晴れて“ハリセンのマサトモ”になるための要素が揃った訳だが、どうも体調が優れない日々が続く。
痺れをきらして内科へ行くことに。
もちろん、先日行った耳鼻咽喉科には行かず、またしてもナビ○イムを駆使し、この山奥深くにある内科で、一番不人気な内科を探した。
そして見つけた。

建物の感じがどうも前回の「耳鼻咽喉科」と被って仕方がない。悪夢の“2時間半待ち”再来か。
そうであれば…「治療費は払わず逃げる!」そう心に決め、院内へ入った。
ギギギーっと扉がきしむ音が院内に響き渡る。
受付のようなものはない。それは今まで自分が行っていた病院とは程遠い雰囲気だ。
「廃墟」
この2文字はピッタリだった。
それでも奥へ突き進むと診察室らしき部屋を見つけた。
はっきり言って肝試しは大嫌いである。これが夜なら逃げ出してるだろう…。
扉を開く。
またしても、ギギギーっと鈍い音が響く。
?
奥のテーブルに人が横たわっている!
近づいてみると、老人だ。
死んでいる?いや、生きている!
まさか、診察してもらう予定だったのにまさか人を助けることになろうとは…。
そう思った矢先、白髪の老人がムクムクっと起き上がって、何かを話してきた。
聴きとれない。
が、酒臭い。
明らかに酔っている。そして、この光景はどこかで見た光景だ。
古びた病院。来客もなく、院長は毎日飲んで時間を潰しているのだろう。
すぐに分かった。
いやいや、この人が誰で、何歳で、お酒に酔っているのかどうか、そんなことは今の俺にとってどうでもいい話だ。
あれ?この老人、Ray-Banのメガネをしている!欲しい!
いやいや、この老人がRay-Banだろうが、店番だろうが、老眼だろうが今の俺にとってはどうでもいい話だ!
とにかく、診察を急いだ。
大した医療器具もないが、大丈夫か…。
いや、こういう人の方が色んな局面を経験しているに違いない!
1ヵ月くらい喉の痛みが続き、熱が出ているという症状を伝えた。
すると、細長い綿棒のようなもので、俺の喉の奥を触れ、診察を始めた。
ただただ、嗚咽が出るばかり…もう少しで、封印したはずのデスボイスが漏れるところだった。
そして、深刻そうな顔をしたままうつむいた。
「今は良いが、急に悪化する可能性がある。症状は深刻だ…」
続けた。
「急性咽喉炎だ…クラビット錠を出しておく。」
※クラビット…合成抗菌剤で、細菌による感染症の治療薬。副作用としては発疹、かゆみ、不眠、めまい、頭痛、しびれ、けいれん、吐き気などを起こすことがあります。
そっか…。ってオイ!!
クラビット錠で治るなら、早くクラビット錠渡せよ!
ってことで、特に異常なしだった。
気持ちが晴れた俺は、そのまま近辺を探索した。
とある、廃墟を見つけた。
どことなく気になったので、中へ潜入。
この好奇心、冒険心は海賊の素質があるが故のものであろう。
どうやら最近まで人が住んでいた形跡が残っていた。
衣類、炊飯器、缶詰、小物や雑貨、成人男性誌…これからの旅に必要になるだろうものがたくさん落ちていた。
心の中で「ありがとう」の五文字をつぶやき、頂くことに。
使わないよりも使った方がモノも喜ぶし、モノがありふれているこの荒んだ世のためだ。
その中で気になった代物。

明太子味の歯磨き粉。歯磨きをしながら、明太子の味を味わえるという、「ふく○や」も驚きの一品。
それと旅と言えばこれが必要でしょう。

炊飯器がよかったけど…海の上じゃ電気を引っ張ってくる場所がないので、断念。
そして、駆け足で浜辺に戻り、持ち帰ったあらゆるものをイカダへ積んでみた。
イカダは重さに耐えられず、海中へ沈みかけた。
「生きるために何かを犠牲にせねば…」
決して頭が良くない俺でも、すぐに悟った。
そして…究極の選択。
悩むこと3時間。
成人男性誌を持って行くことにした。続く。
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