「龍三と七人の子分たち」、本日取り上げる子分は中尾彬演ずる武田茂吉です。
中尾彬と言えばほぼ強制的にキャラクター付けられてる感のある捻りマフラーと
あの柔和で大きな瞳が特徴のおっさんトトロですね。おっさんトトロは私の命名です。
※今回の話は劇中のネタバレがあるのでご注意ください。
まあそうは言っても大抵のおっさん俳優は悪役をやらされているものなので
中尾彬があのつぶらな瞳をいかに悪い炎に燃えそやすのか楽しみに見るじゃないですか。
いつもニコニコ笑顔の彬おじちゃんの悪い一面を見たいと我々は期待する訳です。
しかし、本作における中尾彬の扱いは「ひどい」の一言です。
北野武監督自身「中尾さんは一番可哀想だった」と言ってる程の扱いはと言えば
そもそも2つ名にはばかり(トイレ)って普通に書かれているのが可哀想だし
キャバ嬢として働いている孫娘に生活の面倒を見てもらってるのも可哀想だし
面倒を見てもらいながら自分は寸借詐欺というケチな商売で生きてるのも可哀想だし
何よりただ1人劇中で死ぬのでマジで可哀想です。最初から最後まで可哀想。
わかりますか今回のタイトルの意味。私はこんな中尾彬を知らない。
前述した通り茂吉は孫娘に助けてもらってるのに寸借詐欺している人間なのですが
そもそも寸借詐欺とは超少額の詐欺を言います。
「財布を落としてしまって帰りのお金がないから2000円貸してください」と声を掛け
「この連絡先にご連絡いただければすぐにお返しします」と架空の連絡先を渡すやつ。
つまりですね、中尾彬はあのダンディな恰幅と優しい笑顔をフルに活用し
詐欺ですらでかいことが成し遂げられない器の小さい卑屈な男の醜く肥えた腹と
人生を舐めきっているニヤニヤ笑いに昇華してるんですよ。何つう中尾彬の無駄遣い!
同時に私達は「中尾彬はよくわからん捻りマフラーだけの人じゃない」と知るのです。
中尾彬は演技のために自分のダンディイメージをここまで崩せる人なのだと…
そう、「龍三と七人の子分たち」は中尾彬の演技の真髄を見せる名作なのです。
このブログに過言的表現があるのは当ブログタイトルからもお察しください。
今回は「中尾彬の演技魂を見たければ龍三と七人の子分たちを見ろ」という話でした。
捻りマフラーじゃなくて蝶ネクタイしてベスト(チョッキって言ってそう)を着て
上品ながらもエセ紳士風に魅せる中尾彬も大変に鑑賞しがいがあります。
さて、次回はいつでもどこでも銃をぶっ放すあぶ刑事ならぬあぶ老人です。
このキャラも濃いのでお楽しみに。
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