Vol.055 上場企業の社長の首を挿げ替えたキャラクターの力 | アメブロ,ホームページ(WEBサイト),キャラクターで集客できるデザイン戦略

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25年の経験で得た集客や販促のノウハウを、飲食店や士業等のお店や小さな会社向けに、飯田橋の広告制作会社(株)ツワイス代表 藤谷が語ります。

■Vol.055 上場企業の社長の首を挿げ替えたキャラクターの力

上場企業の社長の首を挿げ替えたというのは、
ディズニーのことです。

ディズニーはテーマパークで世界最大、
映画でも大手の配給会社です。

その最高経営責任者
マイケル・アイズナー氏が失脚、
2005年10月に交代します。

その社長交代劇に大きくかかわっているのが、
実は「トイストーリー」を制作した
ピクサー・アニメーションスタジオです。

1990年代、アイズナー氏は、
ディズニーをクリエイター・ハウスから
メディア・トレーディング・ハウス(商社)
に変身させました。

クリエイティビティよりも
利益を重視する経営は、大きな利益を生み、
証券業界や投資家グループから
高い評価を得ましたが、
大人も子供も楽しめる
ディズニーの姿は薄れていきました。

そのもっとも顕著な例が、
アニメーション映画でした。

ピクサーの作った最初のCG映画
「トイ・ストーリー」は、
同じ年に公開されたディズニーの
「ポカハンタス」より5000万ドル多く
興行収益を上げます。

ピクサーの品質がディズニーを凌駕したのですね。

これはCGが目新しいということにとどまらないのは、
ピクサー作品をご覧になった方なら
お分かりになると思います。

ピクサーにはディズニーが失いつつあった
「大人も楽しめる」要素が
しっかりと織り込んであったからです。

それからその傾向は徐々に強まって、
2004年にはディズニー作品は
ピクサー作品の1/3しか
収益を上げることができませんでした。

つまりディズニーは、
配給するピクサー作品が大成功をおさめ、
収益面を得る一方、
自作のアニメ映画はピクサー作品によって
目の肥えた一般大衆に飽きられていったんです。

つまり、ディズニーの業績を維持するためには、
ピクサーはなくてはならない存在ですが、
ピクサーが成功するほど
ディズニーの競争力はなくなっていったんですね。


そして、このころからピクサーと
ディズニーの契約更新の話が持ち上がります。

契約では次の作品(カーズ)が、
ディズニーが配給できる
最後のピクサー作品だったのです。

実はこの契約というのが、
ものすごい不平等契約だったのですね。

ディズニーはピクサー作品を配給するだけでなく、
ピクサーのキャラクターの版権、
つまり商品化権を持っていたのです。

CMしか作ったことが無かった
昔のピクサーとは違います。

いまや、出す映画全てがヒットする
奇跡のクリエイティブハウスなのです。

(CG業界をリードするもう一方の雄
DreamWorksですらこけたことがある)

当然、そのような不平等契約は結びません。

にもかかわらず
自社の利益を確保したいアイズナー氏は、
従来の契約にこだわったのです。

その対立はアイズナー氏と
当時のピクサーCEOスティーブ・ジョブス氏の
感情的な対立まで発展しします。

ついにジョブス氏がメディアで、
ディズニー批判をするまでになりました。

こうしてディズニーとの契約更新は破綻し、
ピクサーは新たな配給パートナーを
探すことになりました。

で、このことがきっかけに、
ディズニー家唯一の役員から、
アイズナー氏の経営方法に批判があがります。

つまり、クリエイティブでなく、
商社になったディズニーでは
顧客が満足できないというわけですね。

実際、テーマパークの不振に加え、
アニメーションでは失敗続きでした。

お家騒動から、
アイズナー氏への不信が機関投資家や
役員会から一気に噴出し、
アイズナー氏は退陣に追い込まれてしまいました。

ピクサーとの別離がきっかけだったことは、
2005年10月、ロバート・アイガー氏が
ディズニーの新しいCEOに就任するやいなや、
まず、ジョブス氏との関係改善を切望。

ディズニーはアップルの
iPod向けコンテンツをいち早く供給するなど、
積極的に融和の姿勢を示したことでも
明確だと思います。

つまりキャラクターというのは、
超一流企業の最高経営責任者の
クビを挿げ替えるほどの影響力があるということですね。

なにしろ、今回の社長交代劇のきっかけは、
キャラクターの商品化権だったわけですから。

さて、ディズニーとピクサーのその後ですが、
ディズニー社がピクサー社を
買収することで決着しました。

とは言っても、
同じ頃日本で流行った敵対的買収ではありません。

ピクサー社はジョブス氏一人が
過半数の株を持ってましたので、
ジョブス氏がディズニー社の個人筆頭株主です。

それ以外にも、
ディズニーのアニメーション部門のトップは、
ピクサーのアニメーション部門のトップがそのまま兼任

そればかりでなく、
ピクサー最高のクリエイター(カーズ監督)の
ジョン・ラセター氏はテーマパーク部門にまで
影響力を与えるポジションに着いたのですから。

いかがですか?

まさか、キャラクターが
ただの子供だましだと思っている人は
このメルマガ読者にはいないと思いますが、
これほどの力があるとは思いもよらなかったのでは?

それだけ力のあるキャラクター、
ビジネスに利用しない手はないですよね。

ところで、ディズニーにもキャラクターがあったのに、
ピクサーには勝てなかったのはなぜでしょう?

それは次回、無責任に考えてみたいと思います。

それでは次回、お楽しみに。