英語講師、通訳、翻訳者の門田直樹です。
Xで話題になっていたこの本を読了しました。
私自身が高校時代に夏期講習で代々木ゼミナールで、浪人時に1988年から1989年に駿台予備校で1年お世話になっていたので、とても興味深く読みました。
予備校の歴史は古い
一番驚いたのは予備校の歴史の古さです。
明治時代からあったとは全く知りませんでした。
しかも教えていた人が高橋是清や坪内逍遥で、校長が西周、桂太郎だったそうです。![]()
ちなみに西周、桂太郎、坪内逍遥が設立に関わったのは共立学舎です。
明治時代の予備校の設立には国の著名人のが関わっていたんですね。
予備校の栄枯盛衰
予備校がたくさんあったことは知っていましたが、この本を読んで改めて日本には本当に多くの予備校があったということを知りました。
団塊の世代が受験期を迎える頃から急速に増えていったようです。
団塊の世代の受験が厳しかったという話は叔父から聞いたことがあります。
大学進学者が増えているのに、大学の数が十分になかったためかなり競争が厳しかったとのこと。
四当五落(5時間寝たら不合格、4時間睡眠なら合格)という言葉が生まれたのもこの時代ですね。
私が予備校に通った時が予備校の絶頂期の後期でその後、多くの予備校が撤退していきました。
私も両国予備校や研数学館が撤退した時はかなり驚きました。
最近では代々木ゼミナールの地方校の閉鎖が記憶に新しいです。
私と駿台予備校
私が浪人時に予備校を選ぶ際に駿台予備校と代々木ゼミナールで迷いました。
駿台予備校に決めた理由は駿台予備校の方が真面目で堅そうだったからです。
ただ仮に代々木ゼミナールに行っていたとしてもそこまで結果に大きな影響を与えていなかっただろうと思います。
結局勉強するのは本人ですから…
私は今はなくなってしまいましたが、千葉県船橋市にある駿台予備校の中山寮に入っていました。
当時は中山寮には500名以上の浪人生がいましたね。
駿台予備校は東大志望者が多く、寮生の半分ぐらいは東大志望、後は京大、一橋、国立大学の医学部、早慶志望者でした。
中にはどうして浪人しているのと思えるぐらい優秀な人もいましたね。
私が何とか1年間勉強を頑張ることができたのは、浪人時の友人のおかげです。
高校の同級生も数人駿台予備校で浪人していたので、彼らの存在も支えになりました。
このブログでも何度か書きましたが、駿台予備校の各教科の先生方には本当にお世話になりました。
当時の駿台予備校の先生は大学教授を兼任されている方や退官された方、後に大学教授になった方もたくさんいらっしゃいました。
予備校というのは、言ってみれば大学入試に合格するためのテクニックを教える場ですが、駿台予備校の先生方はあまりテクニックをどうこう言う先生は少なかった印象です。
どちらかと言うと実力がつけば大学には合格できるよという感じのスタイルでした。
英語のchoiceを担当されていた筒井正明師は、「君は入試の英文を読んで感動して涙を流したことはあるか?英文を読んで感動して涙が流れるぐらいになれば入試なんて簡単に合格するんだよ」という趣旨のことをおっしゃっていました。(30年以上前の話なので、少し記憶が曖昧です)
今時こんなことを言っていたら「は?」って多分言われますよね。
でもこのようなことを言われても、そうなんだと思わせるだけのカリスマ性をお持ちの先生でした。
筒井正明師の最後の授業の言葉は、「count your life by smiles, not by tears. Count your age by friends, not by years」とおっしゃって、廊下まであふれている生徒の万雷の拍手の中颯爽と去って行かれました。
本当に格好いい先生でした。
駿台予備校の英語のテキストにchoiceという有名な教材がありました。
この教材には駿台予備校の先生方が選んだ英米の有名な作家の文章が収録されていました。
でも今考えるとこのchoiceの英文は当時の入試の傾向に合っていたとは言い難いです。
でも個人的に今でも印象に残っているのは筒井正明師のchoiceの授業なんですね。
ちなみに伊藤和夫先生の授業は、先生の単調な語り口と進度が遅かったこともあり、授業中に何度も居眠りしていました。(伊藤先生、すみません。)
伊藤和夫先生の本当の偉大さが分かったのは、英語を教えるようになって先生の著書を読み返した時です。
自分が英語を教えるようになって初めて伊藤和夫先生の著書がいかに体系立てて書かれていたのかが分かりました。
choiceの授業は、大学に合格するということを考えると、効率はあまり良い教材ではなかったのかもしれません。
今の学生ならコスパ、タイパが悪いというでしょうね。
でも当時の私はこのchoiceの授業が楽しかった。
浪人というモラトリアムの時期にアカデミズムの世界を垣間見たことに興奮していたのかもしれません。
でもこれこそが言ってみれば「予備校盛衰史」で書かれている予備校文化なのかもしれません。
多分他予備校にもこうした予備校文化があったのは間違いないと思います。
まとめ
本の感想を書くつもりが私の予備校時岱の振り返りになってしまいました。
私以外にも予備校時代を懐かしく思い出されている人は多いのではないのでしょうか?
言ってみれば必要悪の予備校に文化があったというのは面白いですね。
今後少子化が進むと予備校はなくなってしまうのではないかと危惧していますが、この本の最終章にそれでも予備校はなくならないと書いてあったので、少しほっとしました。
でも今後残っていくのはもしかしたらたたよびやN予備校のようなオンライン予備校かもしれません。
予備校も時代と共に変わらざるを得ません。
予備校に興味がある方はぜひ読んでみて下さい。
ご意見、感想大歓迎です。



