英語講師、通訳、翻訳者の門田直樹です。

 

 

今日は英語教育でよく話題になる「英文解釈」について書きます。

 

 

英文解釈については、肯定的な意見も否定的な意見もあります。

 

 

色々な意見があるのは良いことですが、英文解釈がどのようなものなのか、認識が食い違ったまま議論されていることもあるように感じます。

 

 

 

英文解釈を一言で言えば、「英文の構造や文脈を把握し、意味を正しく理解すること」です。

 

 

主語・動詞・目的語・補語の関係や、語句がどこにかかるのかを確認することも、その一つですね。

 

 

 

英文解釈に否定的な意見としては、次のようなものをよく見かけます。

 

 

 

①日本語を読むときにはいちいち構造を考えないのだから、英語でも不要だ

②ネイティブは、いちいち英文解釈をしながら読んでいない

③英文の構造を意識して読むと、読むスピードが遅くなる

④英文の意味は大体分かればよいので、英文解釈までは必要ない

 

 

他にもあると思いますが、今回はこの四つについて考えてみます。

 

 

まず、①と②についてです。

 

 

母語として身につけた日本語と、外国語として学ぶ英語では、学習の条件が違います。

 

 

ですから、「日本語では意識しない」「ネイティブは意識しない」ということだけで、私たちにも英文解釈の学習が不要だとは言えないと思います。

 

 

 

次に、③の「英文の構造を意識すると、読むスピードが遅くなる」という意見についてです。

 

 

 

英文解釈を学んだ人も、英文を読むたびに、全ての文にS・V・O・Cを当てはめているわけではありません。

 

 

 

私自身、構造を意識して確認するのは、読む英文にもよりますが、全体の1〜2割程度という感覚です。

 

 

 

それ以外は、いちいち構造を考えなくても意味が分かります。

 

 

一読して意味がつかめなかったときや、読み方に迷ったときに、構造を意識して読み直すんですね。

 

 

 

英文解釈の知識が役に立つのは、そういう場面です。

 

 

 

例えば、ある英文にA・B・Cの三通りの読み方が考えられたとします。

 

 

 

そのとき、語順や品詞、修飾関係などを確認し、文法的に成り立たない読み方を除いていきます。

 

 

 

AとBが成り立たなければ、Cと読む根拠が得られるわけです。

 

 

 

ただし、構造だけで読み方を一つに絞れない場合には、前後の文脈も合わせて考える必要があります。

 

 

こうした読み方を学べる本として、私がお勧めしているのが、通称「黄リー教」です。

 

 

 

『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』

 

 

 

 

 

私自身は3回通読し、色々なことを学べたので、とても良い本だと思っています。

 

 

ただ、この本には賛否がありますし、読み通すにはかなり根気がいるのも確かです。

 

 

 

私がこの本に感じている価値は、英文の読み方に迷ったときに、判断のよりどころを持てることです。

 

 

本書で扱われているFOR(Frame of Reference)を使うと、「なぜそのように読めるのか」「なぜ別の読み方ではいけないのか」を考えやすくなります。

 

 

 

先ほどの例で言えば、AとBの読み方が成り立たない理由を確認し、Cという読み方を選ぶための手がかりになるんですね。

 

 

 

難しい英文ほど、一読しただけでは意味がつかめず、いくつかの読み方を検討することがあります。

 

 

 

そのときに、英文解釈の知識が役に立ちます。

 

 

 

一方で、英文解釈を学ばなくても、基本的な英文法を学び、たくさんの英文を読むことで、正確に読めるようになる人もいます。

 

 

 

英文に触れる中で、語順や構造のパターンを自然につかんでいるのでしょう。

 

 

私が指導した生徒にも、そのような人はいました。

 

 

ただ、私の指導経験では、同じように英文をたくさん読むだけでは、読み違いがなかなか減らない人もいます。

 

 

 

そのような場合には、英文解釈を学び、自分がどこをどう読み違えたのかを確認した方が、理解が進みやすいと感じています。

 

 

 

私自身も、英文解釈を学んだことが、英文を正確に読む助けになりました。

 

 

 

では、④の「英文の意味は大体分かればよい」という意見についてはどうでしょうか。

 

 

これは、読む目的によると思います。

 

 

 

記事の概要を知りたいだけなら、大体の内容をつかめれば十分なこともあります。

 

 

 

一方で、大学受験の問題を解くときや、仕事で内容を正確に把握する必要があるときには、大まかな理解では足りない場合があります。

 

 

 

誰が何をしたのか、どの語句がどこを説明しているのかを読み違えると、内容の理解も変わってしまいますからね。

 

 

 

全ての英文を同じ細かさで読む必要はありませんが、必要なときに正確に読み直せる力は持っておきたいところです。

 

 

 

もちろん、英文解釈をどれだけ学んでも、全ての英文を100%理解できるわけではありません。

 

 

 

語彙や背景知識が足りなくて分からないこともありますし、文法的な分析だけでは意味を判断しにくい英文もあります。

 

 

 

和訳や解説を確認して、初めて読み方が分かることもあります。

 

 

 

それでも英文解釈の知識があれば、「なぜその意味になるのか」を考えやすくなります。

 

 

訳を見て終わりにせず、自分の読み方が正しくかどうかを確認できることにも、学ぶ意味があると思います。

 

 

 

大分話が長くなりましたが、私は、英文を正確に読むために、英文解釈を一度は学んでおくことを勧めています。

 

 

 

そのうえで、学んだことを実際の読書の中で使いながら、多くの英文に触れていくことが大切です。

 

 

 

英文解釈の学習と多読を組み合わせることで、構造を意識しなくても理解できる英文を、少しずつ増やしていくんですね。

 

 

 

どの教材を使うか、どこまで詳しく学ぶかは、その人の英語力や目的によって違います。

 

 

 

黄リー教が合う人もいれば、別の教材から始めた方が取り組みやすい人もいるでしょう。

 

 

 

これまでも、大人の方の英語指導で、黄リー教や他の英文解釈の本を使ってきました。

 

 

 

独学では難しいと感じている方は、ぜひ声をかけて下さい。

 

 

 

ご意見、感想大歓迎です。

 

 

 

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