『障害者支援員もやもや日記』松本孝夫 | 本を読んでも賢くなりません。

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ごく普通の読書ブログのつもりではじめたら、ごった煮のようになってしまいました。

早くも9月となりました。

毎日がすごい勢いでビュンビュン過ぎ去るのが、目で確認できるような気がするくらい、ビュンビュンです。


 

今回とりあげた本ですが、私のいつもの読書傾向と違うよう・・・と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

本来結構な雑読家なので、自分と関係ない職業がズラリ揃ったこちら三五館シンシャ『日記』シリーズはかねてより、気になっていました。


 

『メーター検針員テゲテゲ日記』『マンション管理員オロオロ日記』『ケアマネジャーはらはら日記』・・・等々。

気になりつつ、これまでこれらを手にしてこなかったのは(従姉がくれたシリーズ本の1冊が積読タワーの一員で控えております。爆。今度読む)、表紙にある検針員さん、マンション管理員さん、ケアマネジャーさんのイラストが、哀愁を誘う絵柄で・・・はっきり言うとバッチイ感じのヨレヨレのジジババに描かれていて、哀しいのと貧乏臭いのが苦手(だから映画の『万引き家族』などは、タイトルだけでさようなら)なため、拒否反応が先に立っていたのでした。

 

 

その拒否反応を乗り越えて『障害者支援員もやもや日記』購入に至ったのは、勤め始めて半年以上過ぎた現在の私の仕事と重なるからです。

 

 

 

 

Amazonレビューでも、表紙を見て手にとるのを躊躇したと仰る方がおいででした。

ですが、内容は良いです。



元ライターでもあった著者の松本孝夫氏、還暦を過ぎて自身の経営する会社が倒産してしまったあと、しばらくは会社時代の人脈を頼りに企業コンサルや医師のゴーストライターなどで収入を得ていました。

 

 

年金だけではやっていけないし、倒産で心労をかけた奥様を安心させようと70歳を目前に職探しを始め、「障害者支援員」になったのも高齢者ホームの介護かと勘違いしたままグループホームに面接にいったのが切っ掛けだそうです。

 

 

 

 

 

 

面接ではじめて、お世話する対象が高齢者でなく障害者だと聞いても、障害者のイメージも湧かないような状態から、テスト勤務として4回の泊まりを経て就職するまで。

そして8年を経て脊柱管狭窄症の手術をする事態となり休職。

78歳の著者がホームへの復職を願っている、2022年暮れまでの様子が丁寧に書かれています。


元ライターだけあって文章もうまいし、障害者支援員とは何をする人か興味がある人、またグループホームや利用者の日常はどんな感じか知りたい人にもおすすめの本です。

 

 

このグループホーム「ホームももとせ」には、知的もしくは精神障害を持つ利用者が1階と2階で男性・女性に分かれて10名が生活しており、障害者支援員は文字通り、その生活の支援をするのが仕事です。

 

 

ちなみに私が行っている仕事場は「ももとせ」よりもう少し人数が多く、やはり男女に分かれて生活をしていて、私は世話人の立場で利用者さんのお世話をしています。

 

 

支援員と世話人の違いはなんぞ、というと・・・たぶん基本の仕事内容はあまり変わらない(生活見守り、食事のお世話、投薬、お小遣い管理など)と思います。
本にある「ももとせ」では支援区分(1~6まであって、1が低い)が6などの支援を必要とする度合いが高い利用者さんもいて、入浴や排せつの介助も行う支援員の存在が不可欠となるのでしょう(世話人は身体介護は行いません)。

 

 

‟障害者”施設と聞くと、どこか怖いようなイメージをお持ちの方もおいでかもしれませんが、仕事をして半年経って、いまだにどこに障害があるのかわからない方たちもいて、私の場合はただひたすら、ご飯を作って提供するのがメインの仕事です。

 

 

しかし、高齢になってから畑違いの仕事に飛び込んだ、著者の松本さんの姿は優しく、常に利用者さんのためを思っていらっしゃるのが感じられて、心温まります。

 

 

Amazonレビューでは、知らない世界で勉強になった・・・の書き込みもありました。

私にしたら、勤務形態似てる(本では夕方4時から翌日朝9時半)、利用者さんの様子・・・あーわかるわかる、な感じでとても親近感をもって読みました。

 

 

やっぱり・・・表紙のイラストはいただけません・・・。

 

 

 

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