◆元三大師関連寺院 (2)大悲山 楠光院 笠森寺(千葉県長生郡長南町) |       慈しみに恵まれて~豆々朗師のオモシロ寺社巡り~       

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 決して熱心な宗教の信者ではありません。
 ただ寺社で目につく面白い事物をコレクションしてきました。 

◆元三大師関連寺院

(2)大悲山 楠光院 笠森寺(千葉県長生郡長南町)

笠森観音 日本唯一の四方懸造り 坂東三十三観音札所 第三十一番札所 (kasamori-ji.or.jp)


上野寛永寺両大師(1)に続き、房総半島中央に位置する長南町・いすみ市の天台宗寺院三山(笠森寺・行元寺・長福寿寺)を紹介したいと思います。
 

授与品は少ないのですが、それぞれ個性があって千葉では人気の寺院になっています。
まずは笠森寺です。

 


    (笠森観音1)
 

「笠森観音」と呼ばれる天台宗別格本山の笠森(かさもり)寺は、784年伝教大師(最澄)が霊木の楠から十一面観世音菩薩を彫って山上に安置したのが開基と伝えられています。
 

その特徴ある観音堂は、1028年、後一條天皇の勅願により建立され、日本唯一の「四方懸造」と言う建築様式で、国指定重要文化財となっています(パンフレットより)。
 

縁起も大層立派ですが、実物を目にするとその異形に驚かざるを得ません。

 

                                                     (笠森観音2)
 

岩山の上に柱を立てて、空中高くに観音堂がそびえているのです。
 

よく崖の窪地や山の斜面に建てられた寺社は目にしますが、四方から柱で支えて岩山の上にお堂を持ち上げた建築様式は確かに珍しいと思います。
 

しかも観音堂が建つ敷地が山の上にあるので、5回は笠森さんを訪ねている私と美月も、観音堂へ更に登るのはかなりの決意と体調の良さが必要となります。

 

                                                     (笠森観音3)
 

改修は繰り返されているものの、観音堂は安土桃山時代に建立されたものであり、古式蒼然たる内陣に、往時から祈り続けてきた人々の姿が瞼に浮かびます。
 

数年前、この観音堂で般若心経を熱心に唱える老夫婦の姿を見た時、私と美月は、どんなに文明豊かな社会になっても、人間の祈る心情は変わらないものだと感じました。
 

また観音堂の周囲には回廊がついており、房総半島の春夏秋冬を楽しむことが出来ます。

 


  (笠森観音4)
 

前立腺癌と戦っていた私は、ぼんやりと回廊に腰かけて、山上に吹く風を受けながら、与えられた命への感謝、そして命を全う出来る喜びを噛み締めていました。
 

さて、本題の角大師護符(19×12.5㎝)は観音堂にしっかりと置かれていました。

 

                                         (笠森観音5、6、7)
 

笠森寺に護符があることは本や文献にも記載がなく、自分の勘で再訪して見つけただけに喜びも一入(ひとしお)です。
 

おそらく元三大師を知らなかった頃は、何度笠森寺を訪れて護符を目にしていても、意識・記憶に留めることは出来なかったと思います。
 

元三大師を知ったからこそ、笠森寺の角大師護符を見つけることが出来たのです。
 

そう考えると、興味や知識、知見をたくさん持つことが、それまで見えなかった世界を発見することにつながるわけです。
 

発見が喜びであれば、それは人生を一層豊かにしてくれるに違いありません。
 

是非、笠森寺を訪れてみて下さい。