アーサー・アブラハムvsメフディ・ボウドゥラ WBOタイトル戦 | @TUG_man石田順裕応援ブログ

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世界リアルボクシングドキュメント


2009年~2011年にかけ勃発したSミドル級統一トーナメント『スーパー6』ケスラー、フロッチ、ウォード、テイラー、ディレル、さらにオブザーバーとしてグレンジョンソンとアラングリーンを加え壮絶なサバイバルマッチが繰り広げられた。


当時IBFミドル級王座を10度防衛し絶対王者として君臨していた〝キング〟ことアーサーアブラハムもその戦場に立った。

第1ステージ。同じくミドル級から参戦した元WBC&WBO統一王者テイラーと激突した。結果は12ラウンドノックアウト勝利。テイラーを病院送りにし引退に追い込む衝撃の強さを見せつけた。

しかしアブラハムのハイライトはここまでだった。



第2ステージ、アンドレディレル戦。ダウンを奪われビハインドで迎えた11ラウンド、スリップで倒れたディレルに追撃しKOしてしまうと失格負けを食らってしまった。これでペースが乱れたか。

続く第3ステージのカールフロッチ、第4ステージのアンドレウォード戦ではともに一方的にやられフルマーク完敗で敗れてしまった。


結局勝ったのはミドル出身のテイラーのみ。アブラハムの〝スーパーミドル級限界説〟がささやかれた。

しかしアブラハムはスーパーミドルで戦う事を選択する。もともと急造仕上げで参戦したスーパー6だったがこの激戦の中、身体がやっとスーパーミドルに適応してきたのだ。


2012年。アーサー王の躍進が始まった。年明け早々WBO地域ベルトをKOで奪取すると世界タイトルまで一直線に突き進んだ。8月WBO王者ロバートスティーグリッツ戦。試合は激しい打合いにとなったがアブラハムがパワー差で競り勝ちWBOベルトを獲得した。

上記スーパーシックスは事実上まだ続いている。IBF王者フロッチはブテを豪快にKOし、WBA王者ケスラーはグリーンを4ラウンドで仕留め、そしてWBC王者ウォードはドーソンをボコボコにした。

他団体王者はそれぞれが絶好調ピーク状態だ。WBO王者はどうか。



WBOスーパーミドル級王者アブラハムの初防衛戦。相手は14位メフディ・ボウドゥラ(26勝11KO4敗)昨年6月ケスラーに6RTKOで敗れている。

アブラハムこの一戦に期待される勝ち方のハードルは高い。大差判定どころでは物足りないのだ。果たして何ラウンドで倒してくれるだろうか。

さあアーサー王の入場だ。生オーケストラが盛大に盛上げ偉大な王へ戦いの讃歌を捧げた。掲げられたWBOのベルトが神々しい光を放つ。



第1ラウンド。開始から勢いよく出るアブラハム。アウェーに乗り込んで来たスキンヘッドのボウドゥラも打合いに応じる。互いにKO決着しか頭にない。アブラハム接近して左右フックアッパーの連打、速い。離れてはガードを堅めストレートを飛ばす。



第2ラウンド。アブラハム左でボウドゥラをコントロールする。ボウドゥラも果敢に前に出ていく。アブラハムの右フックに左フックを合わせた。第3ラウンド。ラウンド終盤アブラハム足を滑らす。この日のリングは良く滑るのか。ディレル戦のような終わり方だけは絶対に避けたい。



第4ラウンド。アブラハムガードを堅め打ち終わりを狙い猛然とパンチを振るう。打つか、守るか。メリハリはあるが攻防一体とは言えない。



第5ラウンド。ボウドゥラ少し疲れたか手数が減って来た。アブラハムはガードの隙間を狙いアッパーフックストレートと強引に打ち込んで行く。第6ラウンド。アブラハムは左を突きながら一瞬のスキを伺っている。様子見のところワンツーを被弾してしまった。



第7ラウンド。アブラハム開始から左右フックを強振。ボウドゥラも要所で前に出るとロープに押し込んで行く場面を作った。途中ボウドゥラカットした右まぶたのドクターチェックが入った。



第8ラウンド。終盤に突入だ。アブラハムここで猛然とラッシュを仕掛けた。ボウドゥラたまらずクリンチに行くと膝から崩れ落ちた。もう限界が近いか。アブラハム打って打って打ちまくる。止まらない。

レフリーが割って入り右まぶたの状態をチェックするとここでストップ。




アブラハムが8RTKO勝利をおさめた。ホッとしたかのような表情のアブラハムがファンに手を挙げるとアリーナ会場が歓声で包まれた。

見事なラッシュで試合を決めたアーサー王だがボウドゥラがハードパンチャーだったら、と想定すると危ないパンチを何発ももらっていた。vsウォード、フロッチ、ケスラーを考えると力不足を感じた。




今のままではリベンジは厳しい。攻防が完全に分離したスタイルから攻防一体化したスタイルへと進化が必要だろう。



メフディ・ボウドゥラ
「アブラハムはチャンピオンとしての戦い方をよく心得ていた。出来る限り全力を尽くして負けたのだから誇れる戦いだった。レフリーがストップした事に関しても言い訳は一切ない。アブラハムは強い王者だった」

敗れたボウドゥラだが潔く好感の持てる素晴しいコメントを残した。




アーサー・アブラハム
「2012年は世界チャンピオンにもなり非常にいい年だった。こうして最高の形で締めくくる事もできた。これから先もずっと王座を守って行きたい」


勝ったアブラハムから他団体王者との統一戦に関するコメントはなかった。代わりに同日ロンドンでグレンジョンソンを倒した同級2位ジョージグローブス(16全勝12KO)と夏頃対戦するのでは、との話が持ち上がっている。







2012.12.15 Arthur Abraham vs Mehdi Bouadla