原爆の日に寄せて(その2)~「はだしのゲン」よりも、ゆづファンには「夕凪の街 桜の国」を | 見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~

見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~

励まされ、受けとめられて、初めて人は、生きていけるのかな?

コメント、嬉しいです。
励まされないと、何もできない性質なので・・・・。
って、いきなり弱気?

フィギュアスケートの羽生結弦選手を応援しています。

苦しい程に結弦くんが好きな方、ようこそ!

(前記事からの続きです。まだお読みでない方は、是非、前記事からお読み下さい!)

(※中ほどにに、ピンク字で追記しました。必見!の被爆者の声について。)

はだしのゲン」・・・原爆の悲惨さを伝える作品として、世界で最も有名な本かもしれないですね。※書名クリックで、amazonの購入サイトに繋がります。

$見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~-ゲンの表紙

少なくとも15ヶ国語に訳されています。
$見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~-15

いずれも「自国の人々に広くこの物語を読んで欲しい」という熱意から、各国の方々によって翻訳された本たちです。
http://www.j-one21.jp/article/2306.html

最近では、広島大研究員だったイラン人女性がペルシャ語に翻訳し、母国で出版したことがニュースになっていましたね。
◆はだしのゲン:ペルシャ語版1巻500部、イランで発行 広大研究員のアベディニさん、今夏には2巻も /広島 : 毎日新聞 2013年06月25日 地方版
出版には政府の許可が必要だったとのこと、並大抵の努力ではないはず。クローズアップ現代でも取り上げられてたので、ご存知の方も多いかもしれません。


私は、昨年の暮れに初めて読みました。

小2のムスメが学童で「はだしのゲン」を読んでいると言うので、
私も速攻で図書館から全巻借りてきて、読破。

原爆投下直後の様子は、前記事で書いたような超ヘタレの私でも、
本やテレビ番組などを通じて知っていた内容が多かったのですが、

後になってからじわじわと身体を蝕んでくる放射能の影響(※1)や、

何もかもを奪われた人々が、
「非人間的で理不尽な状況」の中でどのように生きていたのかなど、

初めて具体的に知る内容も沢山ありました。

※1:ある内科のお医者さんのブログでも引用されています。
◆原爆症の教科書-はだしのゲンから(2)原爆症赤痢 ここにリンクされている原爆被ばく者橋爪文さんの言葉は、必見です!!



「はだしのゲン」というと、
原爆が投下された直後の惨状が延々と描かれているようなイメージがありますが、実は、原爆の場面は、全10巻の中の一部でしかありません。

物語はまず、戦時中の暮らしの描写から始まり、
どのようにして、戦争の「狂気」が「正義」とされていったか、

そして、
親も家も失った子どもたちが、
どのようなムチャクチャなやり方で食物を得ていたか、

そして・・そのムチャクチャな方法の代償として、
命を落とすことも日常茶飯事だったこと等、

戦争の生み出す悲惨さを、
様々な角度から、しかも、
子どもの生活実感を土台にして、
もの凄いエネルギーで描き出していきます。


とにかく、凄いです。

とんでもなく、凄いです。

世界中の人々を驚愕させ、黙らせるだけの強烈な説得力を持つ壮絶な作品です。




でも、やっぱり、ダメでした・・・。


自分でも想像していなかった”全然方向性の違うところ”で、受け止めがたくなってしまったんです。

被爆者の描かれ方が壮絶過ぎてダメダメになっちゃうんじゃないかと恐れながら読んでいたんですが、それよりもむしろ、

大人が子どもに対して、殴る蹴るの暴力を振るう場面が、もう、きつすぎて。

(当時は当たり前だったのでしょうけど・・・。
 なお、このページは大きい子どもを母親が叩く場面なので、
 そんなに衝撃的じゃないですけど、このテンションで大人も子どもも
 殴ったり蹴ったり、そういうシーンが予想以上に多くって・・・・。)
$見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~

もうひとつ、受け止めがたかったのは、
兵士たちによる民間人女性への性的な暴力の場面。

この二種類の描写が、
どうにもこうにも、生理的に辛過ぎて、受け止められないんです。


兵士による女性への暴力(性的な激しい陵辱行為による殺人、ビジュアル的に陵辱内容が明確に説明されている)を説明したコマに出会ったときなど、
「もし、ムスメに『これ、何?』って訊かれたらどうしよう~。(;°皿°)」と絶望的な気持ちになりました。そして、思春期に片足突っ込んだ年ごろの娘から問われた時のために、一生懸命、答えを考えましたよ、こんな風に。

「訊いてくれて、ありがとう。
この場面はね、絶対にありえないような恐ろしいことをした兵隊さんがいるよってことを説明しているの。

ママは大人で、この場面の言葉の意味がわかるから、
この場面がどのくらい恐ろしいかということが解って、ぞっとしているの。なんて恐ろしい残酷なことが行なわれてしまったんだろうって・・。

もし今、この場面の内容をあなたに説明したら、
あなたは私以上に恐ろしい気持ちになって、頭にも残ってしまって、
「聞かなければ良かった!」って後悔するんじゃないかって心配なの。

だから今は、ママは説明しないでおくけど、
高校生くらいになったら、是非、もう一度読んでみて。
その時はママも一緒に読むからね!」

結局、ムスメに訊かれることは無かったんですが、
逆に、ムスメがこの場面を見たことにより、彼女の幼い心がどのように反応したかが気になりました。


もちろん、(最近も国際問題に発展した例がありましたね・・)
兵士による民間女性への暴力は、戦争の引き起こす狂気の一つとして認識しておくべきことだとは、思います。いずれ、子どもたちも、知るべきこととは、思います。

ただ、それを、幼い子どもの読み物の中に具体的に描き込むことの是非は、別の問題として扱うべきかとも感じます。

※追記
<はだしのゲン>松江市教委、貸し出し禁止要請「描写過激」毎日新聞 8月16日(金)19時22分配信
このケースでも、私と同じ部分について言及していますね・・。
『「首を切ったり、女性への性的な乱暴シーンが小中学生には過激」と判断し、その月の校長会でゲンを閉架措置とし、できるだけ貸し出さないよう口頭で求めた。』
ただ、この1ページのために、全巻を貸し出し禁止にすることには、大きな疑問を感じます。
はだしのゲン:松江市教委の閲覧制限要請 怒りや疑問の声 /広島 毎日新聞 8月18日(日)0時3分配信



このようにして、子どもへの対応も考えながら頑張って読み進んでいったのですが、

それでもやはり、
子どもたちが殴られたりする場面が出てくるたびに、(原爆の恐ろしさに比べれば、たった「それだけのこと」なんですが)、
自分の感受性が拒否反応を起こし続けて、「はだしのゲン」の内容をスムーズに受け止めていくことができない状態になってしまいました。
原爆の場面では、そんなことは無かったのにね・・・。



ちなみに作者の中沢啓治さんによれば、
被爆の様子については、
読者である子どもたちに配慮してでしょう、手加減して描いているのだそうです。
※「はだしのゲン」リアルだと思っていたあの描写の真実より転記↓
「私は実際、被爆者の方々をあまりリアルには描写していない」
「僕が見たものをそのまま描いたら、もうヘドが出ると思う」

はい、この配慮は、へたれな私にも十分に感じられました。
原爆の場面だけは、敢えて劇画調にしなかったんだろうな・・・って思いましたもん。



はだしのゲン」の価値や素晴らしさについては、露ほども疑問も差し挟むつもりは全く無いのですが、

それでも、この作品をゆづファンのみなさんに手放しでお勧めすることは、ちょっとできないなあ・・・というのが、偽らざる正直な気持ちです。

戦争の悲惨さや原爆の非人道性を受け止める前に、
子どもたちへの暴力シーンで、もう、ダメダメになっちゃったんで・・・・。
すみません、ヘタレで。


でもね、ほんとに、「はだしのゲン」は凄い物語です。

よろしければ、こちらを是非、ご覧下さい。
$見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~-こどもたしの見た戦争
「広島平和記念資料館企画展 こどもたちの見た戦争~はだしのゲンとともに


さて、
ヘタレな私にとって、「はだしのゲン」よりも、もっと理解しやすく共感できた原爆漫画は、こうの史代の「夕凪の街 桜の国」です。※書名クリックで、amazonの購入サイトに繋がります。

$見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~-こうの史代4冊

$見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~-夕凪の街

映画にもなりました。

http://youtu.be/K3bW_I9bC2w

【あらすじ】
昭和33年広島、皆実(麻生久美子)は同僚の打越(吉沢悠)から求愛されるが、彼女は被爆した心の傷と、自分が生き残った罪悪感に苦しんでいた。やがて、皆実に原爆症の症状が現れ始める。半世紀後、皆実の弟の旭(堺正章)は家族に黙って広島へ向い、父を心配した七波(田中麗奈)は、後を追う内に家族のルーツを見つめ直す。
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id327271/

優しい絵柄で、女性の視点から、
一人の若い女性のささやかな幸せが原爆によって奪われたこと、
そして、その影が何十年たっても消えていなかったことが描かれていきます。(この影こそ、今まさに、福島の女性たちが直面している問題でもありますよね・・・! なお、この作品が出版されたのは2003年です。)


同じ作者が、その後に著した「この世界の片隅に」では、
原爆の陰で注目されることのなかった、軍都・呉の悲劇が描かれています。

$見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~-この世界の片隅に

前記事でご紹介した大和ミュージアムは、この呉の街に作られたのです。


あの頃の日本中のどこにでもあったのでしょうね、
みんなで我慢して乗り切っていこうと励ましあいながら、
小さな小さな幸せを噛み締めて、ちょっとだけにっこりしながら、
日々を生きていく女性たちの姿。

深い緑が瀬戸内の凪いだ海へと溶け込んでいくような見開きの風景に、あの頃の人たちも、空襲の合間には、ささやかな幸せを感じる瞬間があったに違いない、と思うのです。

その中で、
かけがえのないものを失うことの残酷さ・・・・。

戦争がどれだけ無慈悲なものなのかが、
むしろ、
こうの史代の静かな語り口によって、より強く胸に刻み込まれていくのです。

$見上げれば、青空 ~羽生結弦選手に夢を託して~-この世界の片隅に 下巻



私には、

一つ、とても大きな後悔があります。


高校のときの校長先生は、

特攻隊の生き残りでした。


いつも背中に陰を背負い、

笑うことはなく、誰とも交わらず、

一人校長室に籠り、

自分の命が終わってくれる日を、ただひたすらに待っているような人でした。


そんな校長先生が、

私が能天気に話しかけたちょっとした一言をきっかけに、

私のクラスに来て、

戦時中の思い出を語ってくれることになったんです。


当時、根っからのひねくれものだった私は、

なんだかとっても恥ずかしくなってしまって、

どうしてよいかわからなくなってしまって、

仮病を使って、校長先生のお話の前に早退してしまったんです。


後日、

その校長先生のお話が驚くほど楽しいものだったとクラスメイトから聞き、

そして、校長先生は私がいないことを知るととても残念がっていたと知り、

どれだけ後悔したことか・・・・、

みなさんだったら、想像出来ますよね?!


あれから、30年。

校長先生がもしご存命だったら、

あの日のことを謝りたい、

そして、もういちど、

先生の青春時代のお話をお聞かせいただきたい・・・・。


そんな個人的な後悔の念を抱えての、

原爆の日の独り言でした。



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最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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