誇り/今野 敏;東 直己;堂場 瞬一

¥998
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警察小説の世界では今一番熱い作家3人が
書いた短編集です。

今野敏氏は、ベテラン刑事の感覚と勤勉な部下の
情報力が冴える物語です。

東直己氏は、退職した交番勤務だった元警察官が
幼稚園の送迎バスの運転手になり、そこで見かけた
不審な人物、園児を守る主人公の闘いです。

堂場瞬一氏は、県警の刑事部長である主人公が
情報漏えいという緊急事態に直面し下した決断を
描いています。

どれもとても面白く、あっという間に読み終えてしまいました。



封印入札 (幻冬舎文庫)/ジョセフ リー

¥840
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外国人の著者が描いた日本を舞台にした作品です。
ストーリーもいいのですが、訳がとてもよかったです。
自然な感じで読みやすくなっています。

さて、この物語は、いわゆるバルクセールのお話です。
不良債権処理をすすめる、あけぼの銀行、四国の
道後スパリゾートを含む債権を一括して売却する案件に
からみ主人公のM&Aインターナショナル社長の川上健太郎、
ゴールデン・インベストメンツのジャック・ウィリアムズや
下田啓介達が入札を巡って猛烈な駆け引きを行う
有様を描いた物語です。

この道後の物件には、四国では闇のドンでもある関根開発
会長の関根豊作が君臨していました。
彼の非情で異常な行いぶりは有名で、多くの人間が
その被害にあっていました。

誰が落札するのか、その果てにあるのは何か。
鍵は12年前にハワイで起こった事件にありました。
刻々と変わる展開、勝者は誰なのか。
とても面白い作品でした。



成り上がり/江上 剛

¥1,785
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著者の出身銀行、今のみずほ銀行の前身、
富士銀行そのまた前身、安田銀行を築いた
日本一の金融王と呼ばれた安田善次郎の生涯を
描いた作品です。

江上氏がこういった作品を書くのは2作目でしょうか。
江戸時代も終わりを告げようとしていた幕末に貧しい家で
生まれた善次郎は、江戸で大成することを夢見て勉学に励み
大きな失敗をしつつも、反省し真面目に一歩ずつ確実に
出世していき、日本で最も金持ち、それは成り上がりという
言葉が似合う人物でした。

幕末から混乱を極めた明治の時代に、その秀でた能力と
真面目な性格から信用という最大の武器を手に入れ
事業を拡大、銀行を設立するという偉業を成し遂げ、
不幸な人生の終わりまでが描かれています。

とても読みやすく、面白く読ませてもらいました。
あとがきにもあるとおり、今の時代だからこそ
こういった成り上がりが必要なのではないか、
まさにそう思った一冊です。
安田善次郎についてもう少し調べてみたいと思いました。



634(むさし)/片岡 弘

¥1,785
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スカイツリーを題材にした広告代理店の裏側と
角埜夕子と米山朝子という2人の主人公、学芸員というか
キュレーターという仕事のお話です。

新しいタワー建設、その高さは世界一、このプロジェクトに
2つの広告代理店が参加、その裏側で2人のキュレーターが
参画することになります。
夕子は、地元の活性化を一番の目的とし地元のネットワークを
最大限に生かしつつ成功に結びつけるべく奔走します。
一方の朝子は、持ち前の交渉力でルーブル美術館から目玉となる
美術品を借りるべく館長と直接交渉に乗り出します。
高さと地デジ、下町との共生、2人の思惑と代理店のしたたかさ
が描かれた作品です。

とはいうものの、何だか物語になかなか入り込めず、
自分の普段の生活とはあまりにも違い過ぎるのか、こういった
世界に馴染みがないのか今ひとつ乗れないまま終えてしまいました。
まあ、これは好みの問題でしょう。
帯には米倉凉子さん一気読み!って書いてありますし。
そんな感じの作品でした。


連戦連敗/深井 律夫

¥1,890
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中国ビジネスの難しさをひたすら前向きに描いた作品です。
主人公、日本産業銀行上海支店の江草雅一が日本に戻ってきて
新卒向け就職セミナーで学生向けに話したという設定で
物語が構成されています。

江草雅一は、日中が協力すれば世界最強という信念で日本人に
多くみられる中国人に対しての軽蔑が全くなく全身で中国という
国を信じ仕事に邁進するのでした。

タイトルのとおり彼の案件はことごとく敗れる結果になるものの
なぜかその後、相手先から新たな案件が持ち込まれるなど、
江草のチームがどれだけ相手に信頼されているかがわかります。

物語の最大の案件は、デジタルカメラが席巻する現代において
従来型の銀塩写真のフィルム事業に生き残りの道はないのか
粗悪なものだけが残り、質の高いフィルムは無くなっていく
運命にあるのか。
国内最大手のフィルムメーカー、浅間フィルムが中国市場に
進出する、そこには深い闇と裏側の世界が交差し中国市場の
難しさ、資本主義の欲深さ、江草の苦悩が始まるのでした。

とてもリアルでテンポもよく面白い作品でした。
帯にも高杉良氏や幸田真音氏が絶賛と書かれています。
最初の展開が少し凝りすぎているのか、難しさを感じますが
物語が進むにつれのめり込んでいきます。
著者、深井律夫氏の今後の作品が楽しみです。