こんばんは、アイです。
新銀行東京の2008年3月の累積赤字が、1000億を超えるようですね。
東京都民であるアイにとっても、他人事ではない話です。
追加増資は、都民の税金によるものなのですから。
「資金調達に悩む中小企業の救済」を理念として、石原都知事の主導により、
新銀行東京は誕生しました。
まあその理念は、間違っていません。てか、長男に頼まれたとか色々あったのでしょう。
何かとたよりない3男坊の(前に酒の席で一緒になったことがありますが、あれはダメっぽいf^_^;)
地盤作りにもなると、思ったのかもしれません。
資金繰りについては、いままで融資された中小企業にも、
そしてこれから都民が金を借してやる新銀行東京にも、
イチ経営者として、アイは忘れて欲しくないことがあります。
融資金というのは、設備投資に使うためだけに調達するのです。
運転資金にしては、いけません。
もし運転資金を借金しなければまかなえないというのであれば、もうそこは、死にかけです。
そんな人が知り合いにいたとして、仮に泣きついてきたとしても。手を差し伸べてはいけません。
亡霊を払うように、冷笑を浮かべて、こう言ってやるといい。
とっととシッポを巻いて帰れ。
今日の仕事ももう終わり。
掃除をしていると、赤いフレームのメガネをかけた初老の男性が入ってきました。
「へーっ!キレイだね。スッキリしてる。薬局とは思えないな。」
店内を見回し、感心したように言います。男性に続いて、父親が現れました。
「ついておいで、アイ」
待たせてあったタクシーに乗って、1時間ほど。
銀座の、某有名お寿司屋さんに連れて行かれました。
出迎えたのは、スーツを着た中年オヤジが5人。なんかガッカリして(いや、期待してた
わけじゃないけどね)、もう帰りたくなるアイ。
初老の男性は、ある大学病院で勤めていた整形外科の先生でした。
今度、開業することになったようです。
知り合いの開業医から、それなら1度アイツに相談したほうがいいと、
アイの父親を紹介されたとのことでした。
「まあほとんどの段取りは、○○○さんがやってくれてるから、私はそれを待つだけ
なんだけどね。」
高そうな小皿に盛られた付け出しをつつきつつ、そう言って笑う先生。
男たちのひとりから差し出された名刺と顔を交互に、観察するアイ。
アイも知ってる、大手の医薬品卸です。
「○○○に紹介を受けて、開業を決断されたのですか」
出された料理にも、ビールにも口をつけず、父親がタバコに火をつけて言いました。
「そうなんですよ。以前から開業は考えていたのですが、なかなかいい条件がなくてね。
そんな折に、○○○さんから、今度建築されるビルのテナントとして、入ってみないかと
いうことで」
「なるほど。おい、図面は」
いつも通り、超エラそうに命令する父親。男たちが顔を見合わせます。
なんで部外者のおめーにそんな事言われなきゃならねーんだって、感じだなぁ。
実はこういう展開、アイは何回か経験済みです。オヤジどもの話なんかムシして、
1番高そうな大トロから食べ始めるアイ。
先生に促され、取り出された図面を広げます。
「テナント料が△△万ということは、坪単価3万か。でもこれじゃ、スペースが
広すぎるだろう」
「はい、なので、私のとこの調剤薬局が同じフロアに入らさせていただくことになってます」
男たちのひとりは、調剤薬局の経営者でした。都内で2軒経営しているとのこと。
ああ、なんとなくわかってきたなー。
「うちのクスリはほとんど○○○さんで仕入れてましてね。開業の時も、
場所選びや分包機の搬入、調剤室や待合スペースのレイアウトまでみんな一括でサポートして
いただいたんですよー」
そう言って笑います。手と口を休まず動かしながら、そいつの顔をじっと見るアイ。
バカだこいつ。
先生も笑います。
「で、彼(調剤薬局の経営者)に聞いたら、クリニックに必要なものも○○○さんが
全部揃えてくれますとのことで、ホント安心したよ。私じゃ詳しいことは全然
わからないからねぇ」
○○○の社員と、調剤薬局の経営者が連れてきた残りの男たちは、
レントゲン会社と、レセコンメーカーと、あとはベッドなどの医療関係機材の営業マンでした。
渡されたパンフレットをロクに見もせずにアイに手渡し、父親が先生に向き直ります。
「先生、失礼ですが、自己資金はおいくらぐらいですか」
先生の目がちょっと泳ぎます。
「あー・・・大丈夫だよ。自己資金は、一応今手元に、1000万はある」
「そうすると借り入れが必要になりますね。銀行ですか?個人的に貸してくれるような
人が身内にいるといいのですけど」
「いやー、それはね。銀行から借りることになってるよ。ちょっと高くなるみたいだけど、
クリニックということで、信用で、貸してくれるみたいだし。」
父親が、ハハハと笑って、先生の肩を叩きました。
「まずはこの連中と
手を切りなさい。」
場が凍りつきました。
「私はいままで何回か、シロ・・・いや、経営に明るくない先生がたの開業のお手伝いを
させていただいたことがあります。
おそらく先生の所では、運転資金、機材代、看護師などを雇う人件費総て
合わせて3、4000万といったところでしょう。
いずれはもっと設備を充実させてもいいでしょうが、開業のはじめの段階は、
できるだけコストを抑えて、形を整えなければなりません」
子供に諭すような言い方で、男たちはムシ。先生にだけ話しかけます。
「私は40まで製薬会社に勤め、次長までいきました。この○○○という会社も、
よく知ってます。能書きばかりたれて、たかだか7、8%しか値引きをしません。
消費税が5%かかるというのにね。だからどこの地域でもアルフレッサとか東邦に
負けて、しょうがないからこんなコンサルティングめいたことで
金を稼ごうとしてるんですよ」
「ちょっとアンタ失礼じゃないか」
○○○の社員が、表情を変えます。
「うるせえ黙ってろ。
ヨッパライみたいな顔しやがって。
この先生からいくらふんだくるつもりだ。この業者どもからも
マージンとってるんだろう?」
怒鳴りつける父親。レントゲン会社の営業マンに向き直ります。
「もう1度、○○○を通さずに見積もりをだせ、アイミツにするからな。
言っとくけど、おまえのところは金だけは余ってるから医薬品業に
手をだそうとしてるけど、俺から言わせれば本業でコニカに負けてるぞ。
がんばってみろ」
続けて、レセコン業者と、ベッド関係の営業マンに指を向ける父親。
「開業の時はついあれもこれも揃えようとしてしまうもんだ。
パソコンの台数!ベッドの台数!本当にそれが必要な量か、ちゃんと考えたか?
どんどん買わせりゃいいってのが営業じゃないぞ。
もう1度見直すから、おまえらは帰っていい」
場の空気は、最悪。
顔を真っ赤にした調剤薬局の経営者が、それでも声を平静に保って、言います。
「あのさぁ、アンタがどこの誰様か知らないけど。医師どころか薬剤師でも
ない無資格者に、この業界のことがわかるのか?」
「ああ、悪いですけど。私は薬剤師で調剤薬局の経営者ですから。アンタと同じ」
口を挟むアイ。まだ開業したてだけどねとそっと心の中だけで付け加えて。
「こいつはおまえなんかよりよっぽど優秀だよ。
○○○に全部丸投げしてる分際でエラそうなこというな。
ウチのはアドバイスこそしたが、レセコンも機械も店のレイアウトも
何から何まで結局全部自分で決めた。
くだらないコンサルタントに、つけいるスキを見せたことはないぞ。」
手刀をテーブルをバン、バンと叩きつけてにらみつけます。寿司屋なのに。
KYなんて言葉はこの父親の辞書にはありません。
「薬の購入を○○○だけにしてるなんて、バカも休み休み言えよ。
いくつもの業者を呼んで、見積もりをださせて、競争させるんだよ。
そもそも、今度の先生の開業でおまえ何枚見込んでるんだ?」
「・・・・・・・・・・50枚ぐらい、だ」
「それを薬剤師何人でやるんだ?」
「何枚くるかわからないから、とりあえず事務員をひとり、薬剤師を3人」
「とっとと帰れ!」
・・・・・・・・・・まあ、いろいろありまして、食事代は、先生の分まで、
アイの薬局の経費で(納得いかねー)落とすことになりました。
・・・・・・・・・・しょせん生魚とメシのカタマリのくせに、なぜこんな高いんだ・・・
帰りは、先生はタクシー。アイと父親は電車です。
混雑する山手腺。ぼそっとつぶやく父親。
「腹減った」
「食べないからじゃん」
いつものことですが、父親はマジな話になると、食べもしないし、飲みません。
ひたすら紫煙をくゆらし、考え、計画を構築していきます。
当の先生はというと、すっかり父親に感激していました。
○○○からは、予算として7000万はかかるといわれていたのに、父が3500万
あればなんとかなると断言したからです。
まあ、アイに言わせれば先生がいけないんですけど。○○○の社員に言われるままに、
ウォーターベッドとか、最先端テクノロジーのエアとウレタンのストレッチ用ハイブリッドマット
とか、ほいほい注文しようとしていた寸前でした。床にひくマットなんか体育の授業で
ガキが使うあのマットで十分でしょう?と父親がキレる寸前で言い含めていましたけど。
もう決定したことなので、○○○と調剤薬局とは、今後も関係は続くでしょう。
でも少なくとも、直にやれば、注文するにしたってムダな出費は大幅に抑えられます。
物選びは、アイもずいぶん苦労しました。膨大な情報の中から、何かを選ぶのって、
すごく大変なことですけど。
自分の城を作るのに、そんな手間すら惜しむようならツブれちまえばいい。
保健所がうるさいので、まずは調剤薬局から半年~3ヶ月ほど早くオープンして、
先生の開業はそれからです。
保健所の認可申請は厳しくなってきたといいますが、まあ経験上、
保健所というのもたいていは見逃してくれる、あるいは巧妙にやれば、
営利関係があっても、バレません。
極端な話、病院と薬局の資本が同じだって、かまやしないんです。ホントは
そんな関係、ダメなんですけど、ダミー会社を2、3かませりゃ、イケます。
実際医療法人ではこのような形式をとってるところ、よくあります。
父親は、会社を経営していますが、コンサルタントをしているわけではありません。
投機家気質というか、趣味です。いろんな問題に関わり、解決していくのが
好きなんです。無報酬でやります。いえ、その報酬というか、父親は独特な人脈を
構築しています。
「この前、家に外科部長きたろ。あれのオヤジの、紹介なんだ。」
先日アイの家に来た外科部長のお父さんもお医者で、開業医をしているとのこと。
「当時、バブルがはじけて持ってたマンションが暴落してな。
助けてくれって泣きついてきたから、助けてやった。3000万ローンが残ってたから、
なんとか金を工面して、3000万一括返済して、800万で売ったんだ。
で、残りの2200万を病院の経費に計上して処理したんだ」
クックッと楽しそうに笑います。なんだかなぁ。
「まああの先生は優秀だ。しばらく赤字だろうが、何年後かには、
ちゃんと返せるだろうよ。もし順調にいって伸びるようなら」
アイの肩を抱き、タバコくさい顔を寄せて、笑います。
「いつかきっと、また関わるときが、くるさ」
飲んだ次の日も、当然仕事。
朝、ひとりの時間。片手を白衣のポッケに突っ込み、もう一方の手でぽんぽんと、
調剤タナを叩くアイ。
薬が増えてきたので、もう1台増設したのです。
医薬品卸、○○○には、アイの知り合いも以前管理薬剤師として勤めていて。
他の卸と違い、値引きしないことを、自慢気に語っていました。
会社の方針として、値引きよりはサポートや自社ブランド製品の販売、
開業コンサルタントに力を入れているとのこと。
値引きを強く要求してくるような取引先は、どうせロクなもんじゃないから、
無理して営業しなくてもいいというのが、会社の方針だそうです。
納得したフリをして聞いてましたが、内心、
バカじゃねぇの。
って、思ってましたけど。
そんなことだから、どこでもキラわれるんだ。
ライバル会社の営業マンが毎日なりふり構わず戦ってるというのに、
何言ってんだか。
○○○の自社ブランド製品も、実際調べて見たら他のライバル会社でも作ってる
程度のものだったし、なにより高い。コンサルティングなんて、論外。
それに、サポートというのは、力を入れるもんじゃないです。
して当たり前のこと。かけなきゃいけない設備投資はあるだろうけど、
結局それは、心がけ、性根の問題だと思う。
価格が全てとはいわない、でも他のライバル会社と価格が5%も違うなんて、
話にならない。てかガチャガチャ言う前に株価もう少し上げろってんだ。
・・・実は、医薬品卸から商品を買うというのは、メリットもあります。
本来、資産となるような高い買い物には、10万円を超えると、固定資産税とか
いうものがかかるようです。税理士さんがいってました。
調剤タナも高い買い物でした。本来25万だったのを、1ヶ月かけて
11万まで値切りましたけど。
本来なら固定資産税がかかりますけど、この代金を、毎月の医薬品代に
ブチ込んでしまえば・・・当事者以外は、わからないんですよ。
医者の中には、そうやって卸経由でパソコンやら何やら高い商品買ってる
人、結構いるようです。わるいやつら。
経営するって、大変なことですけど。
でもサラリーマンみたいに、しぼられるがままってわけじゃ、ないんだよね。
蛇だけが通れるような道だって、ある。
宙に浮いた(若者に還元してくれ)年金の40%がワケわかんなくなってて、
どうせムダになる400億もの税金の増資を勝手に決めておいて
「オレ悪くないもーん」 て言い張る連中のいる社会で。
それでも気分良く生きていこうというなら。
かよわい少女のままでは、いられない。
それにしても、10万円超えなきゃ、資産にはならないんだよなー。
アイはマリオよりスネーク派だし、そろそろPS3とか買っちゃおうかしら。
PS2にも対応してるやつ。ヘタレギアがでたら、ますますプレミア化しちゃうよね。
アマゾンとか楽天とか、そっちでうまく郵便とかコンビニ振替とかで買えば、
たぶん経費で落とせる。
ふふふふふふふふふふふふふふふ。
ダークサイドに堕ちかけのアイ。今日も白衣をまとい、働いています。
