わっていない
――この言葉、グっときます。
テリィファンには待ちに待った言葉ではないでしょうか。漫画でも旧小説でもロックスタウン以降、どこを探してもテリィの気持ちは一切出てこなかったのですから。
よく言った、テリィ!と叫びたくなります。
テリィはキャンディに恋人がいるかどうかも定かでない状況で手紙を出したものと推測できます。
だからこそ、『まだ愛している』と主張の強い言葉を選ばない。そもそもそんな言葉は、過去にもキャンディに使ったことがないテリィ。『まだ』も、へったくれもありません。
とにかく自分の気持ちが迷惑にならないよう気を遣いつつ、きちんと自分の気持ちを伝えている一文です。
また、スザナと何かあったのなら「何も変わっていない」などと書けるわけがないので、この言葉は「今でも君が好きだ」という意味と同時に「スザナとは何もなかった」と言っているとも受け取れます。
どうしてもそれだけは伝えておきたかった
この言葉も先の言葉と同様で、見返りを求めていない、答えを期待しているわけじゃない、と重ね重ね配慮している感じが伝わってきます。
手紙を出すことはテリィにとって一種の通過儀礼で、気持ちに区切れをつけるのに必要だったのかもしれません。一方で、言うだけ言って丸投げするところも、学院を去った時に書置きしたテリィの手紙同様、テリィらしさ全開です。
これはブログ主の余計な妄想ですが、既にイギリスへの移籍話がかなり進んでいる?と仮定すると、更にしっくりきます。
「ハムレット、イギリスでも公演決定!」下巻274
この文は旧小説にはなく、ファイナルで突然足された言葉です。
テリィがイギリスの劇団に移籍する、という伏線だと感じます。
この手紙でフラれても復縁しても、とにかくテリィは移籍する、ということでしょうか?
そのように仮定すると、「どうしてもそれだけは、(アメリカを離れる前に)伝えておきたかった」とも読めますね。
自分の手紙に返事が無かったら『・・・・そういう事なんだな(キャンディ、そいつと幸せにな)』とテリィも前に踏み出せるでしょう。アメリカにいる未練がなくなりますもう背水の陣の告白です。
それぐらい自分を追い込まないと、十数年前に別れた女性に手紙なんて出せませんね
全ての想いが詰まった文面
肝心なことは何一つ書かれていない、と思う人もいるようですが、個人的にはこれで十分です
むしろ短いからこそ、テリィの想いや葛藤を感じます。
10年以上前に別れた想い人に手紙を書くのです。
これが限界、いっぱいいっぱいです。よく頑張ったテリィ!👏👏 母性全開っ
ちなみに、長くなればなるほど、未練たらしく女々しく、言い訳がましくなるものです。浮気した男のように。←主観全開
スザナが死んで、テリィが手紙を書く――
十分です
キャンディは返事を書いた?
ファイナルでは、書いたかどうかは触れられていませんが、キャンディが返事を書かない理由がありますか?
手紙が10代の頃に届いたならそれもありそうですが、10年以上後、しかもスザナが亡くなっています。
他に好きな人がいたり結婚していればそのように返事を書き、今は友人として応援していると返事を書くでしょう。
テリィへの想いが残っていれば当然返事は書くでしょうし、とっくに吹っ切れているなら、旧友として返事を書くでしょう。
皆さんの知ってるキャンディは、テリィの本気の手紙をスルー出来るような人物ではありません。
それに、無視したら・・・テリィがかわいそうです 恋が終らないじゃないですか。ಥ_ಥ
それに無視したら、テリィたぶん来ちゃいますポニーの家に
そういう奴です
まぁ、それはさておき
キャンディは元来筆まめです。下巻の半分は手紙で構成されており、カーソンさんやジャスキンさん、アパートの管理人のおばさんやステアの上官にまで手紙を書いているんですから
書かないと推定するには、テリィを恨んでいる、嫌い、書くことを反対されたなどの強いマイナス感情が必要になりますが・・・さすがにそこまでの理由は、ファイナルの中には書かれていません。
ファンとして思う事
テリィの手紙は、『迷いながらも、キャンディにまだ好きだと伝えた』これ以上でもこれ以下でもないと感じます。
復縁を迫るわけでも、何かを期待しているわけでもなさそうです。
しかしながら、平面でしかない手紙の奥には、デスクに向かいながら、1年前のスザナの最期、自分への報道の在り方、俳優として向かう道、過ぎた時間、キャンディの今・・様々な事を考え、葛藤しながら、この短い手紙をしたためたテリィがいるんだなぁ・・と思うと、報われることを願わずにはいられません。
テリィは大おじさまを知っていたか?
テリィはアルバートさんの記憶が戻ったことも知らずに漫画のラストを迎えています。
ファイナルや旧小説にも、テリィがアルバートさんのその後を知った、という記述はありません。
ウィリアム・アルバート・アードレーがアードレー家の総長であり、大々的に発表があった様子は漫画やアニメでもありましたが、果たしてテリィはそれに気付いたのでしょうか?10年の間に把握したのでしょうか?
アルバートさんがキャンディの養父である事を知っていると知らないのでは、テリィの取る行動も変わってくるように思えます。
3つのパターンを考えてみました。
知っていて、密かに交流していた
テリィとアルバートさんがこの10年の間に密かに内通していたなら、当然キャンディの居場所の情報を入手しているはずなので、「この手紙が届くか分からない」などと言う曖昧な文言が入るはずもありません。
つまり、内通は無いと思われます。
交流はないが知っていた
ウィリアム・A・アードレーは経済界の大物ですから、新聞などで知っていた可能性はあります。
しかしアルバートさんがキャンディの養父だと知っていたら『あの人が傍にいるなら幸せになっているに違いない』と早々に不戦敗を悟り、手紙など出さない(出せない)気がします。
テリィは昔からアルバートさんに絶大な信頼を寄せていました。イギリスでも兄のように慕い、キャンディがアルバートさんと同居すると言い出しても「あの人となら、まぁ許してやろう」と許可を出しています。
とはいえ、何年も思い続けている人を諦めるには、そんなきれいごとでは終われないでしょう。
アルバートさんの存在に気付いていたなら、キャンディに手紙を出す前に接触し、二人の関係(又はキャンディの近況)を確認するのではないでしょうか。
アルバートさんの所在の特定は、大物故に簡単です。
そこまでテリィがするか、とも思いますが、これは自分の保身の為と言うより、キャンディの平穏を乱したくないという配慮からくる行い、と思えば十分あり得ます。
しかしテリィの文面には『キャンディの近況などさっぱり分からない』臭がプンプンしています。
養父だと知らないからダイレクトに手紙を出し、あのような文面になった、と捉えることが出来ます。
全く知らなかった
あんな大富豪の頭を知らないわけがない、そのような声があちこちから聞こえます。
しかし、テリィは芝居バカです(テリィファンの方すみません💦おっと、このブログのほぼ全員か)。
畑違いの業界の人物に必ずしも精通しているとは限りません。
そもそもテリィはアルバートさんの素顔を見たことがありません。
しかもキャンディから「急がないと大おじさまが死んでしまう。もう相当、ヨボヨボ」下巻90 という情報をすり込まれています。
髪型も髪の色も違うイケメン青年総長ウィリアム・A・アードレーが載った記事を見たところで、
「あぁ、よぼよぼの方は天に召されたのか」と思う程度で、アルバートさんとは気付かないでしょう。
代替わりした一族の誰か、と想うのがせいぜいだと思います。
『アルバート』という名前でピンとくる可能性もありますが『アルバート、ウイリアム』はイギリスでは多い名前ですし、同じ名前を引き継ぐことは、欧米ではスタンダードなので、結びつくとは限りません。
(※フォロワーのhigaminekoさんからの意見を参考に後日加筆しました)
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