彼女は、黒いパンツスーツを着ていて、髪はアップ、ワインレッドの縁あり眼鏡をかけていて、晴れた昼過ぎにおしゃれなカフェのオープンテラスでVAIOのノートパソコンを開いている。
一流企業に勤めていて、課長クラスの役職を持っている30代。
ドライな印象があるけど、俺といる時だけ甘えてくる。
遅くなった夜は、閉店しかけのスーパーで、半額になった惣菜と、風呂上がりに飲むカクテルを一本だけ買う。
車を降りると、社内では絶対に見せない、クシャクシャな笑顔。ちょっとハシャイで階段をかけ上がる。
「おぅい、ちょっと待てよ。」ちょっとだけ怒ったふりをして追いかける俺。
彼女は、靴を脱ぐのと同じタイミングで髪をおろす。同時に、俺の鼻をくすぐる『資生堂つばき』の甘い香り。
我慢できなくて、彼女を後ろからギュッと抱き締める。
「もぅ!」とか何とか言って、振り返ると、ちょっと呆れた顔で、俺に優しくキスするのです。
ま、こういうの、憧れてたよね、おれ。