「火の鳥」読了 | 極楽ブログPart2

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世の中に寝るより楽はなかりけり浮世の馬鹿が起きて働く(「母の教へ給ひし歌」なのです)

全巻を2回ずつ読んだ。1回目はざっと読み飛ばし、2回目は精読という、いつものスタイルである。

全巻を並べるとこうなる。ちょっとした壮観である。(画像は借り物)




感想文を書くべく、ネットで情報検索していたら、こんなサイトがあった。




いやぁ、参った。ここまで読み込まれては・・・やめたやめた。輪廻論はやめた。


仕方がない。


少し違った観点から書いてみるか。


手塚治虫サンは、絵の天才である。それはわかっている。


今回ワタシが驚いたのは、乱世編に出て来る祭りの絵である。




焚火を中心に踊り狂う村人たちを上空からの視点で描いているのだが、村人たちが動いて見える!


似たような絵を見た記憶があるなあ・・・


これだ!




これは、「ファウスト」に出て来る物の怪どもである。この絵も躍動しているではないか。


手塚さんのコマ割りは素晴らしい。見開きで描かれたモブシーンは圧巻である。


「火の鳥」には残虐なシーンが数多く描かれている。食人もあれば、近親相姦もある。かなりグロテスクなストーリーなのである。


ただ、手塚サン自身も認めているが、女性の描き方はあまり上手じゃない。脚など取ってつけたような感じである。


俗にエログロナンセンスと言う。手塚漫画にはグロとナンセンスはあるが、エロは薄い。本当は描きたかったんじゃないかなあ。いや、多分描いているな。


「火の鳥」のストーリーは、綿密に計算されているとは思わない。間違いなく、出たとこ勝負&アトヅケの部分がある。話を強引に進めていく筆力は、大したものだとは思うけどね。


手塚サンは、人類の未来に関しては悲観的で、物質文明の行き着く先は自滅だろうと思っている。そこをなんとかしたいというのが、「火の鳥」のテーマではないかしらん。


火の鳥が光りながら暗闇を飛び去って行くシーンは、繰り返し描かれる。あれは手塚サンの見果てぬ夢の象徴のような気がするのである。


ともあれ大作である。チト疲れた。