大阪市鶴見区のマンションで12日、少年(17)が病気の父親(44)を殺害した容疑で逮捕された事件で、父親が少なくとも数カ月前から、少年に「しんどい。殺してくれ」と殺害を懇願していたことがわかった。また、大阪府警鶴見署によると、少年は父親からの殺害の依頼に従った理由を、「父親が苦しむ姿を見るに見かねてやった」という趣旨の言葉で説明しているという。父親は肝臓を患うなど最近になって体調を悪化させており、同署は、体調に悩んだ父親が少年に繰り返し殺害を頼んでいたとみて、さらに詳しく調べている。

 父親の知人らによると、父親は体調の悪化で、最近は寝たきり状態だった。次第に弱音も吐くようになっていたという。父親は今年に入り、近所の飲食店を訪れた際、一緒に食事をしていた少年に「もうしんどい。おれを殺してくれ」と漏らした。これを聞いた店の経営者がすぐに「大事な息子に何させるんや」とたしなめたという。【安藤龍朗、向畑泰司】

 ◇母は数年前に病死

 「(少年は)父親のことがとても好きで尊敬していた。父親にとっても自慢の息子だった」。仲が良かった父子を知る人らは一様にこう話した。しかし、少年は自らの手で父親の命を絶った。

 父親の知人らによると、少年は一人っ子で、母親は数年前に病死した。父親は当時、「(母親を)幸せにしてやれなかった」と落ち込む一方で、「(少年と)2人で頑張る」とも話していたという。父親はこのころから「眠れない」と言って、睡眠導入剤を服用するようにもなった。

 父親と親しい運送業の男性(26)は「とにかく、父親は(少年を)かわいがっていた。小学生のころは我流でキックボクシングを教え、礼儀もきちんとしつけていた」と話す。また、父子が食事のために通っていた近くの居酒屋の店長(40)は「父親はいつも『あいつはええ男や』と息子を自慢した。(少年は)近所の人に会うと、きちんとした言葉であいさつする礼儀正しい子だった」と語った。

 しかし、父親は体調を崩しながらも好きな酒をやめることはなく、症状は悪化する一方だった。近所の住人によると、事件前日の11日夕にも、日本酒3ケースが自宅に届けられていたという。

 事件を知った知人らは少年の動機について、口々にこう推し量った。「大好きな父親がどんどん弱っていくのが、しんどかったんだと思う」--。

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 宮崎県で猛威をふるっている豚や牛の伝染病、口蹄(こうてい)疫。宮崎県から子牛が出荷できず、子牛を育てられないことから各地のブランド牛にまで大きな影響が及ぶことが必至の情勢となってきた。「ひとごとではない」。口蹄疫問題で揺れるブランド牛の飼育現場からは不安の声も漏れる。東京都あきる野市でブランド牛「秋川牛」を育てる牧場を訪ねてみた。(高橋裕子)

 JR小作(おざく)駅=東京都羽村市=からバスに揺られて10分。都内とは思えないのどかな田園風景が広がる中に「秋川牛」を育てる肥育農家、竹内孝司さん(69)の牧場はある。

 畜舎には体長170センチはあろうかという牛が、さくで区切られたスペース内で8頭ずつゆったりと横たわっていた。畜舎独特のにおいはせず、ひのき風呂のような木の香りがする。床に敷かれたおがくずの香りだ。

 「床が汚れると牛は立ちっぱなしですが、清潔だから横になれる。おがくずには消臭効果もあります」。竹内さんの長男、孝英さん(40)は説明する。

 買ってまもなくの若い牛は広い畜舎にまとめられるが、出荷前にはさくで区切られた1頭分の“個室”に転居。「区切られていない畜舎のほうが掃除も楽ですが、出荷前には余計な消耗をさせずに体内に脂を蓄えさせて仕上げる」(孝英さん)のだそうだ。

 ◆平均6万円上昇

 竹内牧場は、子牛を買って独自ブランド「秋川牛」に育てる肥育農家だ。この牧場で育ち、日本食肉格付協会の格付けで、上から2番目のA4等級以上を獲得した肉を秋川牛としている。口の中でさらっと溶ける脂が持ち味だ。

 常時約300頭を20カ月ほど肥育し、年間約180頭を出荷。餌は栃木県産の稲わらが唯一の国産で、台湾産のサトウキビの搾りかすなどを与える。

 宮崎県から遠く離れているが、口蹄疫は「ひとごとではない」と竹内さん。「離れていても感染するかもしれず、戦々恐々です」。定期的な出荷には常に新しい子牛が必要だが、子牛の名産地である宮崎県のほか九州地区の競りがストップし、ほかの子牛市場が高騰することへの懸念もある。

 竹内さんは年10回程度、岩手県の岩手中央家畜市場の競りに参加し、1回20~24頭の子牛を購入する。5月19日から3日間の競りでは、「見たことのない人が大勢いた。1頭当たり5万円ぐらい高かったが、数をそろえたいので、いつもよりランクの低い牛を調達せざるを得なかった」。

 農畜産業振興機構によると、この競りの平均価格は前年同時期の1・18倍で約6万円上昇。同機構が20日までにまとめた5月の全国の子牛1頭当たりの平均価格は、前年比8・6%高い約39万円で、全国取引頭数も前年の2割に満たない。

 ◆不況も追い打ち

 ただでさえ、日本の畜産はコスト高だ。豚や鶏なども含めた日本の飼料の自給率は29%と低く、飼料を自国で調達できる米豪などに比べコストがかかる。

 長引く不況も追い打ちをかける。竹内牧場ではおがくずを富山県の木工業者から購入するが、不況で住宅など木工の需要が冷え込み、おがくずの量が減って価格も上昇したためだ。

 金をかけて育てても、出荷の際に高級肉でも高値がつかない。竹内さんの場合、子牛を35万~50万円で買って肥育し、100万円以上で出荷するのが目標だが、最近は85万円程度で売れるのがやっとだという。

 「よほど動物好きで、金勘定ができない人しかやっていけないよ」と竹内さんは苦笑いする。安い外国産牛肉に対抗するには、日本の畜産の飼育コストを下げることが肝要だが、口蹄疫の発生で実現はさらに遠のいたといえそうだ。

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