エチュード/今野 敏

¥1,680
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相変わらず面白い今野氏の作品です。
今回は、警視庁捜査一課の碓氷弘一と警察庁の
心理捜査官、藤森紗英の2人が犯人との心理戦に
挑みます。

渋谷、新宿と連続して起こる無差別殺傷事件、
人混みの中、ある協力者のおかげで現行犯逮捕される
のですが、それが実は犯人ではないというトリック。

人間の心理を巧みに操り犯人は次の犯行を仄めかします。
心理学、プロファイリングのプロ、紗英と犯人の
心理戦、裏の裏を読み、そのまた裏を読む、
その結末は意外なところから進み始めます。

碓氷の行動力と紗英の分析力、著者の得意な
登場人物の心理を描きつつ読み手を飽きさせない、
しかも途中で止められなくなる展開に引き寄せられます。
衆人環視の中での失敗を取り戻す結果となるのか
刑事たちの掛け合いが更に面白さを増しています。
あっという間に読み終えてしまいました。




下町ロケット/池井戸 潤

¥1,785
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池井戸氏の最新作、今回の作品は感動しました。
ストーリーは想像どおりながら、それを感じさせないほど
ジーンときました。

著者得意の金融事情、銀行の性格を鋭く描くとともに、
中小企業の技術力、プライドは作り出す製品の品質に比例する。
そんな元ロケットの技術者で家業を継ぎ部品製造の会社を
世界最高レベルの技術を持つまでに育てた物語です。

主力部品である車のエンジン部品、大手の自動車会社から
特許侵害と訴えられたり、ロケット製造の帝国重工からの
買収圧力や裏工作にも負けない社長の佃航平の生き様、
それに反発しながらも結局は社長に付いていき団結する
社員達、すばらしい会社で生き生きと仕事をする姿が
描かれています。





獅子のごとく 小説 投資銀行日本人パートナー (100周年書き下ろし)/黒木 亮

¥1,995
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何だか久しぶりに本格的な経済小説を読んだ気がします。
じっくり読み進まないとわからなくなってしまいます。
主人公、逢坂丹、勝負には勝たないと気が済まない、
そしてお金への執着、昔ながらのグレー、ブラックな場所へ
どんどん入っていく営業手法、就職した邦銀に実家を潰され
復讐を誓って必死に生きてきた男の生涯を描いた作品です。

邦銀を退職し、外資のエイブラハム・ブラザーズに入社、
がむしゃらに働き実績を残すとともに社内の派閥抗争にも
うまく立ち回り、東京支店の代表になるとともに、
エイブラハム・ブラザーズのパーナーから経営を携わる
メンバーへと出世し気がつけば数百億の資産を持つ資産家と
なっていました。

それでも、勝負にこだわり最終の目標、自分の実家を潰した
張本人の檜垣力を倒すことに執念を燃やすため目的を達する
ために何でもやる、それは金、女、ありとあらゆる伝手を
使って成し遂げる手法は敵を多く作り、部下もどんどん辞めて
いくのでした。

それでも、勝負に勝つという執念は変わらず突き進む男、
逢坂丹という獅子、その生涯は波乱に満ちたものでした。
最新の金融商品や実名が多数出てくることによりリアルな
ストーリーになっていてとても面白かったです。
時々はこういう真の経済小説を読むのは楽しいです。





撃てない警官/安東 能明

¥1,680
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強い志で気がつけば警視庁の中枢、企画課へ配属された
主人公の警部、柴崎令司は鬱病になっていた部下が
射撃訓練で自殺した責任をとらされ綾瀬署警務課課長代理に
異動となります。
課長と管理官は留任、これには裏がありました。
完全に排除された柴崎が再び這い上がろうとする短編連作です。

今まで管理部門でしか経験のない柴崎の悪戦苦闘、
自分を陥れた相手、中田課長への復讐、複雑な警察社会の
裏側を描いています。

内部の不祥事は決して表沙汰にしない体質、裏金の使い込みや
事件のもみ消し様々な悪事が巧妙な手口で隠蔽されていきます。
主人公の柴崎も様々な手を尽くします。

正義感とか無縁の、しかし何となく防衛本能がわからないでもない
興味深い作品でした。


とける、とろける (新潮文庫)/唯川 恵

¥460
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本のネタ切れになったので、ちょっと違うジャンルの本を。
恋愛小説では超有名な唯川恵氏が描く短編の官能的な物語です。
そもそも女性に向けて描いた作品ですから、私が勝手なことを
書くのも何なのですが。

九つの短編物語、どれも官能的ながら人の心を確実にとらえた
感じがとてもよく分かり、解説にもあるとおり、とても
バランスのとれた物語になっています。

感動もあり、悲しみ、悦び、そして恐怖も。
とても新鮮な感じのするジャンルの作品だと思いました。
凝り固まった頭をほぐすのにいい機会となりました。