★★★8-3 

「・・・このポスターを貼った頃、俺には描いていた未来があった」
テリィは壁に貼られたままのロミオとジュリエットのポスターを遠い目で見つめた。
「君がこの小さなキッチンで朝食を作ってくれて、『いってらっしゃい』って送り出してくれる。疲れて稽古から戻ると『お帰りなさい』って迎えてくれて、その日あった他愛もない出来事を報告し合い、あの小さなベッドで君を抱きしめながら眠りにつく。そしてまた次の朝を迎える・・。ポスターに落書きを残して君が去った後も、その幻影はなかなか消えてはくれなかった・・」
 ――ああ、私と同じ夢・・。
キャンディは小刻みに震える胸の鼓動を感じた。
「・・・失って気が付いた。俺を芝居の世界へと突き動かしていた原動力は君だったと。早く迎えに行きたい、芝居を観てもらいたい、一人前になって一緒に暮らしたい。その望みが断たれ、糸の切れた凧のようになってしまった俺の芝居は、全く精彩に欠け舞台は荒れた。自分でもどうしようもなかった。・・マーロウ夫人に言われ流されるままマーロウ家へ移ってからは、更に絶望感が増した」

 



――どうしてこうなった、俺が欲しかったのはこんな暮らしじゃない。
この先どう頑張っても手に入らない。・・償いだけの人生に何の意味があるっ!

「立っているのもままならないのに、マーロウ夫人はスザナを支えろと俺にしがみつく。足かせをつけられたように重くて苦しくて―・・次第に酒に溺れていった。ロバート先生から最後通告を突きつけられても、目にも耳にも入ってこなかった。初主演舞台が打ち切られた夜、酔いつぶれている俺に記者が話しかけてきた。あなたはエレノア・ベーカーの隠し子か、と。・・翌朝この街から逃げだした。西へ向かったと思う、キャンディの事しか頭になくて。・・だけどシカゴが、まるで聖域のように感じられて・・傍まで行っておきながら南下した。旅先で何をしていたのか、・・あまり記憶に残ってないんだ。ただ、堕ちていく自分と清廉なキャンディとの広がっていく距離を感じていた。昨日の事すら思い出せないのに、セントポール学院で過ごした日々は鮮明で、いつになっても風化しない。・・・浴びるほど酒を飲んでも、心はからからに乾き、時には酒場のカウンターや薄汚い路地裏で朝を迎えた」
キャンディにとって、耳を覆いたくなるようなあまり切ない告白だった。全ては自分が発端となっていると思うと、かける言葉が見つからない。
テリィは少しでも和らげようとしているのか、まるで詩を朗読するように淡々と話している。
「・・君の密航話じゃないけど、出会った人にそう悪い人はいなかったよ。酔いつぶれていると、どうしたと声を掛けてくれた。夢に破れたと言えば、また夢を見ればいいさと励ましてくれた。職を失ったと言えば、いい働き口があると世話を焼いてくれた。定められた相手を愛せないと言えば、一緒に駆け落ちしてあげると何度か誘われた」
その言葉に思わずキャンディは反応してしまった。
「誘われた・・・って、、」
「その時ばかりは父さんを尊敬したよ。・・どう心を切り替えたら、そんな気分になれるのか。・・・教えて欲しいぐらいだった。心と体は別だと言っておきながら、俺は・・」
情けない男だろ?と言わんばかりに薄笑いを浮かべるテリィに、キャンディはどう返していいか分からない。
「・・その内、金も無くなり、放浪の末辿りついた小さな町で、君と再会した。君が叱りに来てくれなかったら、ミシシッピー辺りで水死体になっていたかもしれないな・・」

春の嵐が来たら吹き飛ばされてしまいそうな簡易な造りのチケット売り場。
金欲しさに入った日雇い労働者のような俺。
ゴミが散らばり、酒臭さが充満する薄暗い芝居小屋、その客席の最後尾に何故か君は立っていた。
体に残っていた安酒のせいかと最初は思った。
けれど、口先だけでセリフを言う俺の耳に、ハッキリと君の声が聞こえてきた。

 ――しっかりしてテリィ!あなたは、あなたの夢を忘れてしまったの・・!?

大きな瞳からこぼれていた氷雨のような涙が、荒んだ俺の心に一瞬で沁み渡った。
そして次の瞬間、自分が口にしたセリフが体中にとどろいた。

『――あなたの愛を失った以上、死んだも同じ、ひと思いに殺してください!』

「・・たぶん俺は死にたかったんだ。キャンディの愛を失った以上、生きている意味がないと。――でも、それは、キャンディを更なる絶望の淵に突き落とすだけだと垣間見た。生きなければいけないと思った。キャンディがいなくても。自分の選んだ道から逃げず、運命を受け入れようと。君を悲しませないためにも、ブロードウェーに必ず復帰しなければ。――そう、強く決心した」
「・・そう・・、だったのね。やっぱり私の姿は見えていたのね・・・」
(あの時、ママの言った言葉は本当だった。・・私のメッセージは届いていた)

「・・ニューヨークに戻る列車の中で、俺は不思議な感覚を味わっていた。さっきまであれほど捨て鉢だったのに、キャンディの幻を見ただけで、空耳を聞いただけでニューヨークへ戻ろうとしている。・・今でもこれほどキャンディを愛している。・・この想いには抗えないと悟った。忘れられなくて生きるのが辛いなら、今は生きるために持っていよう、自然に消えるまで。・・そう思えた。君の言葉で言うなら、恋が愛に変わった瞬間だったのかもしれないな。――愛は
相手に求めるものじゃないから」

 

事情が変われば己も変わるような愛 

相手が心を移せば己も心を移そうとする愛 

そんな愛は愛ではない
 

シェークスピア

「戻ってきた俺をスザナは涙で迎えてくれた。どこへ行ったとも誰と会ったとも訊かず、帰ってくるのを信じていたと言って。俺は改めて思った。スザナを幸せにすることが、俺の選んだ道なのだと」

 
――スザナを・・大切にしてあげてね

・・それがキャンディの望み。俺がキャンディと交わした約束。

「ブロードウェーに戻ってからは、失った信用を取り戻すことから始まる、一と言うよりマイナスからのスタートだった。劇団の下働き的な仕事や名前もないような端役がしばらく続いた。それでも空いている時間は稽古場や劇場に詰め、復活のチャンスを狙っていた。スザナは俺の力を信じて応援してくれた。


『お稽古がんばってね、あなたの実力は私が一番知っているわ。必ず報われる日が来ると信じてる』

スザナは優しかった。励ましの言葉をかけて毎日送り出してくれた。
スザナに対する気持ちはキャンディとは違っていたが、決して嫌いじゃなかった。
温室の花のように可憐できゃしゃなスザナ。守らなければ折れてしまうという思いは自然に湧いてきた。
事故直後は重荷でしかなかったスザナの気持ちも言葉も、戻ってきてからは不思議と温かく感じられた。
堕ちるところまで堕ち、世間から忘れ去られた俺には、頼られるのもまた必要だったのかもしれない。

マーロウ夫人が結婚話を棚上げしたのは当然だった。こんなうだつが上がらない状態の俺に、大事な一人娘を任せられるはずもない。それでも再び俺に同居を求めたのはスザナの希望というだけではなかった。
成人女性の介助には、体力面で男手が必要だったし、マーロウ家の懐事情も少なからず関係していた。
父親の遺した財産も目減りし、母子家庭のマーロウ家を資金面で支える稼ぎ頭。
もちろんあの時の俺に経済力などなかったが、マーロウ夫人はロバート先生の言葉―・・密かに約束されていた俺の復帰プログラムに、大いに期待していたようだ」


『事故も公演の失敗もテリュースの責任ではありません。我々全体で招いたことです。・・とは言え、失踪騒ぎを起こして直ぐに無罪放免となっては、他の団員に示しがつきません。幸いマスコミはテリュースの復帰を待望視しているようです。若いカップルに降りかかった惨事に同情しているのでしょう。彼にはもう少し我慢してもらう必要がありますが、禊が済んだら必ず―・・彼のような逸材をこんなところで埋もれさせはしません』

ロバート先生が俺とスザナの仲を勘違いしていたのは、マーロウ夫人の入れ知恵だったのかもしれない。

だとしても、同居している俺に何が言えるだろう。
遠巻きに静観している団員達の方がよほど真実の近くにいた。

――恋人より責任を取った男。舞台を台無しにした男。不自由な女に尽くす慈悲深い男。

もとより身の上相談などした覚えはなかったが、全てがざるのようにこぼれていたのか、粗方の事情は分かっていたようだ。
同情や批判や嘲笑、陰で何を囁かれても、いちいち拾う気にもならなかった。
早く表舞台に立ってキャンディに朗報を届けたいと、ひたすら仕事に邁進していた。

スザナは明るさを取り戻しつつあったが、身体的な闇を隠すように友人を遠ざけ、屋敷にこもる生活が続いていた。ある日、気晴らしに劇団に顔を出してみないかとスザナを誘った俺を、マーロウ夫人はすごい剣幕で叱責した。


『無神経にもほどがあるわ!失明した人に、映画を観に行こうと言ってるようなものよ!?外出することがどれほど大変か分かっているの!?トイレに行くだけでも、排尿や排便だって一人では―』
『ママっっ!!いや!テリィの前でそんなことを言わないでっ!』
『いいえ言わせてもらうわ!スザナがどれだけみじめな思いをしているか、考えてみてっ!この子は私の自慢だったの、美しくて淑やかで、何人もの男性から求婚されて、同性からも羨望の眼差しで見られて!それなのに今は、好奇と憐れみの目で見られるのよ、こんな屈辱・・・!』


障がい者に向けられる世間の白い目。
俺が放浪生活をしている間、スザナとマーロウ夫人は何度も手痛い洗礼を受けていたのだ。
片足を失くすということがどういう事なのか、スザナを幸せにするということがどういう事なのか。
俺の想いだけで成し遂げられることではないのだと、真の意味での贖罪の日々が始まった気がした。
自分の事ばかり考えていた時は終わったのだ。


『テリュース、まだ行かないで』
『台本を覚えなきゃいけないから・・。――じゃぁ・・、君が眠るまで』
『ここに台本を持ってきてもいいのよ。私、あなたの声なら一晩中でも聞いていたい。演目は何?』
『”アントニーとクレオパトラ”だよ。アントニーはロバート先生、クレオパトラはカレンに決まっ―』
『やめてっ・・!私の前でお芝居の話をしないでっ!!』


スザナは時折ひどく卑屈になり情緒が乱れた。特に昔からライバル心があった同期のカレンの名前には敏感だった。幼い頃からの夢が突然断ち切られた無念は、いくら俺が傍にいるからと言って、簡単に癒えるものではない。思う様に動かない体や合併症への不安もあっただろう。

夜はなかなか寝付けず、睡眠薬を服用することも度々あった。
命を断とうとした過去も踏まえ、スザナが眠るまで付き添うのがいつの間にか俺の日課になった。


『今日はおんぶで連れてって・・!あ~、やっぱり抱っこがいいわ』
『はいはい、お姫様。君の寝室、一階に移した方がよくないか?これじゃ俺が帰るまで眠れないぜ?』
『だって・・、一階じゃ自分で行けちゃうもの。なぁに?甘えさせてもくれないの?』
『・・ま、体力づくりの一環にはなるか。――はい、到着~』
『キャッ、もうテリュース、雑よ。お姫様はもっと丁寧に扱ってくださらない?』
『おやすみ、スザナ』
『キスを・・、キスして』
『わがままだな・・お姫様は』


「額へのキスが頬に変わり、いつの間に唇になったのか、きっかけは覚えていない。挨拶でしかないキスに、特別な感情などなかった。既に舞台稽古で幾度となく繰り返していた間柄。
スザナの機嫌が良くて、家ではとにかく睡眠だけ取れればよかった俺は、あまり多くの事は考えなかった。

そんな生活が一年余り過ぎた頃、俺はハムレット役のオーディションを受けた。
復帰が早すぎるという声も一部で上がったが、ロバート先生は機は熟したと言って俺を推してくれた。


『おめでとう、テリィ!!ついに主役を勝ち取ったのね』
『ありがとう。・・君さえよければ、プレビュー公演を観に来ないか。一番良い席を用意するよ』
『・・でも、オフィーリアはカレンでしょ?・・私・・』
『俺一人の力ではここまで来られなかった。・・君に観てもらいたいんだ』
『エスコートしてくださるなら・・行くわ。ありがとう、嬉しいわ』


既に事故から三年。いつまでも籠の中の鳥でいいはずがない。少しずつでも外の世界に目を向けさせなければ。感謝を込めて、と言うより、俺の思惑はむしろこっちだった。
ブロードウェー関係者を招待するプレビュー公演には母さんの姿も会場にあった。言葉は交わさなかったが、カーテンコールの時、目頭をハンカチで押さえ何度も頷く母さんを見て、初めて親孝行ができた気がした。同時に、公演の前途に太鼓判を押してくれた気がして、これでやっとキャンディに笑顔を届けられると思った。・・たぶん、俺はその時、母さんに笑顔を向けたと思う。――母さんは・・・、膝を抱えるように泣き崩れてしまった。
そしてスザナも、女優目線を取り戻すように感極まっていた」


『素敵でしたわ、あなた本当にっ・・!あぁ、あなたのハムレットはきっと話題をさらうはずよ』
『ありがとう。座りっぱなしで大丈夫だったかい?さぁ、帰ろう』


車いすから車に移動させようと抱き上げた瞬間、フラッシュがたかれた。
相変わらず抜け目のないタイミング。
またこいつらに追われる日々が始まるのか。それを思い出した瞬間でもあった。


 返り咲いたプリンス テリュースの復帰を支えたスザナの愛! 愛の巣に帰宅する二人
 テリュース・好演の陰にスザナの内助の功 既に同棲


『まぁ・・、私何もしていませんのに。テリュース、見てこの記事。ふふ・・』

「不思議なことに、俺の評価はそのままスザナの評価につながった。
舞台の成功がまるでスザナの功績であるかのような記事に、マーロウ夫人も気を良くしていた。
――俺はスザナに支えられたのだろうか。
ふと考える時もあったが、同居しているのだ。持ちつ持たれつであることは違いない。
しかし注目を浴びる存在に返り咲いたことは、いい事ばかりではなかった。
仕事量が瞬く間に増え、帰れない日が多くなると、それがスザナの不安をいたずらに煽った」


『・・昨日はどこへお泊りになったの?』
『すまない、ロバート先生の家に招かれて酒を・・。眠ってしまった。・・寝室、どうした?』
『一階のママのベッドで寝たわっ、そんなことよりカレンも一緒だったのね!?』
『・・カレンもキャストだからいたにはいたが・・、何を勘ぐっている?』
『あなたはカレンといる方が楽しいのよっ、でなきゃこんな記事が出るわけないわっ、こんな写真!』
『――っ!誤解だ、俺はっ』
『私の方が好きだというなら、ちゃんと口で言って欲しいのっ!』


「記者たちの尾行はエスカレートし、少し体が接近しただけのような写真で、勝手放題記事にしていた。特にカレンとの噂は、スザナにはこたえたようだ。
その記事は同時に、カレンの恋人の逆鱗にも触れることになった」


『せっかく公演の延長が決まったのに、カレンは降りるの?・・引退して結婚するって本当?』
『・・本当だよ。クリスマスにフロリダで挙式するらしい。何かお祝いを渡すかい?』
『――あなたが渡したらいいわ。・・私は友達でも同僚でもないから。次のオフィーリアは誰?』


カレンの結婚はスザナを沈ませ、プレッシャーを与えたようだった。
屋敷内にちらつき始めた結婚の文字。
機を計ったかのようにマーロウ夫人が俺に言った。


『このままの関係を続けるのはお互いプラスにはならないわ。スザナとの将来を約束してちょうだい』

キャンディとの結婚は叶わない。そしてこの生活もおそらく一生変わらない。
堰き止められない川の流れは遅かれ早かれ大海にたどり着く。
今後もスザナを支え平穏に暮らしていくのなら、マーロウ夫人の望みを受け入れようと判断した。
身を固めれば、記者達の尾行も落ち着くかもしれないとも考えた。
ほどほどの好意と大義――
現実の結婚に必要なのはきっとそんなものなのだと、俺はどこか割り切っていた。
この時初めて、実家がロンドンにあると打ち明けた。


『―・・父もおそらく参戦しているものと・・。折を見て実家に連絡を取りますが、今は――』
『戦争なんていつ終わるか分からないわ。連絡を取るぐらい、すぐできないの!?』

『直ぐ、、ですか?』

父さんはどう思うだろう。礼儀知らずと憤慨するだろうか。
いや、勘当同然の息子とようやく縁が切れると、失笑するに決まっている―
そう楽観的に考え、婚姻手続きを進めたいと実家に必要な書類を依頼した。グランチェスターの姓にはこだわらないと書いて。

しかし届いたのは弁護士パッカードからの書簡だった。


 ――大切なお話がございます。至急お戻りください。


今更俺に帰国を要請する理由がどこにあるのか。
理由を書くと、突っぱねられると踏んでの事か。――縁談・・?
一波乱ありそうな予感がして、書簡が来たことはマーロウ親子には伏せた。しかしそれはそれで、音沙汰なしの状況は、更にスザナを追い詰めた。

 

『―・・きっと駄目なのよ・・!誰だって五体満足の嫁がいいに決まっているものっ』
『時期が悪いだけだ。ロンドンも混乱しているんだろう。時期をみてまた連絡するよ』
『でも、でも認めてもらえなかったら、その時は私と駆け落ちしてくれる・・!?』
『そんなに気合を入れなくても、今だって殆ど実家を捨てているようなものだ。もう少し気楽に』
『それなら今結婚して・・!今すぐお嫁さんにしてっ!』
『・・スザナ――』


前に進まない結婚話に、スザナが焦りを感じていることは手に取る様に分かった。
スザナを慰めてばかりいる日々の中で、スザナの苦しみの元凶は俺自身ではないかと思うことも多かった。
少しでも励みになればと、四月のスザナの誕生日に、俺は指輪を贈った。

『きれい・・。ありがとうテリュース・・。はめてくださらない?左手の薬指に』
『それじゃエンゲージリングになっちまう。この指輪は―』
『・・ダメ?・・』
『――いいよ。・・それなら、もっと大きなダイヤにすれば良かったかな』

断る理由など見当たらなかった。
ダイヤだったのは、誕生石がダイヤだったから。全てスザナのリクエスト通り。
薬指に収まった指輪を見て、あまり結婚を引き延ばしてもよくないと、俺はその時決意した。

『・・戦争が終わっても父の同意が得られないようなら、実家と縁を切ろうと思う』
『あなたがマーロウ家に入ってくれるってこと・・?・・誕生日にプロポーズしてくれるなんて、意外とロマンティストだったのね。・・愛しているわ。テリュース、・・あなたは?』
『・・愛してる・・スザナ』

スザナに言われて初めて思った。・・これはプロポーズなのか、と。
その日以降、スザナは人前では俺を名前で呼ばなくなった。

 

『・・・ダーリン、ベッドへ移してくださる?』

 

俺たちは親密な関係なんだというアピールだったのかもしれない。

 

  

                

8-3 ダーリン

 

 

左矢印左矢印次へ

 

。。。。。。。。。。。。。。

ワンポイントアドバイス

 

この回は、連載当初、次の回と合わせて一話でしたが

あまりにも長いので(10カ月後に)二話に分けました。

当時の皆様からのコメントは、次の「④夢破れて」の方に掲載されています。

 

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