漫画の後半を読むと、確かにアルバートさんはキャンディに恋心のようなものが芽生えているようです。

しかし残念なことに、旧小説やファイナルではそのくだりはバッサリと欠落し、揺れ動く微妙な男心と、プロポーズかと思わせるセリフは全てカットされています。
本筋と関係ないから切り捨てることができる、という解釈もできますが、少なくとも旧小説まではページの都合上だと個人的には思います。


そこでまずは漫画に登場する、アルバートさんの感情を軸に時系列にしてみました。

記事内では、老眼の負担軽減の為(笑)

アルバートさんを

呼び捨て表記にさせていただきます🙇‍♀️🙇‍♀️

ご容赦ください。

 

  漫画のアルバート

 

💖=アルバートの気持ち・セリフ

1
 ポニーの丘で出会う 

17歳と6歳

💖笑った顔がかわいいおチビちゃん


2 滝に落ちたキャンディを助け、キャンディの身の上話を聞いた。

アンソニーの死に直面したキャンディを慰めた

 24歳と13歳

 

💖「運命はね、人からもらうものじゃないんだよ。自分の手でひり開くものなんだ。つよくおなり、じぶんの運命をじぶんでさがすんだ」

 作品のテーマをさりげなく語り励ますキラキラ


3 ロンドンで再会した 

25歳と14歳

 

養父としてキャンディを陰から見守っている。
元気を取り戻したキャンディを見て安心し
「誰にも頼らずに生きてみよう」と、気ままにアフリカへ。
アニメでは「テリィにキャンディを任せられると思って」とも語っている。


4 記憶喪失になり、キャンディの献身看護を受けた後、一緒に生活 

26歳と15歳


💖「この子とこのまま暮らせるなら、記憶なんか戻らなくてもいい」

💖テリィに会いにニューヨークへ向かうキャンディに、窓辺でボソッと 「早く帰って来いよ」
  →この後、髪を切るハサミクシ


5 記憶が戻った。テリィとの別れを引きずるキャンディに

 

💖「上手いスープでも作ってやろう」と主夫全開。

💖サーカスから逃げ出したライオンに襲われそうになるキャンディを、流血の末、身を挺して守る。

💖「あたし、いいお嫁さんになれないみたい」とぼやくキャンディに、

(…君ならきっといいお嫁さんになれるさ)と心で会話。

💖泣きつかれて眠ったキャンディの頬に触れながら、「君を幸せにしたい」

 

爆  笑完全にっ愛 うおお~流れる楕円水玉までっ


💖サンドイッチをちぎりながら、「キャンディの悩みや悲しみを二つにわって僕にくれないか」

 まだ行くっ

💖ニールに騙されたと泣きじゃくるキャンディに「いやなことをわすれるおまじないだよ」と、デコチュー。チュー


6 大おじさまとして対面。故郷に戻ると言うキャンディに

 

💖「キャンディらしくていいね」と余裕の笑顔。

💖「アードレー家の中できみのような素敵なレディはいない」と独り言をつぶやき、窓際で見送る。


7 丘の上の王子様として対面

 

💖「君には笑顔が似合う。いつまでもその笑顔を忘れずに、キャンディ」

 

 

どうですっ

後半のたたみかけるようなアルバートの追い込みっ!!

このようにアルバートは終始安定のイケメンとして描かれていますグラサンハート
漫画では、記憶喪失中は普通の男性として恋愛モードが強い気がします。


しかし大おじさまとして対面後は再び元のアルバートとして接している感じが・・・しなくもない?
アンソニーとテリィ、恋する人を失ったキャンディの苦しむ姿を傍で見続けているアルバート。

「君を幸せにしたい」とハッキリ言っていますね。
キャンディの自立を描いた最終回、と小学生当時は捉えていましたが、改めて読むと、初恋回帰、間違いなくアルバートとのエンドに向かっていたと感じます。

 

 

  なぜ髪を切ったのか?

 

漫画のアルバートは途中で髪を切っています。美容院

キャンディがテリィに会いに、ニューヨークへ行っている最中に。

なぜ髪を切ったのか?え?ど~でもいいですか?

 

テリィの元へ旅立つキャンディを見て、失恋を悟った
病床に臥せって伸びすぎた髪が、ウザくなった
のちのカムアウトに向けて、丘の上の王子様に似せる必要があった
バイト先(レストランの皿洗い)の店長に「切ってこい!」と言われた


ブログ主は③かなぁ~と思うのですが、①だとしたら、切ないですね・・ショボーン

※ゆ○さんは④だそうです

 

 

  ファイナルのアルバート

 

このブログは「ファイナルの考察」をしているので、今まで紹介したアルバートのセリフはリセットしてください。作者は「全面的に書き直している」ので、混ぜてはいけません汗

改めて、ファイナルのアルバートはどのように書かれているのか紹介しますニコニコ

 

アルバートの心の動き

 

1「きみの境遇を聞いてぼくは、幸せになって欲しい、と思ったんだ。それが僕には出来るはずだ」

下巻303

 

キャンディが13才の時、滝つぼに落ちたキャンディの境遇を聞いた時の心境です。

この時は甥のアンソニーが生きていたので、幸せに=養女にする(救ってあげよう)、という感じでしょうか。

以降は下矢印大おじさまのカムアウト後 
アルバート27才~、キャンディ16才~

 

2「妹だと思われるより、少し大人に見えるくらいがちょうどいい」下巻241

 

ちょっとちょっと~ヾ(≧▽≦)ノハートこれ、ど~いうつもりで言ってるの~?
 

3「すぐにでもまたキャンディに会いたいが、しばらく時間がとれない。キャンディ、きみの手紙がほしい」下巻289

 

ほしい・・?欲しいんですねニコニコキューン


4「――今は、泣いていてもかわいいよ、おチビちゃん下巻293

自ら『丘の上の王子さま』だったことをカムアウトした時のセリフです。

 

このシーン、漫画とファイナルでは違います。

 

漫画ではアーチー、アニー、パティもポニーの家に来て「アルバートさんも一緒にきてるよ」と、色々あって大団円、で幕を閉じましたが、ファイナルではその他大勢はいません下巻291~下矢印

 

突然現れたアードレー家の総長に先生たちがあわててお茶だのクッキーだのと騒いでいたところ、大おじさまはお茶を断り、真面目な顔をしてキャンディに言います。

「キャンディ、ポニーの丘に行こう…」真顔 マジっ

 

この時キャンディは何か予感めいたものを感じたようです。

丘の上でしばらく黙っていた大おじさまは、思い切ったようにキャンディの方を向き、ぎこちない微笑みを浮かべて言います。

「キャンディ…そろそろバッジを返してくれないか」

 

瞬間、全てを悟ったキャンディは泣きながら

「わたし…笑ったほうが、かわいい、んでしょ?」

と言うと、王子様も潤んだ瞳で

「今は、泣いていてもかわいいよ、おチビちゃん」

爆  笑ラブラブ決まった~!

 

その後アルバートは、キャンディが泣き止むまで黙って優しく見つめていました。

自分の横に王子様がいる、とキャンディがうっとりしていたら、ジョルジュがクラクションを鳴らし、現実に引き戻された、と書かれています。

 

5(献身的な看護をしてくれたキャンディに)どんな感謝をしてもし尽せない」下巻315

 

6「僕はこれからも、君の幸せがどこにあるのか見極めたいと思っている。戻ったら必ず、休暇を取ってきみに会いに行くつもりだ下巻315

これ以降は下矢印キャンディ21才~、アルバート32才(推測)

 

7「これは…きみの大事なものだから…」下巻321 

 

大おじさまが預かっていた日記を、キャンディに返す時のシーンです。

アルバートはまたしても突然ポニーの家にやってきて、レイクウッドへドライブに誘います。🚗

そして、運転しながらスコットランドの民謡を歌いますむらさき音符

キャンディはまたしてもうっとり聞いています。下巻318

 

レイクウッドで散策している内にアンソニ―の記憶が胸に迫り、泣き出したキャンディを、アルバートはそっと抱き寄せます。ハート

「――誰のせいでもない…」下巻320

 

アルバートの慰めの言葉を聞き、キャンディは蘇った気持ちになります。

そしてあの部屋に移動します。はい、サンルームですね。

そこでアルバートはつぶやくように言うのです。窓の外を見詰めたまま静かな声で。

「これは…君の大事なものだから」

殆どテリィの事しか書かれていない日記帳。これを返すために、今日ココに来たのです。えーん切ない

 

 

結論

 

アルバート、完全にキャンディを好きですねクラッカー

当然と言えば当然なのです。今までの流れをそう簡単には変えられません。

二人に血のつながりはありませんから――

 

ちょっと待てパー

アルバートは愛の告白をしたかい?キョロキョロ?

 

今回、ファイナルに登場したアルバートの『それらしいセリフ』は全て抜き出したつもりです。

 

「会いたいが時間が取れない、休暇とって会いに行くつもりだ。手紙が欲しい、泣いていてもかわいいよ。君の幸せがどこにあるのか見極めたいと思っている・感謝してもしつくせない」

 

愛の告白は・・・していませんね。

漫画のようなグイグイさは感じられませんし、「幸せにしたい」ではなく「幸せを見極めたい」ですから読者によって恋愛目線とも家族目線とも受け取れる文章になっています。

表現としてはファイナルの方が一歩、2歩後退していると感じます。

 

アルバートがキャンディに告白していない事は、次の文からも読み取れます。

 

「アルバートさんたら記憶が戻ってきたことも、すぐには告白してくれなかったし…今でも謎が多いの」下巻275

 

これは、「テリィへの出さなかった手紙」の中でキャンディが記した内容で、テリィのハムレット公演がロングランに次ぐロングランの頃に書いているので、キャンディは20才前後だと思われます。
告白どころか、心中を明らかにしない謎の存在のようです。よ!大人びっくりマークチュー

 

その一方で、テリィは「ぼくは何も変わっていない」というハッキリと愛の告白をしているので、例えテリィの文面が控えめでも、テリィの方が積極的だと感じます。


要するに、三角関係でしょうか上三角長音記号2下三角

こうなってくると、アルバートならどうしますかね?

「見極めたい」などと言っているわけですから、キャンディの気持ちを一番に考える気がしますにっこり

 

 

次へ続きます。下矢印

 

 

。。。。。。。。。。。。。。。

 

 

2024年5月7日 コメントをくださった方へ

🌸🌸🌸さん?

 

「三つの愛」の記事です下矢印

 

※1980年

 

FsjHl_XaAAAbOYh

 

翻訳しやすいように、原作者(水木杏子先生)の言葉を書き出しますねニコニコ

 

前向きに生きる女の子の人生に3つの愛』

 

1つ目は、はかないアンソニーとの初恋

透明感のある男の子との優しさだけの愛

 

次に、テリィとの激しい青春の愛

好きでも別れなければならない愛

 

最後に、アルバートさんとの”穏やかな愛”を入れて書きました』

 

 

アルバートさんへの”穏やかな愛”を、『恋人としての愛』と読むのか『家族としての愛』と読むのかは、読者の自由です。

 

日本語の”穏やかな”とは、”波風が立たない” ”平穏な”という意味です。

”愛”は恋人だけでなく、家族や友人にも使います。

 

3つの愛」の発言は漫画終了直後のもので、CCFS発刊の30年も前です。

その後、原作者は「これが私の書きたかった世界なのだろうか」と自問し

全面的に書き直そうと決心した下巻334、335と言って、CCFSを発刊しています。

 

ですから、テリィファンはこの発言を、重要視していません。

 

 

『名木田先生の作品は「あしながおじさん」からインスピレーションを得ていることを、テリィファンは無視している』という発言について。

 

テリィファンは、無視していませんよ。

CC編集者の言葉を紹介します。

 

 

翻訳しやすいように、この文を書き出しますね。ニコニコ

※長文は区切りました。

 

新連載始めるにあたり『なかよし』編集部では、より骨格のしっかりした大型連載を目指し、いわゆる『名作もの』の企画で行こうということになった。

 

『名作もの』とは、著名な外国文学のように、長きに渡り読み継がれたような作品をイメージしていた。

 

(中略)

 

基本的なコンセプトと設定は、漫画家のいがらしさん、原作者の水木さん、担当編集者である清水の3人で話し合って決めていた。

 

まず『ローズと7人のいとこ』という作品名がいがらしさんから出た。

 

『あしながおじさん』の話を清水(編集者)が持ち出した。

 

水木さん(名木田恵子)も幼い頃から『赤毛のアン』などの名作ものは大好きだったということで、企画に大変興味を示した。

 

 

「封印作品の謎」89頁 安藤健二・著

彩図社

 

 

CCの作品のテーマは『前向きに生きる』です。

原作者はそう語っています。

 

 

 

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