◆元三大師関連寺院 (3)東頭山 無量寿院 行元寺(千葉県いすみ市)No.1 |       慈しみに恵まれて~豆々朗師のオモシロ寺社巡り~       

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 決して熱心な宗教の信者ではありません。
 ただ寺社で目につく面白い事物をコレクションしてきました。 

◆元三大師関連寺院

(3)東頭山 無量寿院 行元寺(千葉県いすみ市)No.1

         行元寺-HOME (gyoganji.or.jp)


笠森寺と近い房総半島の中央部、いすみ鉄道の上総中川という無人駅から30分ぐらい歩いたところに行元寺(ぎょうがんじ)は位置しています。


全国的には知られていませんが、この寺院には、房総半島南部で有名な「波の伊八」が彫った『波に宝珠』という欄間が残されています。

 

                                                   (行元寺波に宝珠)
 

これが葛飾北斎の『富嶽三十六景 神奈川沖波裏』に似ていると言うことで、観光バスが停車出来る駐車場がこの寺院にはあります。

 

                                                  (神奈川沖波裏)
 

「波の伊八こと、武志伊八郎信由(たけしいはちろうのぶよし)は1752年(宝暦2年)に、現在の鴨川市打墨で生まれました。 子どもの頃から手先が器用であったようで、彫刻師である嶋村貞亮に弟子入りをし、腕を磨き、安房・上総をはじめ、江戸や相模など、南関東を中心に50点余りの彫刻を残しています。 伊八は若いころから才能を発揮し、次第にその腕を買われ、数多くの仕事をこなしていきますが、別名「波の伊八」と呼ばれるように、大小に関わらず多くの波を彫っています。 彼の彫る彫刻は、立体感や奥行きがあり非常に優れていますが、特に波は躍動感に満ちています」。

(いすみ市観光ポータルサイトより)
 

確かに構図は似ているのですが、二人に関係性はないようで、この行元寺の看板はちょっとやりすぎではないかと笑ってしまいます。

 

                                                    (行元寺看板)
 

どうやら行元寺の住職が元美術関係者らしく、このような宣伝手法を用いて団体参拝者を集めているようです。
 

しかし北斎とは迫力が全く違います。
 

後から描かれた北斎の絵が似ているから凄いという考え方自体が、実は伊八の作品を貶めてしまっているように私は思います。
 

伊八は伊八、北斎は北斎。
 

有名な何かに似ているとか、これが何かの原点とか、行元寺もいすみ市も伊八を馬鹿にしているようにしか思えません。
 

権威づけしようと焦るほど、伊八の価値を棄損することに気づかないのでしょうか。
 

私と美月は千葉県にある月讀神社を訪れた際、それは集落にある本当に小さな神社なのですが、向拝に設えられた龍の宮彫りの見事さに感動したことがあります。
 

その時は私達も素人で知識も全く無かったのですが、その迫力に圧倒されて二人でため息をついたのを覚えています。

 

                  

                          (月読神社1)                                (月読神社2)
 

伊八は芸術家と言うより当時の宮大工であり、本人達は工務店の仕事としてこれらの彫刻を造っていたと考えています。
 

伊八工務店は五代目まで続き、月讀神社の龍は三代目が彫ったものだと言われています。
 

房総半島の一宮を週末の拠点に遊んでいた私と美月は、この感動が契機となって、あちこちの寺社巡りを始めたと言っても過言ではありません。
 

神社の天井に描かれた天女も素朴で素晴らしく、これをモチーフに『二十三夜』という官能小説を書きました。

                                                     (月読神社3)
 

これは『妄想の座敷牢』という別ブログに掲載していますので是非お読み下さい。

『妄想の座敷牢』~官能小説家、紅殻格子の世界~ 『二十三夜待ち』 (2nt.com)