こんにちは、ふじおです。
今日は、今年の3月で退職された倉敷市立西中学校の前校長の松本一郎先生の講演会に参加しました。
3月にお会いしてから3ヶ月が経ち、久々の再会です。
今回の講演は、「人権教育連続講座 第1回あなたと私の人生学」の一環で、「みんなでつくる『幸せのワクチン』~PBIS倉敷モデルの挑戦」というテーマでした。
松本先生が取り組まれているPBISについては、2021年2月21日に倉敷で子育てと教育を考える会主催の講演会で拝聴したのが最初でした(その参加レポートはブログにも過去にアップしたのでご覧下さい)。
PBISとは、Positive Behavioral Interventions and Supportsの頭文字をつなげた用語で、直訳すれば、「積極的な行動的介入と支援」という意味で、一般的に「ポジティブな行動支援」と訳されています。
もともとはアメリカで開発された教育理論です。
アメリカのPBISは、教員から良い行動をした生徒に一方的に渡されるカードで、そのカードを貯めると、鉛筆などの文房具と交換してもらえるなど、交換券的な性格が強い即物的なものでした。
松本先生は、アメリカのPBISは生徒の良さを認めるという点において評価はしていたものの、それをそのまま導入することは日本にはそぐわないと感じていました。
そこでカードを渡す相手の評価した点を記入する欄を設けたのです。
それがグッド・ビヘイヴィア・カード=GBカードの誕生です。
松本先生はこの日本版PBISを、教頭をしていた総社西中学校で実践しました。
そして校長として赴任した西中学校で発展させたのです。
初めは教員から生徒へ渡すものでしたが、生徒からの要望で生徒から生徒へ、生徒から教員へと双方向性のカードになりました。
昨年まで猛威を振るっていたコロナ禍では、感染者に対峙し悪戦苦闘していた病院の医療従者への感謝と応援のメッセージとなったエール倉敷のハートの紙に生徒の思いを載せたGBカードを貼って送りました。まさにGBカードの発展形です。
そのPBIS倉敷モデルは、倉敷市内の65%の小学校と、55%の中学校に導入されているそうです
ところで、PBISは、相手の良さを認めることが基本理念です。
生徒の良さを認めることで、自分を好きになる子どもを育てる。自分を好きになる(自尊感情が高くなる)ことは、友だちを大切にする。自分が好きな生徒は、自分が幸せであると感じる。自分が幸せであれば生きる力になるのです。何て幸せな連鎖なのでしょう
ポジティヴ心理学を創始したマーティン・セリグマン博士は、相手のできていることを言葉にして褒めることで、褒めた人の自尊感情が持続的に高まるとし、「ポジティヴ心理学は、幸せのワクチンだ!」と言ったそうです。
学校で実践されているPBISを、今度は私たち親が家庭で実践する時です。
学校で、家庭で、幸せのワクチン接種が進めば、地域社会が、日本全体が互いを思いやる“やさしい社会”になるのではないでしょうか
PBISについて詳しく知りたい方は、『PBIS実践マニュアル&実践集』(栗原慎二編著 ほんの森出版 2018年)をご覧下さい。
松本先生も総社西中学校での実践を報告しています。