先月、拙過去記事をご覧になった方から以下のコメントを頂きました。
文中で一羽鳩のサイズについて書かれていましたが、30mlの一羽鳩はあるんでしょうかね?探しているのですがなかなか見つからなくって…
後、7mlサイズの物って栓とボトルを繋ぐ封印みたいな紐付いていないんですかねぇ?
こういう細かい情報ってなかなかないですね。
3年前に取り上げた、ニナリッチの銘香・レールデュタンについてのお問い合わせでした
以前もかな~り調べたのだけど、欲しい情報が中々見つからない!
一羽鳩・二羽鳩について語るサイトは山のようにあるんだけども。
香水好きの方達ならご存じ、様々な海外ブランド香水輸入を請け負っている川辺(株)さんのレールデュタン紹介頁を読んでも、イマイチ文脈が繋がらずピンとこない。
当時は自分を無理やり納得させて記事作成したけど、再び川辺さんの頁を読んでも訳わかめ
なので、頭をリフレッシュするのに丁度良いと、レールデュタンについて再調査することに
ということで、1記事で収まるか不明だけど結果発表~
。。。にしても、モノがなくては始まらないので、先ずは入手しました。
即ち、
ウフフ~見つけたのよ、未開封のレールデュタンをね
それも小さいサイズを
ニナリッチ「L'Air du Temps」
左:一羽鳩、右:二羽鳩
いずれもフリマサイトで入手
一羽鳩の外装正面と裏面を。
香水の種別:パルファム、容量は8ml(約1/4 oz)
正面には一羽の鳩が描かれ、裏面には「Colombe(一羽鳩)」と明記されています。
しかもこの一羽鳩、出品者さんがかなり格安出品されてたので、
送料込みで1,000円台で購入出来ました
二羽鳩の外装正面と裏面を。
香水の種別:パルファム、容量は7.5ml(1/4 oz)
正面には番いの鳩が描かれ、裏面には「Aux Deux Colombes(二羽鳩)」の明記が。
二羽鳩は数千円台で、これまたラッキー
今回は思いきって包装紙を剥がしました!
私も答えを知りたかったしね。
左:包装紙を外し、外箱にした状態。
右:蓋を開けましたよ~
今回入手した未開封の香水は、包装紙の糊がガッツリ貼りついており。
両サイドの封印シールを破って外箱を出しました。
小サイズの台座の側面にはそれぞれ「L'Air du Temps」と印字されています。
結果は、
一羽鳩は、栓とボトルを固定する封印紐は無し
但し、香水瓶を箱に固定するための紐はアリ。
紐のように見えるのは、触ってみたらシャリシャリするので
恐らく揮発した香水が栓部分で再結晶化したモノ
封印紐で固定されていなかったのに、がっちり封されていたお蔭で
箱の内部には香水染みの痕もなく綺麗な状態を保っています
二羽鳩には封印紐が付いてましたー!
こちらも箱の内部に香水染みの痕はありません。
これでめでたし、という訳にはいかないのね~
レールデュタンというと、日本人の私達は一羽鳩・二羽鳩栓の香水瓶をメインに思うし、国内サイトはほぼ上記画像タイプやフラスコ型瓶の紹介ばかり。
でもね、改めてよくよく調べると。
(画像はお借りしています)
この画像は、1948年レールデュタン発売当時の広告
ニナ・リッチの息子であるロベール・リッチが戦後、香水部門を発足。
ロベールは、スペインはカタロニア在住の女流彫刻家ジョアン・レバルへ、「鳩と少女」という題の彫刻制作を依頼しました。
前後して、香水瓶のデザインをもレバルへ依頼。
レバルがデザインしたのは「サンバースト」と呼ばれ、太陽がカッと照る様を表現した日輪または花火を模した香水瓶でした。
更に、ロベールの幼馴染であるマルク・ラリックがガラス栓をデザイン。
ラリック社で香水瓶製造を請け負い、1948年に発売されたのがコチラ
(画像はいずれもお借りしています)
左:1948年発売当時のレールデュタン(種別:パルファム)
右:広告と、サンバースト型香水瓶が納められた化粧箱
エンボス加工された化粧箱がとっても素敵、
サンバースト型香水瓶含めこのパッケージ復刻してほしいなあ
1945年に死去したルネ・ラリックの息子がマルクです
(画像はお借りしています)
左:マルク・ラリックがデザインしたサンバースト型香水瓶のガラス栓
太陽の上を飛ぶ一羽の鳩が描かれています
右:香水瓶の底には、「Nina Ricci」「Lalique」の刻印あり
このガラス栓を真上から撮影した画像がなっかなか見つからなくてね~
そもそもオリジナルのサンバースト瓶画像自体が少なくて。
漸く見つけたのは、実は二日前にeBayで(笑)
偶然にも出品されたばかりのサンバースト瓶ですが、お値段約5万円。
そして日本への配送不可~
今回はひたすら海外サイトを検索しまくりました
そしたらね、
(3点とも画像をお借りしています)
ごく一部ですが、レールデュタンの香水瓶変遷画像が複数HITしましてね
多少の違いはあるものの、
(左)一羽鳩栓→1954年より製造、(右)二羽鳩栓→1951年より製造
という事が判明しました
ロベール・リッチは香水瓶のリモデルを図る際に「友愛と平和」の概念を象徴したいと二羽鳩を栓にすることを思いつき、親友のマルクにデザイン依頼したのだとか。
私達が良く知る香水瓶本体の曲線は、サンバースト瓶の放射線をリスペクトしつつイメージしているのでしょうね
(画像はお借りしました)
ロベール・リッチによるレールデュタンの解説文。
二羽鳩栓発売時に一緒に同梱されたようです。
更に、「世界平和」をイメージした一羽鳩栓が1954年(1955年の表記もあり)に発売されました。
変遷画像で「一羽鳩栓が1970年」と印字されていますが、これは一羽鳩・二羽鳩ともに1/4ozサイズの香水瓶製造開発に成功・発売が1970年とのことなので、小サイズ香水瓶の画像かと思われます
玉響所有の一羽鳩。
左が3年前に紹介した、紙の化粧箱入り1/2oz (15ml)
中は今回フリマサイトで入手した、サテンの化粧箱入り1/2oz (15ml)
右が1/4oz (8ml)
国内外多くのサイトでは、1oz(30ml)一羽鳩香水瓶の記述が全くなく。
ヤフオクやメルカリ、eBayなどをチェックしても一羽鳩栓の30mlは全く見当たらず
30mlサイズ販売は無いかもと思いましたが、ただ一箇所、フランス人香水コレクターのサイトに30mlサイズの一羽鳩画像が掲載されているのを発見
サイトによると、香水瓶の底縁(底面ではない)に「Lalique France」と筆記体で署名刻印されているそう。
もしかしたら、一羽鳩30mlサイズはフランス国内でのみ流通している可能性が
左:8ml、右:15ml
そしてね、一羽鳩の場合、ちょうど身体半分のところに薄っすら線が見えます。
サイズに限らず、量産する際の型枠が上下半分で分かれるようになってるんでしょうね。
右の翼に傷がついているように見えるけど、多分型外しの際に若干の傷というか、
引っかかり(バリ?)がつくのかも。
左:3年前に紹介したサテン化粧箱入り1oz (30ml)
右が今回の1/4oz (7.5ml)
1/2oz (15ml)はそのうちにご縁があればと思っています。
二羽鳩栓の方は更に大きいサイズで8oz (240ml)入りの香水瓶もありますよ
eBayでは約100万円で出品中です。
レールデュタンも、オードパルファムやオードトワレでの販売もありますが、香水瓶のデザインが異なるのはご存じの通り。
ボトルデザインも沢山あるので、好みのデザインを購入されれば宜しいかと。
ただ、フラスコ型では種別がパルファムとオードトワレの香水が同じ型の瓶に封入されている場合もあるので、購入される際には香水の種別を確認なさって下さいね
「Perfume=香水」という意味だけでなく、種別としての「パルファム(香水濃度)」を意味していることも多々ありますので
3年前に比べると、一羽鳩・二羽鳩ともに価格が上がっているように感じます。
特に一羽鳩の出品数が減っているように見受けるので、ますます入手しづらくなりそう
「時の流れ」の意味を持つ香水でもあるので、気になる方は早めの入手をお勧め。
レールデュタンの香水瓶製造はラリック社ですよ。
また、ルネ・ラリック自身はニナリッチの香水瓶デザインは一切行っていません。
そもそもルネ・ラリックの晩年作と云われる作品の殆どは(それも1940年以降の作品)、父の名を借りた娘や息子デザイン・製作です。
マルク・ラリックがレールデュタンでデザインしたのは、
①サンバースト型香水瓶のガラス栓のみ
②リモデル時の、二羽鳩・一羽鳩香水瓶(栓含む) になります。
かなり長文になったけれど、レールデュタン好きさんの参考になりますように