『マイスモールランド』を見た | 本を読んでも賢くなりません。

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ごく普通の読書ブログのつもりではじめたら、ごった煮のようになってしまいました。

埼玉川口のクルド人問題について調べていく過程で、川口のクルド人を題材にした映画『マイスモールランド』が昨年公開されていたのを知り、早速ネットレンタルして見てみました。

 

 

一部で‟プロパガンダ映画”と非難されているので、少し警戒気味の観賞だったものの、いやー、予想に反していい映画でした。

 

 

何より主役の嵐莉菜さんが美しい。

映像もきれいなんですよ。

フランスとの共同制作で、画の調整や音のダビング作業はパリで行われたと公式サイトにありました。

 

 

そのせいか、風景は普通の日本なのに、ちょっとヨーロッパ映画のようなオシャレ感がありました。

 

 

 

 

この映画は、故郷を離れて川口に住まうクルド人一家(父、主人公のサーリャ、妹、弟)のうち、長女サーリャにスポットを当て話が進行します。

(実際にこの4人は本当の家族です。後で知ってびっくり)

 

 

サーリャを取り巻く環境は厳しく、‟マイスモールランド”のタイトルが示すように狭く息苦しいものです。

 

 

高校3年のサーリャは、学校の教師になる夢を持ち、大学の推薦も狙える学力の持主。父親には内緒のコンビニアルバイトで進学資金を貯めています。

 

 

学校では友人もいて普通の女子高生に見えるサーリャですが、家に戻るとクルド式のお祈り・クルド式の床での食事、クルド語の会話(ただし妹と弟はクルド語が話せない)・・・日本語があまり理解できないコミュニティ内の人間への通訳のような役割も自然と背負わされています。

 

 

日本で生活しながら、クルド人のコミュニティの中で生きることを期待され、その中には親が決めた将来の結婚相手すらいます。

(クルド人社会で女性の地位は低く、家父長制で父親の決定は絶対的なようです)

 

 

職場のコンビニでサーリャは聡太(奥平大兼)と知り合い、やがて仲良くなっていきます。

客からどこの国の人か聞かれるとドイツ人と答えていたサーリャでしたが、聡太にはクルド人であると打ち明け、父親にも秘密にしている自分の夢を語ったりするようになりました。

 

 

そうした日常は、ある日一家の難民申請が不認可になり、在留カードに穴があけられ無効になったことから崩れはじめます。
仮放免中の身になった父(解体業らしい)がそれまで通り仕事を続けていた時警察に職務質問され、入国管理局に収監(仮放免中は就労不可)されてしまいます。

 

 

大黒柱の父がいなくなって家賃が滞りアパートの大家から出て行って欲しいと言われ、サーリャは大学の推薦も取り消され、バイトも首になり・・・。

家を追い出されることだけは避けようと、進学資金のためのお金を出しますが、足りません。

困った挙句パパ活に手を染めたものの、客に襲われそうになり、相手を突き飛ばして必死で逃れます。

 

 

その時の客の男が言い放った言葉が、日本から出ていけ、というものでした。

 

 

・・・結局、最後この一家がどうなったかまでを映画は描いていません。

見た人の想像にゆだねられます。

 

 

少女の行き場のなさ。日本にもクルド人コミュニティにも、家の中にも本当の居場所がないという苦悩を描いている点、よく出来た作品だと思いました。

 

 

以下、「良い映画」と一旦書いておいて、これを実際の在日クルド人や難民申請中の外国人にそのまま当てはめるのは危険かもよ、の話に移ります。

 

 

私が映画を視聴したのはAmazonプライムビデオで、ここのレビューや他サイトのレビューをいくつか見て回ったところ、日本の入管の非情さ、難民受け入れ数の少ない日本をおかしい・・・という意見がかなり多くを占めていました。

 

 

監督・脚本の川和田恵真氏にはその意図があった(今度の入管法改正にしても「改悪」と仰っています)にせよ、ナイーブすぎではないかしら。

 

 

作中の父親は、反政府的なデモに参加したことから捕まって拷問を受け、故郷で暮らせなくなったと語っていました。

 

 

しかしですよ。

3人の子供を抱えた父親で、絶対に故郷に戻れない理由があるのに、難民申請の認定率が極めて低い日本に来るのはかなりリスキーではありませんか。

 

 

作品の中では一家の故郷がトルコであるとはっきり言うシーンはどうやら無いよう(確認するにはもう一度レンタルしないとならない)ですが、たぶんトルコと思われます。

トルコからの難民申請は特に認定が難しいらしいのに、よく来ましたね。

ひろゆき氏ではないけれど、わざわざ飛行機に乗って、言葉も文化も違うこの島国に・・・(と、父親の責任を問うレビューはひとつもありませんでした)。

 

 

一家が日本に来た時誰も日本語を話せず、小学校で苦労したサーリャが教師を目指せるほどの学力を得たのは奇跡というか、きっとものすごい秀才だったのでしょう。

 

 

「マイスモールランド」は美しいお話として見るべきで、実際に川口で住民から嫌がられているクルド人の行動は、多くが教育の無さから来ているようです。

 

 

 

川口のクルド人問題について、今年5月からずっとネットで訴えてきたジャーナリストの石井孝明氏の記事です。全4回のうち「マイスモールランド」と絡む話が次の(3)です。

 

 

 

 

▼こちらは記事の最後にある、石井氏が取材した‟在日クルド人社会に詳しい人”が語ったことです。映画はこの中の‟血の絆と因習で束縛”の部分をよく描いていたように感じました。

 

 

在日クルド人の親は、「仮放免」という中途半端な状況に子供たちを追い込み、血の絆と因習で束縛し、教育を放置し、狭いコミュニティから抜け出せないようにしています。

親が「政治難民」と嘘をついて日本に出稼ぎに来ているためです。日本で生まれたり、幼少期に来日した子供を、法的に曖昧なままにしているクルド人の親がたくさんいます。その無責任な行為は倫理的に許されないでしょう。

それなのに人道問題に話をすり替えて、「子供を助けて」と主張して日本に居住しようとしています。それはおかしいし、不正です。

 

 

 

 

 

いきなり(3)からご紹介してしまいましたが、(1)(2)(4)も貼っておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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