天使の報酬/真保 裕一

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外交官 黒田康作シリーズ、今度ドラマ化されますね。
HPを見たら登場人物はこの作品とほぼ同じ。
原作となっているのでしょうか。
ドラマの方ではかなり内容が変わってくるのでしょう。

小説では、映画アマルフィとは一転、邦人保護が本来の
業務ですが、今回の黒田はほとんど日本で活動します。
外務省の体質、警視庁、警察庁、厚生労働省と霞ヶ関に
あるお役所の体質を痛烈に批判するような物語になって
います。

厚労省OBの娘がアメリカから偽のパスポートで日本へ
入国し何かをしようとしている。
またOBの息子は関連する細菌などを扱う研究施設から
突然退職、ボリビアへ、そこで何者かにひき逃げにあって
いました。

不可解な事実と情報漏えい、複雑な霞ヶ関の縄張り争い
そして関係する人物が次々に亡くなっていく、ゆっくり
理解しながら読み進まないとあっという間に分からなくなって
しまいそうな1ページ、1ページの情報が濃密な感じのする、
流し読みができないような物語です。

主人公の黒田は映画の影響で、完全に織田裕二が扮して
いるように頭の中にすり込まれていて、時折違和感を感じ
ながらも読み進んでいきます。
結末は想像しうるもそれまでの過程が驚きと緊張の連続で
十分に楽しめました。



嫌な女/桂 望実

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生来の詐欺師、夏子と堅物弁護士、徹子の物語です。
2人は親戚関係にあり歳も同じ、夏子の口癖は、
これで終わるような女じゃない、です。
一方の徹子は平凡を望み唯一の趣味は文房具収集と
いう対照的な2人。

昭和53年に弁護士になった徹子は、トラブルを
何度も起こす夏子の始末を毎回引き受けるのでした。
そのうち、徹子の入った弁護士事務所でも有名人に
なっていき、今度はどんなトラブルを起こしたのか、
と興味津々になります。

最初の頃は、夏子のトラブルになぜ私がという思いで
仕事をこなしていく徹子ですが、そのうち夏子の事を
嫌いにならない自分に気がつくのでした。

弁護士という仕事は、結局正義だ何だといっても
依頼人の利益を優先する職業、それにたとえ正義が
なくても依頼人のためにのみ働く、常に矛盾を抱えた
仕事であること、2人の人生を通してどんな生き方が
いいのか、いろいろと考えさせられる作品でした。




モルフェウスの領域/海堂 尊

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海堂氏の作品、いわゆる「バチスタ」シリーズの最新作。
前作からあまり時を経ずしての作品です。
東城大学病院の高階院長、如月翔子、当然ながら田口センセが
出てきます。ただし、白鳥は今回出番無しです。

遠く昔、佐々木アツシという9歳の少年が病気のため両目を
摘出することになったという出来事、このシリーズを読んでいる
人にとってはすぐに思い出すでしょう。
彼は片目を摘出、その後もう片方にも発病し選択したのは
5年間の凍眠という道。
桜宮市にある未来医学研究センターに、これまたどこかで?と
思い出される日比野凉子に見守られながらコールドスリープという
最先端の技術により新たな治療法が見つかるまでの間、
アツシは眠りにつき、5年を経て目覚めの時がやってきたのでした。

そこには様々な問題、しかも重大でこのまま目覚めれればアツシは
不幸になる、そんな危機的な状況を察知し、凉子がとった措置とは。
アツシを守るための駆け引き、アツシはそれに気づくのか。
これまでとは異なる社会への問題提起に驚きました。
今後の医療に、しかしこれまでも容易に考えられてた方法、しかし
そこには、またしても霞ヶ関、官僚の壁が立ちはだかるのでした。
難解ながらも事の深刻さ、海堂氏の訴えたいことは何か、
これまでの作品とは違った意味で物語に入り込んでいった感じが
し、あっという間に読み終えました。



朝鮮半島201Z年/鈴置 高史

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様々な対談で朝鮮半島、中国の問題を解いていく
物語ですが、これを小説というカテゴリーに入れて
いいのかよくわかりません。
確かに、中国と韓国、そして北朝鮮というそれぞれの
国の認識、潜在的な考え方が理解でき勉強になるのですが
それと小説の面白さとは違います。
現在の緊迫した情勢になっているからこそ出版できた
作品なんでしょう。



史上最強の内閣/室積 光

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最近特に緊張感を増している朝鮮半島情勢、
この物語は、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを日本に
向けて発射する可能性があるところから始まります。

現行の政権が本当の内閣へ引き継ぐところから始まり
ます、彼らは京都からやってきます。
総理は京都の公家、一軍内閣が発足します。

日本の危機管理を徹底的に皮肉り、危機の時、どう
対応すればよいのか、自衛隊は?日米同盟は?
リアルな危機にもこの内閣は想像もしない方法で、
日米同盟のあり方にも問題提起をしているような
それでいて面白い物語です。

こんな展開、絶対にありえないと思っても引き寄せられる
ストーリーの面白さで声に出して笑ってしまいました。
こういう外交術、今の日本に最も足りない内閣の方針と
行動力が備わっています。
とても面白く、しかし・・・少し考えさせられる物語でした。