英語講師、英日翻訳者の門田直樹です。
通訳、翻訳と言うとただ言葉を置き換えているだけだと思われますが、なかなかそうはいかないのが実情です。
同じ単語でも状況やコンテクストで訳し分ける必要があることが多々あります。
例えば捨て猫を訳すとしても訳語はa stray cat, an abondoned cat, a owner-less catと色々あります。
私が今読んでいる松本道弘先生のこの著書には英検1級の生徒ならa stray cat、TOEIC満点の生徒ならan abondoned cat、同時通訳者なら気を利かせてa owner-less catと訳すだろうと書かれています。
同時通訳者の第一人者長井鞠子さんが、福島県の浪江町で通訳をされていた時に、故郷を「our beautiful town Namie」と通訳されていたことがすごく印象に残っています。
故郷なんてhometownでいいじゃないかと思われるかもしれませんが、homeetownだと無機質な感じがするから、とっさにour beautiful town Namieと言ったと長井さんはおっしゃっていました。
これが同時通訳者の凄さなんですよね。
後で考えればいくらでも良い訳語は分かりますが、通訳者は瞬時の対応を求められるから大変なんです。
ちなみに松本道弘先生も故郷は難訳語の1つだとおっしゃっていました。
外国語を正しく使うためには、単に言葉だけでなく、その言語の裏にある文化、歴史、民族等についてもきちんと理解しておく必要があります。
例えどんなにAIが発達しても私達が外国語を学ぶ意味はあると私は考えています。![]()
言葉は単なるツールにすぎないという人には外国語学習はもしかしたら不要になるかもしれませんね…![]()
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