『この世界の片隅に』の作者、こうの史代さん。
実はこの方の絵柄がこれまであまり好きではありませんで(人の頭や手足を大きく描く手法が少し古臭く感じて)・・・・・・で、いつもの食わず嫌いでおりました。今日までは。
以前見た映画の『この世界の片隅に』も後半ちょっと「うん?」と引っ掛かるところがあり、面白かったとは思ったもののそれなりにしていました。
ところが、私の中のミーハーな部分から、苦手意識が覆されました。
私の好きな声優さんで細谷佳正(ほそや・よしまさ)さんという方がいて、広島出身なのが関係あるかは分かりませんが、『この世界の片隅に』では主人公すずさんの結婚相手、北條周作を演じています。
細谷さんの声や演技をいいと思うようになったのが、『この世界の片隅に』を見ただいぶ後で、ああそういえば・・・と映画を見直し、こりゃいい作品じゃないの!?(だから、みんな評価してたって。爆)
そしてダメ押し。今日の三浦小太郎氏のFacebook記事で、こうの史代さんの代表作『夕凪の街 桜の国』が紹介されていました。
三浦さんはこれまでにも、こうのさんの漫画を大層褒めておいでで、調べると『夕凪の街 桜の国』は1冊に2編収録されていて読みやすそうなのと、ただいまkindleでポイントがついて実質半額になるセール中(他のこうの作品も)だったので、早速購入して読みました。(漫画は積読しませんよ。即読みです)
このコマは、戦争中に死体が流れる川の横で男女が呑気にチューする話じゃありませんよ。
(と勘違いした自分、反省。)
舞台は原爆投下から10年後の広島。
以下ネタバレを含みます。
主人公の平野皆実は、「あの日」父と妹を原爆によって亡くし、自らは火傷を負いつつも母や姉と共に生き残ります。
が、数か月後姉は倒れ、この世を去ります。
(ちなみに、疎開していて被爆せずに済んだ弟とその家族を描いたのが『桜の国』)
「あの日」、原爆を落とした誰かから「死ねばいい」と思われたことが常に頭から離れず、そう思われても仕方がない人間になってしまったと、皆実は考えています。
しあわせや美しさを感じるたび、「あの日」逃げるため見殺しにしてしまった人々を思い出し、おまえの住む場所はここではないという声がする。
焼け落ちた橋と川に浮かぶ無数の死体は、皆実の心に巣食った罪の心。
「うちはこの世におってもええんじゃと教えてください」
橋のたもとのキスの相手にそう問う皆実でした。
ラストから2ページめにある皆実の独白は胸をえぐられるように強烈です。
(ここでは書かない・・・けど、『この世界に』のすずさんの慟哭と共通のものを感じます)
これがほんの30ページほどの漫画だなんて・・・。
▼サンプルで17ページのところまで読めます。
こうの史代さん、これまで食わず嫌いで申し訳ありませんでした。
kindleセールはあと6日あるようです。
ところで前回記事に出した‟バーベンハイマー”。
日本の非難はどうやら空回りだったようです(ワーナーの謝罪も取材向け?とか)。
日本の思いとアメリカ(及び海外各国)のズレについて、とてもわかりやすい解説をしてくださっいる記事がnoteにありました。
海外から見て日本は、ナチスと同盟した悪であって、ナチの悪>原爆 となるらしく、ぶっちゃけ「被害者ヅラしてんじゃねーよ、ジャップ野郎」ってことなのかもしれません。
▼どれも丁寧に説明されていて、感情的ではない。ブログのお手本のようだ。