ルーシー・M・ボストンさんは、知る人ぞ知る児童文学作家であり、パッチワークの達人である。英国の田舎のマナーハウス(旧領主の邸宅)に住んでいた。
キミタチは知るまいが、かのリンボウ先生は、英国留学中に、ボストンさんのマナーハウスに下宿していたんだよ。何、知らん?リンボウ先生の「イギリスは愉快だ」を読みなさい。
思い立って、市立図書館の蔵書検索サービスで、ボストン夫人関係を探したら、書庫に自伝があった。
早速借り出したのが、脚を骨折する直前であった。
で。
ジタバタしていて、なかなか読む気になれなかったのだが、ここへ来て松葉杖生活にも慣れて来たので、腰を据えて読み始めた。
この自伝は、写真入りで470ページもある。目次は、以下の通り。
第二部は、著者81歳の時、第一部は87歳の時に出版されたものである。
読んでいて驚いたのは。
ボストン夫人は、厳格なメソジスト信者の家に生まれながら、旧来の陋習に捉われず、自由奔放に生きていた!
リンボウ先生の描くボストン夫人は、軽妙洒脱な老婦人であるが、その本質は、辛辣そのものであることが、よ〜くわかった。怖い怖い。
内容は、一口で言えば、年寄りの思い出話である。人名が、思い出すままポロポロ出て来るし、各種古典からの引用が多く、チト読み辛い。巻末の訳注の出来も今ひとつ。
ついでに言うと、訳文がこなれていない。原文を見ていないので、想像であるが、かなり凝った文体が多いのではないかと思う。
例えば、これなど何度読み返しても、意味がわからん。
ブルーミーは意識不明のまま亡くなったが、私は、生きていたらブルーミーを待ち受けていたかもしれない運命を、まるで自分が逃れることができた気がしてうれしく思った。
因みに、ブルーミーというのは、ボストン夫人のマナーハウスの庭師である。
さて。
元々ワタシが読みたかった本は、これである。
この本は、既に絶版になっており、中古本が手に入らないことはないが、プレミアムがついているので、アホらしい。
市立図書館には、置いてなかった。残念なり。