こちらの記事はシリーズですので
はじめての方は、まず
シリーズ①からお読み下さい
◆ シリーズ①
この日は朝の5時から正午まで
7時間ずーっと森さんの動きを
見させていただきました
(ちょっと絵面が怖い)
途中、森さんが心配して
足、つらいやろー
腰、つらいやろー
そっちで座っといたら?って
気を遣って頂いたのですが
座ってしまうと
森さんの動きが見れないので
本当はしんどかったですが
そんな自分の気持ちを無視して
可愛げもなく「大丈夫ですー」
なんて言っていました
とにかくずっと
森さんの動きを見ていたのです
なぜなら
「要所要所」だけを見ていても
「流れ」をつかまなければ
何も学べないことを知っているから
むしろ「ここ、ポイントですよー!」
というところ以外にこそ
本当のポイントが隠れています
今回の隠れポイントのひとつは
「掃除」
森さんは「おいしい豆腐を
つくるには掃除が7割」
と言います
もりのとうふやさんの厨房内は
ピッカピカ使う器具類も何から何まで
見とれるほどピッカピカ
道具を大切にするということは
その道具を使う対象のものを
大切にしていることにつながるのて
プロであればあるほど
道具へのこだわりは強く
大切に扱います
ここで言えば
その対象のものは「とうふ」
7割の徹底した掃除が
美味しいとうふを作るのだそう
掃除のポイントにも色々あります
どんな洗剤をつかって
何から、どう洗うのかとか?
扱い方ひとつで、その食器や道具を
どれだけ大切にしているのか
知ることができますし
こだわりも見てとれます
森さんのところの洗剤は
環境にやさしい酵素系の洗剤を
使っていました
◆ 私が使っているオススメ洗剤
【油汚れに超強い】環境に優しい非石油系でもガンガン油が落ちるオススメの洗剤
仕事が美しい人はたいてい
お片づけも手際よく美しい
ちゃちゃっと作るそばから
片づける、洗い物をためない
ふきんもこまめに洗う
使ったボウルもその都度洗う
ちょこちょこっと掃除する
床に落ちたものをさっと拾う
水滴をみつけると即ぬぐう
それが自然に身についていて
ただそれだけなのに
静かな流れの中に
エンターテイメント性を感じるのです
私がディズニーランドで
アルバイトをしていた時
お掃除をするキャスト(従業員)
を眺めることが好きでした
お掃除をするキャストは
「お掃除」がメインなのに
たまにほうきを濡らして
ミッキーやミニーをアスファルトに描く
本業でないところに垣間見える
心遣いやこだわり
森さんにはまさに、そのような
リズミカルな動きがありました
もちろん、私のような部外者が
厨房内にいることで
ふだんのリズムは崩れます
きっと私がいなかったら
ここは、こんな流れだろうなとか
導線はこっちなんだろうなとか
想像しながら眺めていました
そうそう、話がすごく脱線しますが
森さんの動きを見ながら
新卒の頃の自分を思い出していました
私は大学を出てから専門に通い
栄養士の資格を取りました
あのときは24歳
ブラックジャックによろしくとか
コード ・ ブルーの舞台にもなった
とある病院に配属された私は
朝4時から夜の23時まで
休憩ほぼ無しで働いていた時期もあり
超絶過酷な新卒時代
(その頃、栄養士なのに
栄養失調になりました 笑)
作ったおやつをゴミ箱に捨てられたり
徹底して無視されたりとイジメに合い
心身ともにボロボロな上に
はじめて1人暮らしをしたりして
頼る人もなく
猛烈にくたばっていました
(この話は別の機会にするとして)
その病院ではこのような
回転釜を使っていました
そして大きなしゃもじを使って
500人分の炒め物を作ったり
スープを作ったりするわけです
しかも、早番の場合は1人で
500人分の料理をつくります
(とはいえ主菜と汁だけですが)
500人分の食事を作るということは
慣れればなんてことないですし
今でも環境さえ整えば作れますが
新卒の頃は、まぁ怖くて怖くて
自分の手で500人分の食事を作る事は
当然ながら
500人分の口の中に入る料理を
作るということ
火入れを間違えて
焦がしたりしないか
煮込み時間を間違えて
濃くなりすぎないか
髪の毛が入って異物混入にならないか
などなど
失敗したら500人に食事が届かない
失敗したら大騒ぎだ
どうやって責任をとるのだろう
想像力が豊かな私は(笑)
想像すればするほど
怖くてしょうがなかったことを
今でもはっきり覚えています
そのときの現場責任者は
オロオロしている私に
こう言いました
「見てろ」
それしか言わなかったです
私の心中では
「見てろって、何!?怖いよー」
としか思わなかったのですが
右も左も分からない私は
「見てろ」と言われたとおり
見ているしかなく
ただ、ボーッと見ていた私は
「ちゃんと、見てろ」
と言われました
はっ!!!!!(OvO)
私が「ちゃんと」見ていなかった事に
その責任者は気づいたのでしょうね
「ちゃんと、見てろって何!?」
と私はまた、オロオロ(笑)
限りなく使えない新卒でした(笑)
その後も、何かと責任者が
「見てるか」「ここ、見てろ」とか
たまに「邪魔だ、どけ」とか
バシバシ言ってきました
こわいよー、こわいよーと思いながら
毎日毎日とにかく「ちゃんと」
その責任者の「動き」を見ていました
すると
色んなことが分かってきました
「邪魔だ、どけ」という意味は
「私が邪魔な場所に居る」
ということ(そりゃそうだ)
もし私がちゃんと見ていたとしたら
邪魔になるような場所になんて
立たないわけです
つまり「邪魔だ」と言われるうちは
私がちゃんと見ていないという証拠
「見てるか」と言うときはもちろん
「私が見ていないとき」に言います
(これも、考えてみれば当然のこと)
で、私はあることに気づいたんですね
「見てろ」と私に言いながらも
その責任者は、料理をしながらも
食器を並べながらも
「私の動きを見ている」ということに
つまり「全体を見ている」
料理だけをしているわけではない
料理をしながらも
時間を見て、周りの人の動きを見つつ
次を予測して動いている
すごいなー、と思ったと同時に
あることに気づいてハッとしました
「ちゃんと見る」
それだけの事なのに
こんなに「気づき」を得られた
ということ
「ちゃんと、見る」ってこんなに大事
それからもうひとつ
疑問に思っていたこと
「見てろ」だけで、なんで
ちゃんと説明してくれないんだろう?
と思っていましたが
その理由も知ることが出来ました
動きと共にわざわざ説明していると
普段のリズムが崩れてしまう
そのため
「普段のリズムを教える」ためには
「見てろ」しか言うことが出来ない
リズムを教えるには
見て感じ取ってもらうしかないのだと
このとき、知ったのです
だから今回、森さんが
いつもの動きの中でわざわざ
私に説明しながら
リズムを崩しながらも
すべて見させていただいたことは
本当になかなか無い貴重な機会
さまざまな厨房で料理を作ってきた
私にとって
森さんほどこまめに掃除をする方は
これまでに見たことがありません
森さんは、体感リズムを
「掃除」でとっています
大豆を蒸している間に器具を熱湯消毒
大豆を絞っている間に窯を洗う
堅とうふを作っている間に
グラインダーを洗う
※次回2018年2月予定