巨人の星(再放送)[第73~74回]|謎の特訓&一徹の見た幻
(再放送)2010年10月4日~ 月~金 19:00~20:00(毎回2話放送) TVK 原作 - 梶原一騎(作)、川崎のぼる(画) 脚本 - 山崎忠昭、松岡清冶、佐々木守、長浜忠夫、辻真先、斉藤次郎、松元力、島修司、さわきとおる、吉田喜昭、山崎晴哉、宇佐美寛、伊東恒久、林すみ子、鈴木良武、竹内泰之、吉田茂承、斉藤望、金子裕 作画監督 - 楠部大吉郎、香西隆男、椛島義夫、斉藤博、遠藤正史 美術監督 - 小山礼司(1話-57話)→影山勇(58話以降) 美術デザイン - 小山礼司(67話以降) 音楽 - 渡辺岳夫 原画 - 塩山紀生、米川功真、荒木伸吾、小林治、森下圭介、小松原一男、石黒昇、今沢哲男、中村英一、芝山努、近藤喜文、北原健雄、前田実 他 コンテ - 吉川惣司、出崎哲、富野喜幸、奥田誠治 他 演出 - 長浜忠夫、出崎哲、小林きよ子、小林かおる、斉藤博、石川輝夫、奥田誠治、吉田茂承、斉藤望、吉川惣司、御厨恭輔 ナレーター - 小林恭治 協力 - 東京読売巨人軍 資料提供 - 越智正典(91話) 制作 - よみうりテレビ、東京ムービー * cast 星飛雄馬 - 古谷徹 星一徹 - 加藤精三 星明子 - 白石冬美 花形満 - 井上真樹夫 |
第73話★謎の特訓
ボクシングジムを訪れたユニフォーム姿の星と伴
「これだ、今までの訓練にかけていたものがここにある」と飛雄馬はwktk
昨夜もテレビで熱心にボクシング観戦していたのである
伴の頭からは?が飛び出しているが、
「伴忠太は無条件協力じゃい!」
飛雄馬、パンチングボールに興味しんしんで試してみると意外と筋がいい
飲み込みが早いとトレーナーにホメられていい気になり、
スパーリングをやらせてください
気迫におされたトレーナーの了解をもらい、ヘッドギアをつけてリングにあがる
相手の6回戦ボーイは大の巨人嫌いで、勝手に闘志を燃やしている
ユニフォームのズボンのままステップを踏むが、ジャブを打たれる飛雄馬
飛雄馬、打たれながら「正確なものだ、彼は正確に俺の動きを予測している…」と考える
格闘技を知っている伴が「見ちゃおれんわいっ!」と代わろうとしたとき――
クロスカウンターで相手を倒す
…さて、クロスカウンターといえば「あしたのジョー」だが、
ごっちゃに扱われることが多いこの二つのマンガには2年の隔たりがある
(「少年マガジン」連載開始とアニメ放映開始、いずれも「ジョー」は「巨人の星」の2年後)
この73話放映はおそらく69年と思われるが、作中の時代は1968年である
15歳の矢吹丈が暴力団「鬼姫会」を壊滅させるのが69年で、この頃はまだ姿を現していない
69年時点で、このアニメの視聴者が「クロスカウンター」を知っていただろうか
「マガジン」連載は68年初頭から始まっているので、
もうすでに力石と対戦をすませ、少年院を退院していたかもしれない
もしかしたら、ちょうど話題になっていたかもしれない
「すげえ左だ、まるでダイナマイトだ…!」
大リーグボール養成ギブスにはパンチ力強化の効能があったのである
何か得たらしい飛雄馬であった
翌日の長屋は「今朝の新聞みたかよ、おっさん!」とかしましい
昨日のジムでの出来事を見ていたサンデースポーツ紙の記者が早速記事にしたのである
口々に不安がる皆に、一徹、
「我が子が成長して親の古い頭ではわからんことを始めたんじゃ
それもまた親にとってはうれしいもの、本音を吐けば寂しくもあるがな、ふっふっふ…」
電車に乗って仕事へ
セメントをかき混ぜながら飛雄馬のことを考える
明子は井戸端で
(これはさすがに、放映当時でもアナクロな光景であったはずである)
「いいえ、父は昔通りの姿でいたいのよ、***仕事に出ることで」
(一部消去されているため、何を言っているのかよくわからない)
「父にとって今はあの日の続きなのです、飛雄馬といっしょに遠い巨人の星を仰いだあの日
それが巨人のでっかい星となることに変わっただけ、それだけよ」
明子が“でっかい”とか言ってるのに違和感がある
飛雄馬が次に現れたのは剣道の道場
伴は手合わせしてもらうために伴は飛雄馬のことを「有段者」と偽ったらしい
しかし心得のない飛雄馬はメッタ打ち…体育でやらなかったのかい
「伴よ、新変化球が見えてきた…霞んでいただけの変化球の形が」
「まだやるのか、体がバラバラになってしまうぞ…」
有段者が真っ赤なウソとわかった相手はもう気乗り薄である
しかしムダ話をしている隙を狙って、
思いきり突き!
これが新変化球…
これが俺の大リーグボール!
ああ?とか言われてる…ww
さらに次は警察の射撃練習場にまで赴き、
多摩川グラウンドに戻って、めかくしバッターの練習で仕上げ
一徹、仕事帰りに多摩川までやってきて異様な練習風景を発見
「わからん…今日の仕事でわしは壁塗りをやってきたが、
技術という土は根性という土で練って、いかなる雨にも耐える壁となる…」
待っているぞ、飛雄馬!
翌朝のこと、目を覚ました伴は座禅中の飛雄馬を発見
尊師みたいに浮いている!?
できた!…やっと設計図ぐらいのところだが
日曜で練習は休みだが、グラウンドに走る二人
目隠しを解かせ、伴に向かって大リーグボール1号を投げる飛雄馬
てゆか、できたばかりなのに、なぜ「1号」www
この一球で勝負が決まる!
永久に野球を捨てるか…勝負!
「うおっ!」という伴の声、
しかし何が起こったのかは映らない
へなへなになった伴、目が…
「俺はお化けをみたんじゃ、まぎれもなく、この目で!」とたあ坊に語る
「あいつじゃ、大リーグボール1号という名のボールの化物、
野球の歴史を変えてしまうようなものすごい魔球をな!」
花形よ!左門よ!星の球に腰をぬかすな!と吠える伴であった
第74話★一徹の見た幻
巨人-大洋戦ナイター、1-6で左門がバッターボックスへ
相変わらず投手層の薄い巨人、頼れるピッチャーは堀内だけとのこと
二軍宿舎でテレビに見入る選手たち、飛雄馬もあせる
「くそう、こうしちゃいれん…大リーグボールを引っさげて、俺も一軍で投げてみたい」
そこへ入ってきた中尾二軍監督、一同に喝を入れる
「今こそお前ら二軍選手が一軍に飛び出るときではないのか!
このチャンスを逃してお前らはいつ一軍に行くつもりなのか!」
タダ飯食らい、月給泥棒!
「特に投手はなっておらんぞ、一軍投手陣に喝を入れるぐらいの気合の入った投手はいないのか!
しゅんとなる空気の中、伴が立ち上がり、「任しといてもらおう!」
飛雄馬を振り返って、「今こそ見せるときじゃい、あの球を!」
「監督、話があるんです」と飛雄馬も立ち上がる
「まさか、お前が一軍に行くという話じゃないだろうな」と中尾
「左門に大ホームランを打たれてお前が二軍落ちしたのを忘れたのか?」
さっきまで一軍を目指せと言っていたのに、なにか逆のことを言い始める
「星はおそるべき球を手に入れたんだっ…これさえさえあれば天下無敵っ…!」と伴は熱弁
「魔球…? 星得意のビーンボールのじゃないだろうな」と一同は囃したてる
「ようしわかった」と中尾、「明日の昼、一軍の特訓に参加しろ、ただしバッティングピッチャーとして」
「バッティング…それはあんまりだ!」と伴
「お前はコントロールがいい、球も軽い、バッティングピッチャーとして最適だ。
言っておくが、お前の言う天下無敵の球は投げちゃいかんぞ、ビーンボールという天下無敵の球はな!」
みんなどっと笑う
さんざん憤る伴であった
翌日、言われた通りバッティングピッチャーを務める星
たしかによく飛ぶのである
「あれでよく一軍に出してくれなんて図々しく言えたもんだぜ」と速水もあきれる
藤田コーチ「ピッチャーは打者に自信をもたれると命とりだからなあ」
荒川コーチ「コントロールはいいし、球は軽い。打者に自信をつけさせるピッチャーとしては理想的ですな」
土手で見ていた一徹、「もう3日もバッティングピッチャーをやっておる…」
「なんてことだ…」
いつのまにか3日もたっているのね
川上も「この川上の背番号16を受け継いだ男がバッティングピッチャー…?」と忸怩たる表情
一徹、いらいらして、
「あの顔はバッティングピッチャーになりきっておらん! 見せい、飛雄馬、その秘密兵器を!」
しかし荒川コーチたちは「理想的なバッティングピッチャーだよ!」
その台詞に憤る一徹、「ぬかしたな、わしの生涯をかけた飛雄馬を理想的なバッティングピッチャーなどと!」
この回、一徹は親バカに徹して大熱演なのである。
「星、しばらくバッティングピッチャーとして投げてくれ。頼んだぞ」
という荒川の言葉に、一徹、ぐぐっと乗り出して
「ならん、飛雄馬、それはいかん!」
しかし飛雄馬は素直に「ありがとうございます、やらせてもらいます」
「なあああーっ!!」
一徹、見ていられず、ふらふらと
「なんたることだ、父と子と静止の境をくぐり抜けて来た苦労の果てがバッティングピッチャーであったか!」
しかしその時、飛雄馬は意を決して―――
「監督、お願いがあります! 王さんと勝負させてください!」
「さあて、どうするかな」
「ぼくは別にかまいませんよ」と王
「じゃあそうしてくれ」
「もうひとつお願いがあります。キャッチャーは伴にさせてください」
「真剣勝負だ、勝手にせい、16番」
気迫を感じた王も緊張する
王さんも燃えてきたな…!
大リーグボール!
見物人、一斉にどよめき
川上もショック
うっ!?と振り返る一徹
あ、あれは!
尻餅をついた王
「アウトォ!」1塁審判
マウンドへ走る伴、「よくやってくれた星! 貴様、貴様というやつはぁ~!!」
「泣くやつがあるか!」
「わかっとるわい!」
「勝ったぞ伴! 勝ったんだぞ!」
抱き合うバッテリー
一徹、「これはいったい…?」
「何が起こったんだ、わしの野球知識もってしてもこの奇怪な光景は説明がつかん」
1 とにかく何らかの形で王と勝負したらしい「わからん…飛雄馬どんな方法で勝負したんだ、教えてくれ…」
2 しかも天才打者王のフォームがみごとに崩されておる
3 そして三振したのなら主審が宣告するはずのアウトを一塁の累審が宣告しておる
4 だが打ったのなら王は走るはず
5 そして一塁手もベースについているはずだが、その姿もない
などと考えているうち、
はっと気づくと誰もグラウンドにいない
さらに家に帰った一徹、スポーツニュースで突然の練習中止のニュースを見る
(そんなことはニュースにならないと思うが)
「ふん…川上さんもまったくわからんことをやるわい」
ところが、キャスターによれば、見物人がいなくなってから練習はただちに再開されたという
「なんだと!」
――報道陣はすぐこれに気づきましたが、川上監督は完全に取材をシャットアウトしました…
「鉄のカーテンだ!」
――秘密練習に切り替えねばならない何かが起こったようです
――しかしそれまで練習を見ていた報道陣によると、なんら変わったことはなかったということです
「なんだと!」ともう一度叫び、思わず立ち上がる一徹
「別段変わったこともなかっただと、ばかな!
あの奇怪な光景を見たのはわしだけだっったというのか!
見物人も報道陣も、あの勝負を別段変わったことと受け取っておらん…」
いや、見物人はみんな驚いてましたが…
「しかしまて、飛雄馬の投げたその球は、一見、平凡な球であった、あえてそうだったとしよう
一見平凡、おそるべき正体がその裏にある
そしてその球は打撃の天才王貞治をみごと討ち取った
それを見た川上監督はおそるべきその球の正体を看破し、ただちに秘密訓練に切り替えた…」
一徹、とうとう興奮したまま外に走り出ると、
「やった!やったんだ!
わしの手元から離れて言った飛雄馬が自分ひとりで悶え苦しみ、そしてあみ出した新変化球!
よくやった、よくやったぞ飛雄馬!
巨人の星 全11巻セット (講談社漫画文庫) ¥7,161